シリーズでお送りしている「転職の今がわかる、66の質問」。第3回は、「退職編」となる。実は転職においては新しい職場を見つけることより、いかに円満に退職するかが重要なポイントかもしれない。立つ鳥跡を濁さずではないが、元の職場との軋轢を抱えたままでは新しい仕事にも差し障りが生じかねない。先輩たちはいったい何に悩み、どんな退職を行ったのか。アンケートを通じて探ってみよう。

  • 退職

以下、20~30代のマイナビニュース男女会員400名にアンケートを実施し、「転職経験がある」と回答した277名に質問。

Q23.転職に伴う退職にあたって、もっとも苦労したことを教えてください

1位「人間関係」(21.7%)
2位「退職の意思表示」(20.9%)
3位「転職活動の時間捻出」(20.6%)
4位「給与や賞与の減額」(13.7%)
5位「担当業務の引き継ぎ」(12.3%)
6位「年金や保険などの手続き」(9.4%)
7位「その他」(1.4%)

Q24.転職に伴う退職にあたって、退職で「もっとこうすればよかった」ともっとも強く思うことを教えてください

1位「退職までの段取り」(28.9%)
2位「退職のタイミングを見計らうこと」(21.7%)
3位「自分の意志を固めること」(18.8%)
4位「担当業務のスムーズな引き継ぎ」(16.2%)
5位「人間関係のケア」(13.4%)
6位「その他」(1.1%)

Q25.もっとも最近の転職による、退職にかかった期間を教えてください

1位「3カ月」(25.6%)
2位「1カ月」(19.9%)
3位「2カ月」(18.4%)
4位「1カ月未満」(14.8%)
5位「4カ月~半年未満」(11.9%)
6位「半年以上」(9.4%)

Q26.もっとも最近の転職による、退職の意思を上司に伝えた時期を教えてください

1位「退職の1カ月前」(35.4%)
2位「退職の2カ月前」(22.0%)
3位「退職の3カ月前」(17.0%)
4位「退職の即日~1カ月未満」(15.9%)
5位「退職の4カ月~半年前」(5.4%)
6位「退職の半年以上前」(4.3%)

Q27.退職の意思を会社に伝えたのは、転職先が決まった後ですか。それとも前ですか

「転職先が決まる前」(58.5%)
「転職先が決まった後」(41.5%)

Q28.上司に伝えた一番の退職理由を教えてください

1位「一身上の都合」(39.7%)
2位「他の仕事をしたい」(26.0%)
3位「労働条件の不満」(21.3%)
4位「体調が優れない」(10.5%)
5位「その他」(2.5%)

Q29.退職にあたっての、上司や同僚の反応を教えてください

1位「引き止められた」(35.7%)
2位「応援された」(24.2%)
3位「冷たい反応だった」(23.8%)
4位「反対された」(8.3%)
5位「怒られた」(4.0%)
5位「その他」(4.0%)

Q30.退職後、上司や同僚と関係が継続していますか

「いいえ」(69.0%)
「はい」(31.0%)

Q31.退職が決まった後、もっとも転職の意思が揺らいだのはどんな時か教えてください

1位「特になし」(40.8%)
2位「新しい職場でうまくいくか不安になったとき」(19.5%)
3位「上司や同僚に引き止められたとき」(17.0%)
4位「退職すると決めたら気持ちが楽になったとき」(16.6%)
5位「送別会を開いてもらったとき」(5.4%)
6位「その他」(0.7%)

Q32.退職でもっとも心残りだったことを教えてください

1位「同僚などの人間関係」(32.1%)
2位「長く勤めていた職務経験」(23.5%)
3位「担当していた業務」(21.3%)
4位「仕事の人脈がなくなること」(13.7%)
5位「その他」(9.4%)

Q33.退職でもっとも印象的だった出来事を具体的に教えてください(自由回答)

・「いつも仕事終わりに日報があり、最後の日報を終えたあと、その姿を見ていた同僚が泣いてくれていた」(24歳女性/その他/公共サービス関連)
・「年に数回しか接しないような他の部署の人から、退職日に餞別のお菓子を貰った」(28歳女性/精密機器/事務・企画・経営関連)
・「今まで味方だったと思っていた人が上辺だけだとわかったり、今までそう親しくもなかった人がすごく親身になってくれたり、人の裏表が如実にわかった」(33歳女性/専門コンサルタント/事務・企画・経営関連)
・「意外にサバサバしていて、引き留められなかったことでしょうか」(34歳男性/ビル管理・メンテナンス/その他・専業主婦等)
・「顧客の反応。自社よりも残念がられ、評価されていたことを知った」(38歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「上司と同僚で反応が違ったこと。上司からはパワハラに近い引き留め(有休消化をさせないなど)があったが、同僚からは祝福され、中には転職活動の指南を請う声もあった」(35歳男性/食品/技能工・運輸・設備関連)
・「今まで大嫌いだった人と、がっつり言い合った! すっきりしました。今でも大嫌いです」(38歳女性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「ボーナスを出してもらえなかった。有給休暇を消化させてもらえなかった」(38歳男性/コンピューター機器/営業関連)
・「業務の引き継ぎをしていたときに、上司が自分の仕事量を把握していなかったことに気付かされた」(38歳女性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「後輩が引き継ぎの量にアタフタしていたこと。もともと要領が良くない人だったので、自分ではこなせないと不安になったのか、不機嫌な表情で口をきかず、話も中途半端にしか聞いていなかった」(33歳女性/サービス/販売・サービス関連)
・「自分の仕事を誰が引き継ぐかでバタバタしていたこと。自分が、たくさんの仕事をこなしていたことを周囲に知ってもらえた」(37歳男性/その他メーカー/事務・企画・経営関連)
・「上司のパワハラが原因で退職しましたが、その上司は一切お咎めなしだったので、辞めてよかったと心から思いました」(36歳男性/専門店/販売・サービス関連)
・「新卒で入った職場で、事務部長にお前の大学からはもう採用しないと言われた」(28歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「退職の意思を伝えたとき、もともと体調崩して休みがちだったこともあり、上長に半笑いで『もう限界?』と言われ、すごく傷ついた。辞めて良かったと思っています」(30歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「退職が決まったら、予想以上に気持ちが楽になったこと。それまで慢性的に続いていた頭痛も良くなり、ストレスが原因だったことに気づいた」(32歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「いざ退職の意思を伝えようと思ったとき、自分の心が揺らいだこと。退職して正解だったかはわからない」(35歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)

■総評

調査の結果、転職に伴う退職にあたって、もっとも苦労したことの1位は、「人間関係」(21.7%)だった。退職するとなれば、どうしてもそれまでの人間関係をいったんは整理しなければならず、その際にはさまざまなトラブルも起こりやすい。転職の先輩たちも、そこで苦労をしてきたようだ。僅差で2位「退職の意思表示」(20.9%)が続くが、やはり「辞めます」の一言はなかなか言いづらいものだろう。3位以下の「転職活動の時間捻出」(20.6%)、「給与や賞与の減額」(13.7%)、「担当業務の引き継ぎ」(12.3%)、「年金や保険などの手続き」(9.4%)は実務面での苦労だが、転職を志すのであれば、いずれも覚悟しておかなければならない試練かもしれない。

もっとも強く「もっとこうすればよかった」と思うことは、1位「退職までの段取り」(28.9%)、2位「退職のタイミングを見計らうこと」(21.7%)と、いずれもスケジュール面での反省だった。なかなか予定通りにはいかないのが転職だが、日程管理は周到に行う必要があるということか。これはまた、4位「担当業務のスムーズな引き継ぎ」(16.2%)にも関係しているだろう。3位「自分の意志を固めること」(18.8%)は、それ相応の覚悟なくして転職はすべきでないという戒めにも思える。

退職にかかった期間は、1位「3カ月」(25.6%)、2位「1カ月」(19.9%)、3位「2カ月」(18.4%)、4位「退職の即日~1カ月未満」(15.9%)と、約8割が3カ月以内だった。「半年以上」という人も9.4%いたが、元の会社と何かトラブルでも生じたのだろうか。退職の意思を上司に伝えた時期も、1位「退職の1カ月前」(35.4%)、2位「退職の2カ月前」(22.0%)、3位「退職の3カ月前」(17.0%)、4位「退職の即日~1カ月未満」(15.9%)と、こちらも3カ月以内が約9割を占める。退職の意思を会社に伝えたのは、「転職先が決まった後」が41.5%、「転職先が決まる前」が58.5%と、決まる前が優勢となった。

上司に伝えた一番の退職理由は「一身上の都合」(39.7%)という、ごく一般的なものが1位に。以下、2位「他の仕事をしたい」(26.0%)、3位「労働条件の不満」(21.3%)、4位「体調が優れない」(10.5%)と続く。「その他」では、「結婚による転居」「続けていく自信がない」「会社都合」などが挙がった。

退職にあたっての上司や同僚の反応は、1位「引き止められた」(35.7%)と2位「応援された」(24.2%)がいずれもポジティブなもの。3位以下の「冷たい反応だった」(23.8%)、「反対された」(8.3%)、「怒られた」(4.0%)はそれぞれ辛い体験となった。退職後、上司や同僚と関係が継続している人は31.0%、継続していない人は69.0%で、関係が終了している人が多数派だった。

退職が決まった後、もっとも転職の意思が揺らいだのは「特になし」(40.8%)を除けば、「新しい職場でうまくいくか不安になったとき」(19.5%)がもっとも多かった。また、「上司や同僚に引き止められたとき」(17.0%)や「退職すると決めたら気持ちが楽になったとき」(16.6%)も上位となった。もっとも心残りだったことは、1位「同僚などの人間関係」(32.1%)、2位「長く勤めていた職務経験」(23.5%)、3位「担当していた業務」(21.3%)、4位「仕事の人脈がなくなること」(13.7%)と続く。「その他」には、「正社員という立場」や「学生時代に学んだ知識が生かせなくなること」、「好きな職場だったので残念だった」などのコメントがあった。

退職でもっとも印象的だった出来事には、さまざまなエピソードが寄せられた。退職に際して初めて理解した同僚や上司の人間性や職場の人間関係、客観的に見ることができるようになったそれまでの業務への気付きなどが印象的だ。そのほか、退職してそれまでのプレッシャーから解放されたという思いや、新たな職場に対する不安なども率直に綴られている。

転職においては、新たな仕事を見つけることは決してゴールではなく、そこからいかに円満なかたちで退職するかが問われている、と感じさせられるアンケートとなった。みなさんは全体を通して、どんな感想を持たれただろうか。次回はよりテクニカルな面から転職に迫る、第4回「履歴書編」をお送りする。

調査時期: 2018年10月12日~2018年10月18日
調査対象: マイナビニュース会員(20~30代会社員)
調査数: 400人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません