先日、映画『踊る大捜査線 N.E.W.』(9月18日公開)のサブタイトル「メトロポリスを駆け抜けろ!」や「青島俊作(織田裕二)がついに捜査一課へ」などの情報が解禁され、ネット上を賑わせた。

同作の脚本家・君塚良一は今春ドラマでも『ボーダレス~広域移動捜査隊』(テレビ朝日系)を執筆。前者では警察内部の人間模様を、後者ではトラックで爆走する捜査本部を描くなど、一筋縄ではいかない設定で視聴者を驚かせてきた。

そんな君塚脚本のなかでも「ドラマ史に残る最高レベルの難解さ」と言われるのが、2000年放送の『ラブコンプレックス』(フジテレビ系、FODで配信中)。はたしてどんな難解さがあり、今見たらどう感じるのか、ドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『ラブコンプレックス』(C)フジテレビ

    『ラブコンプレックス』(C)フジテレビ

横領事件の謎と「男VS女」の戦い

同作の放送中から終了後にかけて視聴者から最も聞かれた言葉が「意味不明」だった。

もしSNSが浸透した10年後、20年後に放送されていたら、問題作として賛否を巻き起こしていたかもしれない。ただ、“賛”の人には「意味不明でも見たくなる」という熱烈な支持者が多く、制作サイドとしても明らかに「見たことのないドラマを作ろう」というチャレンジングな作品だった。

では何が「意味不明」だったのか。同作の主なあらすじは、パソコン周辺機器の製造販売をする一部上場企業・ワンダーエレクトロニクスの秘書室内で横領事件が発生。表沙汰になることを嫌った役員から秘書室に配属された竜崎ゴウ(唐沢寿明)と真行寺アユム(反町隆史)は、横領の疑いがかかる7人の美人秘書を調べていく……。

入口は「横領事件の謎を追うミステリー」「ゴウとアユムVS美人秘書たちの攻防」だったが、徐々にそれぞれの“愛”をめぐる物語をフィーチャー。2人の男+7人の女=男女9人のキャラクターと背景が最大の見どころとなっていった。

その中心にいたのは、女性を軽く見て息を吐くように嘘をつき、平然と悪事を行うなど愛のないゴウと、毒母に苦しめられ、女性と深い仲になれないアユム。

秘書たちを束ねる一方で父への複雑な思いを抱える荒瀬シズク(木村佳乃)、ある過去から新興宗教にハマる柊サダ(りょう)、過度なダイエットを行い夜の仕事も行う蜷川キイコ(小雪)、子どものころに受けたいじめから情緒不安定な連城ミヤビ(西田尚美)、けんかに滅法強い同性愛者の野乃リリ(伊東美咲)、極端な裏表があり誰に対しても愛情がなさそうな島木ミン(一戸奈未)、長年にわたる不倫に悩む最年長の佐原アミ(高橋ひとみ)。

主要人物9人全員が、親、恋人、自分自身、不倫相手などへの愛にコンプレックスを抱え、それを暴き合い、追い込み合うカオスのようなムードが最終話まで続いた。