副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。

最終回となる今回は、総まとめとして筆者自身の経験をもとに、特技を生かした副業において大切な考え方や、成功のコツに迫ってみたい。

  • 趣味起業のセミナーで

「楽しく副業」の原点となった借金返済の日々

私は2002年、脱サラしたあと、メキシコ雑貨のお店を開店するも、まったく売れずにわずか半年で廃業、多額の負債を抱えることになった。

そこからは、ただひたすら、返済のためだけの仕事に就くことになるのだが、これが結構キツい。

例えば家畜がと殺されたあとの廃棄部分をトラックで回収する仕事、はたまたレストランなどで使い古されて捨てられる食用油の回収の仕事、深夜には回転ずしの皿洗い、そして時には不良在庫となったメキシコ雑貨をプロのテキヤさんに交じって販売するなど、ひたすらに働いた。

そんな中、とにかく這い上がりたい一心で、副業的に始めたのが、「手作りのスペイン語教材」の販売である。 そう書くと、筆者はスペイン語が大得意なのだろうと思われるかもしれないが、実際にはそんなことはなく、学生時代に専攻していたので好きだった、ただそれだけの理由である。

では、どうやって教材など手作りできるのか、ということになるのだが、そこは日本に留学しているスペイン人を見つけてきて協力をお願いしたことで解決した。なんだって、知恵を絞ればできるのだ。

  • 人生を好転させたスペイン語教材の開発・販売

とはいえ、なぜわざわざ、そんなことをしてまで「スペイン語教材」なのか。当時、返済のためだけのキツい仕事をしていたため、やりたくない仕事に手を出すのはもううんざりだった、というのが正直なところだ。それでなくても日々、つらい思いをしているのだから、副業くらいはせめて楽しく、である。今思えば、これが「趣味起業コンサルタント」を名乗る原点ともなっているのだろう。

考えてみれば、人は社会に出ると、起きている時間の半分以上は仕事の時間である。ということは、仕事がつらいと人生の半分以上はつらい時間ということになる。ならば副業くらいは楽しいものを選んでも罰は当たるまい。 実際、趣味起業コンサルタントとして十数年活動してきて思うのだが、楽しめている人ほど成功している確率は高い。もはや仕事において「楽しさ」は絶対外せない要素といえるだろう。

知ってもらって、欲しがってもらう

さてその「スペイン語教材」だが、販売方法はメールマガジン+ホームページであった。これまでも連載を通じて何度となく伝えてきたことだが、自分で商品やサービスを販売する場合、「知ってもらって、欲しがってもらう」というステップが重要となる。その「知ってもらう」という工程で、今ならブログやSNSを活用するということになるのだが、当時はブログさえもそれほど普及していない時代。個人が情報発信するにはメールマガジンしかなかったのである。

筆者も「スペイン語」をテーマにメルマガを配信、集まってきた読者さんに向けて教材を展開して買っていただくという流れを考えた。もちろん、ただ配信するだけでは読者さんも増えないし、手作りの教材なんて買おうとは思ってもらえない。そこで、毎週メルマガで「スペイン語の聞き取りテスト」を実施した。

短い音声ファイルをつけて配信して、それを聞き取れたらメールで答えを送ってもらうというものだ。それに対して、正解かどうかの返信もする。つまり、読者さんにしてみれば、毎週メルマガを開封する理由が生まれ、答えのやりとりで筆者との交流(今でいうSNSの役割)が生まれるというわけだ。

もちろん、当時は戦略的にやっていたわけではなく、今振り返るとそういう流れになっていたに過ぎない。しかしこれが功を奏して、教材発売開始初月には80本の教材が売れた。当時のメールマガジン読者数は800人ちょっとだったので、約10%の方が買ってくれたことになる。単価は1本5,000円なので売り上げは40万円、コストは1本あたり100円以下なので8,000円以下という計算だ。

日々トラックに乗りながら、夜はメールマガジンを書き、注文を確認してCDとテキストのスペイン語教材をパソコンで作る。翌日はそれをトラックに積み込んで、途中の郵便局で発送する。この繰り返しでやがて、スペイン語教材の売り上げが本業を超えたため、再び脱サラすることになった。

特技を生かした副業で、人生の安心材料を作ろう

これまでの連載でお気づきの方も多いと思うが、特技をや趣味を生かした副業での成功のポイントは以下の通りである。

(1)本人が楽しめることに取り組む
(2)「儲かるから」という基準での副業選びは避けたほうがいい(まず長続きしない)
(3)知ってもらうためにブログやSNSで発信を行う
(4)そして商品を欲しがってもらうために、お客さま候補との交流を心掛け、商品の魅力をしっかり伝える

  • 特技を生かした副業のコツとは

ほかにも言い出すとキリがないが、まずはこれらの項目を押さえたうえで、特技を生かした副業に取り組んでみてほしい。 なお、これから先の社会では「自力で稼ぐ力」は非常に重要なスキルになってくる。雇われて得られる収入も大事だが、もはや雇用=安定という時代は終わっているからだ。そういう意味でも、早くから、特技を生かした副業に挑戦しておくことは、人生の安心材料を作ることにもつながるので、ぜひお勧めしたい。

戸田充広

全日本趣味起業協会代表理事、趣味起業コンサルタント
趣味起業のパイオニアとしてこれまで300名以上の趣味起業家を育て、現在は全国でのセミナー、講演活動のほか、数々の講座でさらに趣味起業家を育て続けている。著書に『稼げる! 自分に合った副業が必ず見つかる! 副業図鑑』(総合法令出版)、『決定版! 趣味起業の教科書』(マガジンランド)、『消費税率アップから家計を守る! サラリーマンのための安全「副業」のススメ』(すばる舎)などがある。