いまなお昭和の雰囲気を残す中央線沿線の穴場スポットを、ご自身も中央線人間である作家・書評家の印南敦史さんがご紹介。喫茶店から食堂まで、沿線ならではの個性的なお店が続々と登場します。
今回は、西八王子のサンドイッチ屋さん「メルヘン」をご紹介。
-
昭和から続くサンドイッチ屋さん「サンドイッチハウス メルヘン」(西八王子)
店名からして昭和レトロな「メルヘン」、久々に行ってみたところ……?
西八王子に「メルヘン」という、サンドイッチの製造販売をしている会社があります。1982年創業らしいので、40年近い伝統を持つ老舗。
-
バリエーション豊かなサンドイッチがズラリ
そもそも、「メルヘン」という名前が昭和を感じさせるじゃないですか。わかる方もいらっしゃるかと思いますが、1970年代後半から80年代初頭あたりにかけ、「メルヘン」という単語にはどこかおしゃれなイメージがあったのです(時代だなぁ)。
年月を経たいまは、それがレトロ感を感じさせてくれるわけですね。
ところでそんなメルヘンは個人店舗ではなく、首都圏も含め多くの店舗を展開しているチェーンです。デパートなどでも見かけるだけに、個性的なお店を好む方のアンテナには引っかかりにくいかもしれません。
-
スッキリ清潔な店内
でも、20年(いや、30年かな?)近く前に一度だけ訪れたことがあるのですが、西八王子南口駅前の直営店舗はノスタルジックでいい感じだったんですよね。
たしか一階がサンドイッチ屋さんで、二階が喫茶店。当然のことながら二階では、下の店舗でも売っているサンドイッチも食べられるスタイルです。
その"普通な感じ"が妙に心地よかったので、まだあるのなら行ってみたいなと思っていたんです。ということで、春っぽい陽気だったある日、数十年ぶりに訪ねてみたのでした。
西八王子はほとんど縁のない駅で、ホームに降りたのはかつて北口にあった「100円ラーメン」を食べに訪れたとき以来かも。だから、10数年ぶりですね。
でも今回は反対側の南口なんだよなー、と思いながら階段を降りたらビックリ。なんとレトロだった店は、現代的な店舗にリニューアルされていたのです。
-
すっかりリニューアルされてました
大幅にイメージが変わっているというわけではないのですが、以前の"中途半端なレトロ感(ほめことばです)"はなくなっていて、洗練された印象。いや～、これはちょっとショックだな。
しかし、せっかくなので、二階のカフェでサンドイッチをいただきましょう……と思いきや、システムも変更されておりました。
-
写真右の扉から二階へ
以前は二階でオーダーできたと思うのですが、現在は一階で購入したものを二階まで自分で運ぶスタイルのよう。見る限りサンドイッチのバリエーションとボリュームは昔から変わっていないようなので、別にかまわないんですけれど。
てなわけで、「今月のおすすめ品」と書かれていた「ペアサンド(三元豚カツとタマゴ)」と「エビカツサンド」、そしてアイスコーヒーを購入。
-
今回購入したのはこちら
「すぐ左にエレベーターがありますので、そちらからお上がりください」と声をかけていただいたので、エレベーターで二階に上がります。
なにしろ数十年ぶりですから記憶もおぼろげなのですが、二階もずいぶんスッキリした印象。
-
清潔で広々とした二階
入り口から向かって左側は大きな窓になっていて、ピンク色のシェードが差し込む陽の光をほどよく遮っています。すぐ右側の厨房スペースは、いまは使われていないようですね。
5卓のテーブル席に加えてカウンター席も左右にあるので、ゆったりとした印象があります。
掃除が行き届いた空間には清潔感があり、居心地は文句なし。いちばん奥のテーブル席に座ったら、なんだかホッとしました。
-
エビカツサンドはこんな感じ
もちろん、サンドイッチのクオリティも抜群です。素材の持ち味が引き立っていて、予想していた以上にボリュームもあり、これはコスパがいい。デパートで好評だということにも納得できます。
ちなみに14時を過ぎていたこの時点で、お客さんは窓際のカウンター席に2人、少し離れたテーブル席に1人。あとからもうひとり入ってきましたが、空間に余裕があるからか、人の気配はまったく気になりません。
-
窓からは電車も見えます
西八王子駅前にはあまりお店がないせいもあってか、地元の人が気軽に利用しているように見えました。
僕も不思議なくらいに落ち着いてしまい、食後もアイスコーヒーを飲みながら、読みかけの本を1時間近く読み続けたのでした。
-
このクマが目印
●サンドイッチハウス メルヘン 西八王子南口店
住所：東京都八王子市台町4-48-13
営業時間：月～土 8:00～20:00、日・祝日 8:00～19:00
定休日：無休
