大型連休も終わり、気温もグングン上がってきた。ざるそばのシーズン到来である。個人的にはそばは「温」派なので、この連載でもざるそばは数えるほどしか紹介してこなかったが、そこは季節変われば気持ちも変わる。というわけで、バスに乗って「かんだ冨そば」に行ってきた。

「海盛りかき揚げ天ざる」(税込790円)

BGMも雑誌もハワイアン

最寄りは都営三田線「御成門」駅で徒歩7分くらい。都バス「都06」が使えれば「新橋六丁目」停留所が一番近い。オフィスビル街だが、1ブロックに1~2軒は飲食店がある。のれんや「十割そば」ののぼりが、街で違和感がある分だけ目立っている。

店内はやや狭く、右手に厨房とカウンター、左手が着席可のカウンター。10人入れるかどうか、くらいの大きさだ。入った途端、南国の空気。BGMはハワイアン。さらにハワイアンなDVDが流れたり、雑誌が置かれていたり、店内のちょっとした装飾までハワイアンにこだわっている、ちょっと変わったお蕎麦屋さんなのだ。これは、ざるそばを味わうのにもってこいの空間。

厨房の端に券売機があるので、こちらで「海盛りかき揚げ天ざる」(税込790円)を注文。立ち食いそばとしてはなかなか強気な価格だが、この「海盛りかき揚げ」は名物とのこと。楽しみに待つ。

ギリギリ海な具材もよし

天ぷらは昼時以外は揚げたてで出してくれるとのことで、番号札を受け取る。待つこと4~5分。大迫力のかき揚げがお目見えした。タマネギとニンジンのベーシックな土台の上には、魚肉ソーセージ、カニカマ、エビ、タコ、チクワ、ホタテの天ぷらが。魚肉ソーセージやチクワがギリギリ海なところも遊び心を感じて面白い。もちろん揚げたてサクサクだ。

続いて麺。のぼりにあった通り、こちらは十割そば。十割特有のボソっとした食感は全くなく、控えめに言ってもめちゃくちゃおいしい。ツユはやや甘め。無化調無添加の自家製天然ダシとのこと。値段の理由もうなずける。

「かんだ冨そば」へは都営三田線「御成門」駅から徒歩約7分

自家製麺の麺が品切れになることもあるようで、自分の次のお客は大盛り不可、その次のお客は麺切れのため15分かかる、と言われていた。訪れる時間には注意したい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。