今回も下町の立ち食いそばを一軒ご紹介しよう。JR山手線「日暮里」駅東口を出て徒歩5分。尾久橋通りを渡った、住宅の立ち並ぶエリアで「仲屋製麺所」は営業をしている。

  • 日暮里「仲屋製麺所」で味わう、自家製麺の「五目天 ひもかわ」に舌鼓

    「五目天 ひもかわ」(540円)

営業時間は、朝の7時から9時までと昼の10時から14時まで。土日祝日はお休みなので、一般的な勤め人には少々ハードルが高い。面白いのは、その名前の通り店の隣に製麺所があり、こちらでそばやうどん、生パスタやワンタンなどを卸したり小売したりしている。香川県のセルフ讃岐うどん店のような形態だが、こちらはあくまで店は店、製麺所は製麺所と入口が分かれている。

製麺所併設の立ち食いそば

昼営業が始まってすぐの10時頃に到着。ちょうど店の人が慌ただしく両店を行き来しているところだった。戸は開けっ放し、のれんをくぐるとL字カウンター、立ち食い席のみ。10人も入らないと思うがそれなりの奥行きがあり、物もほとんどなくこざっぱりしているので広く感じた。

ラジオの流れる店内、水を出されながら「何にします?」の声。壁には手書きのお品書きが。実に達筆だ。月見、わかめ、山菜やコロッケ、むじなそば、なんてメニューもある。野菜天を中心に単品トッピングやカレーライスも。麺は、そば・うどんのほか、細うどんやひもかわでお願いすることもできる。この日注文したのは「五目天を、ひもかわで」(540円)。

うどん好きなら「ひもかわ」はご存知かと思う。幅広で薄っぺらいうどんで、包帯みたいな見た目のものもある。その度合は地域や店によって様々で、当店のひもかわは、きしめんよりやや分厚く、幅は普通のうどんとあまり変わらない(広義ではきしめんもひもかわに分類されるらしい)。

自家製麺の味は、さすがのひと言

1分ほどで完成。代金引換式。モチモチツルツルと食べごたえのある麺はさすが。五目天は、海鮮かき揚げに近い。イカがゴロゴロと入っているほかに、プリンとしたむきえびも(桜えびではない!)。ツユはさっぱりとしていて、最後の一滴までゴクゴクいける。あっという間に体はポッカポカだ。

  • JR山手線「日暮里」駅東口から徒歩5分の「仲屋製麺所」

余談だが、この店の斜向かい近くには「日暮里 斉藤湯」というモダンな銭湯がある。残念ながら営業時間は重なっていないので、"はしご"には不向きだが、散策する価値の十分にある地域だ。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。