久しぶりに立ち食いそばのメッカ・新橋に戻りたい。有名店、無名店、チェーン店から個人店まで、新橋には本当に多くの立ち食いそば店がある。これまで個人的には縁遠い街だったが、立ち食いそば巡りを始めて以来足繁く通うようになり、その魅力にとらわれていった。今回訪れたのは「三松」、以前この連載で紹介した「おくとね」と同じ新橋駅前ビル1号館にあり、その1階で早朝から営業を開始する店だ。

「カレーラーメン」(税込630円)

ランチタイムには定食も

外観はごらんの通り、渋い。「ラーメン うどん そば カレーライス」と書かれた白いのれんで仕切られた小さな店である。ランチタイムには定食メニューも出しているらしく、麺類にライスとお新香、それにコロッケかちくわ天がつくようであった。L字カウンターで、座席は6席くらいだったか。隅に冷水機がある。

訪問時間は10時半頃。この時は相客はいなかったが、食べている内にひとり、ふたりと客が増えてきた。のれんをくぐり、席に着くやいなや口頭で注文。のれんにもある通り、名物「カレーラーメン」(税込630円)を頼む。代金引換式なので、お金を準備しながらでき上がるのを待つ。

中華そばがベース

待つこと2分ほど。想像していた見た目と少し違っていた。カレーと言うと、やはりとろみのついたルーをイメージしてしまうのだが、こちらのカレーラーメンはスープと一体化した、サラサラのカレーだ。普通のラーメンの上にそのままカレーをのせたような違和感はない。具は、薄くスライスされたチャーシューと刻みネギのみで、シンプルに。麺は細く、そしてやわらかい。昭和の中華そばがベースで、口当たりがいい。

隣の客は「ラーメン、麺カタで」と注文していたので、好みに合わせてどうぞ。スープも鶏ガラベースのカレー風味といったところで、程よく麺と絡む。辛さはほとんどなく、白い米を投入して食べたくなる味。なるほど、昼定食はそのためにあるのかもしれない。

「三松」は新橋駅前ビル1号館の1階にある

新橋探訪はまだまだこれからも続く。新橋の立ち食いそばカレーと言えば外せない店がもうひとつあるので、それは次回にご紹介したい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。