今日ご紹介するのは、目黒区の「米次郎」である。最寄り駅は東急目黒線「大岡山」駅。北に向かって徒歩10分ほど歩いたところ、環七沿いにある立ち食いそば店だ。駅そばではなく、近くに飲食店が多いわけでもないエリアなので、近隣住宅の地元民もしくは環七ドライバーに向けた店であろう。

  • 大倉山で見つけた「米次郎」は、大振り天ぷらの「かき揚天そば」が美味

    「かき揚天そば」(400円)

すだれにかかった「そばうどん」ののれん。屋台や海の家のような、戸のない開放的なつくりの店になっている。この様相をひと目見るためだけに訪れても損はない。

財布に優しいリーズナブル価格

左手のすだれの裏に、L字のカウンター(立ち食い)。右手に共用の着席テーブルと冷水機、テレビがある。チャンネルがNHK BSに合わせられており、海外のニュースが流れていたのがどことなくミスマッチで記憶に残っている。また、客席はここのみならず店外のロータリー付近にもテーブルが出ており、完全アウトドアで食すことも可能。

とにかくまずは注文。カウンターの向こうにおしながきとして短冊が掲げられている。かけ、わかめ、たぬき、きつね、月見、コロッケなど定番と、各種天ぷらそば・うどん。価格はどれもワンコインでお釣りがくるくらいにリーズナブルだが、これでも8月に値上げしたばかりとのこと。営業努力が伺える。この日は無難に「かき揚天そば」(400円)を注文した。

時間は12時頃、先客は2名。後で3名。意外に若い女性も来店していたのが印象的だった。提供はもちろんスピーディで、カウンターに陣取った後、水を一口、二口飲んでいる間に着丼。代金は引き換え式である。

味、量、値段いずれも申し分なし

かき揚げ天だが、俯瞰で見るよりも厚さがあり、食べごたえ十分。ツユはその色よりもずっとあっさりした口当たりなので、いつものようにドロドロに溶かしながらすすると良い。麺も茹で置きだろうか、ふっくらやわらかく、ボリューム満点。これこれ、こういう味を毎日食べたいんだよと思わせる、最大公約数的な立ち食いそばの味だ。

  • 東急目黒線「大岡山」駅から徒歩10分ほど歩いたところにある「米次郎」

ちなみに某口コミサイトには「よりみち」の店名での掲載だったが、どちらも正しいようだ。こういう穴場風の店をよりみちで見つけると、なんだか突然愛着がわいてしまう。これからの冬も、変わらず吹きさらしでそばをすするのだろうか? 再訪してぜひ検証したいものだ。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。