新連載「主婦が新聞読んで聞いてみた」では、商社出身のフリーライターで主婦の楢戸ひかる氏が、新聞を読んで疑問に思ったテーマを、主婦目線で調べて読者の方々と共有します。
突然の株価下落。少し前の話では、ギリシャの銀行封鎖。こうした経済の不確かさを目のあたりにすると、「確かなものって、何があるの!?」という気持ちになる。そこで気になりだしたのが「金投資」。その金投資の中でも堅実なイメージがあるのが「純金積立」だ。では本当のところ、「純金積立」ってどうなのだろう? 「純金積立コツコツ入門」を運営する会社の社長、中野貴利人さんにお話を伺った。
純金は、それ自体に価値がある!
純金は、それ自体が「限りある貴重な資源」。この点が、株や債券への投資と最も異なる点だ。株や債券は、最悪の場合は"無価値"になる可能性もある。一方で金の信用度は、歴史が証明してくれている。古くはツタンカーメン王の黄金マスク、オリンピックでは最高峰の勲章として授与される金メダルなど、数千年単位で、人類を魅了し続けてきた物質が金なのだ。
金投資のメリットとデメリットを整理してみた。
金投資のメリット2つ
ひとつめは、不況や有事に強いこと。信用度が高いので、有事で経済が混乱した時には、リスクヘッジとして純金に資産が流れ、結果、金価格が上昇することが多い。『我が家の資産を守る』という主婦的視点で考えれば、他の金融資産とは違う値動きをする資産を持つことで、家庭全体の資産は安定度が増す。
ふたつめは、長いスパンで見ると価値が右肩上がりに伸び続けていること。純金の価値は、2000年から右肩上がりに伸び続けている。理由としては、供給(地球の埋蔵量)が一定量しかない中で、需要が伸び続けているからだ。需要が伸びている理由としては、貴金属以外の需要(工業用、歯科治療など)が増えていること。また、金を宝飾品として尊ぶ文化がある、中国とインドが経済成長をしているというのも大きい。
金投資のデメリット2つ
ひとつめは、配当や利息がつかないこと。他の金融資産であれば、配当や利息がついて「お金がお金を生む」という現象が起こる。けれども、純金は、ただ、じっと現物の価値が上がるのを待つというだけ。つまり、「安い値段で買っておき、それ以上の値段で高く売る」という方法でしか金銭の利益は発生しない。
ふたつめは、元本割れの可能性があること。長期的に見て金の価値は右肩あがりだが、短期的な金価格は上下に変動し続けている。「今、お金が必要だから現金化したい!」という時に、元本割れをしている可能性もある。だから、「子どもの入学金」といった『生活資金』を金投資に向けるのは、得策ではない。
金投資のメリット・デメリットは把握した。では「金投資」を気軽に始められる純金積立をするには? 積立先を選ぶ時には、何に気をつければいい?
まずはコストをチェック!
純金積立は長期投資が基本なので、まずはコストをチェックする。年間総コストを意味する『年会費+毎月の買付手数料』は会社によってバラつきがあり、たとえば毎月1万円の積立をした場合で試算すると、最安値と最高値で2.08倍の差となった。年会費、買付手数料ともに、会社によってルールが違うので、買付金額によっても、積立先選び方は違ってくる。
毎月1万円を積立した場合の年間総コスト(試算)
操作性・信用度も把握しておく
コストで会社の目星をつけたなら、次にチェックしたいのは、積立制度の使いやすさだ。「たとえば今月は積立を休みたいといったことが、簡単にできるか? などは実際に使ってみると、意外と気になる点なんですよ」と、中野さん。最後の仕上げに、積立を始める会社の信用度についても知っておきたい。その会社の規模、純金積立をどれくらいの期間やっているのか? といったことは、最低限チェックしておきたいポイントだ。
筆者はこの記事を書きながら、純金積立をすぐにでも始めたくなってしまった。みなさんは、如何だろうか?
(※本文と写真は関係ありません)
プロフィール:中野貴利人
株式会社ネットピコ 代表取締役。純金積立や金投資をはじめ、FXや戸建て購入などのサイトを運営。特に副業情報サイト「フクポン」は新聞、テレビ、ラジオなどでも取り上げられる。雑誌掲載は多数。著書に「ど素人でも稼げるネット副業の本」(翔泳社)や「会社の外で月10万円!シッカリ稼ぐ副業・内職入門」(ぱる出版)などがある。「純金積立コツコツ入門」
筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)
1969年生まれ 丸紅勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。メルマガ「主婦が始める長期投資」(メルマガ申し込みは、「主婦er」より)を書き始めて、視野の狭さを痛感。新聞を真面目に読もうと決意し、疑問点は取材に行く所存。