東京・北の玄関こと上野駅の立ち食いそばといえば、まず思い浮かべるのが今回ご紹介する「つるや」だ。JR「上野」駅不忍改札を出て、横断歩道を挟んだ正面。まさに、"玄関駅の玄関"に店を構えている。丼の上で箸と麺が上下する動く看板が目印。ちなみにお隣は老舗レストランの「じゅらく」だ。
外国人観光客にも人気の一軒
入口は開けっ放し。短いのれんだけがかかっている。店先には食品サンプルや写真付きメニューも張り出されているほか、もちろん英訳も併記。日本のソウルフードとして観光人気も高いのか、訪問当時も2~3人の外国人観光客が訪れていた。
中に入ると、左手に食券機。セットメニュー、温(HOT)、冷(COLD)に分かれたボタン。厨房カウンターのバットに並んでいる天ぷらそばを中心に、たぬきやきつね、山菜、山かけ、月見など。きしめんや天丼やカレー、またアルコール類の販売もあった。ここは「海鮮かき揚げそば」(440円)を注文。字面からして、ハズレのない一杯。
中は少し不思議なレイアウトで、まずすぐ手前で食券を渡す。着席できるのは右手側壁沿いのカウンター。中央に立ち食い用と思われるテーブルがあり、返却と水は突き当りのカウンターになる。また中央付近にドリンクケースが置かれており、ビールやワンカップなどが冷やされていた。
店内も当然だが、そこかしこに英語表記満載。特に、壁に貼られた手描きイラストのメニューは、温かみがあって目を引く。店員さんにも外国籍の方がいらっしゃるのか、券売機前で英語で説明する様子も。訪問は午前11時頃。相客は4人だった。
外国人にも誇れる味わいの一品
着丼まではおよそ1分。一見するには、ごくごくシンプルなかき揚げそばだが、一口かき揚げをかじればその磯の香りに驚く。海苔と桜えびだろうか、さすが海鮮と銘打っているだけある。際立ったのは、ゲソの歯ごたえ。通常の野菜かき揚げにはない食感と風味が食欲をそそる。そばはもちっとした食感。ツユはこれといった特徴を感じなかったが、もし外国人が初めて立ち食いそばを食べるとするならば、店に不足はない。
外国人ならずとも、例えば関西の人にとっては東京のそばは一種のカルチャーショックであると思う(それを好むとも好まざるとも)。あなたが、立ち食いそば初体験の人に食べてもらいたい店はどこだろうか?