副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。

今回紹介するのは、学生寮の食堂で働きながら、小さめのタイルを生活雑貨にデコレートして楽しむ「タイルクラフト」の講師をしている本間静香さん(50代)だ。

  • 小さめのタイルを生活雑貨にデコレートして楽しむ「タイルクラフト」

    小さめのタイルを生活雑貨にデコレートして楽しむ「タイルクラフト」

遅すぎるスタートなんてない

本間さんはなぜ、そのタイルクラフトを仕事にしようと思ったのか。本間さんによると、重度障害を持った娘と、2人の息子の子育てをする中で、働き方を見直す必要があると考えたそうだ。

「初めは10年続けてきたパッチワークを仕事につなげようと思ったのですが、家での作業が多く、生活に支障が出てきてしまいました。そこで他に何か講師業ができるものを、と探しているうちに、タイルクラフトに出会ったんです」。

しかしその頃には子どもたちも成長し、時間に余裕が出てきた50代半ばになっていたという本間さん。思っていたよりも遅いタイミングになってしまったが、それでも今まで「生活に追われて時間がない!」というときに妄想していた、さまざまなことを実現できるチャンスと考えてスタート。楽しみながらがんばれているそうだ。

「現在は、週4日学生寮の食堂のパートをして金銭的にバランスをとりながら、タイルクラフトの講師業をがんばっていて、いずれは趣味から本業に移行したいと考えています」。

  • タイルクラフトを教える本間さん

    タイルクラフトを教える本間さん

集客が軌道に乗るまで「我慢」できるかが成功のカギ

しかしこうして、趣味や特技を仕事にする際に、ほとんどの人がぶつかるのが「集客」の壁だ。

本間さんは「毎日のブログ更新」「イベントへの参加」などを中心に集客を行ってきた。これは、コストをかけずにWEBで効率的に集客するための必須手段だが、その効果が出るまでしっかりと続けられる人は少ない。軌道に乗るまでの「我慢」の時期を乗り越えられるかがカギだ。

本間さんも、副業としてのタイルクラフト講師業に取り組む中で、時間の調整はもちろん、成果が出るまでに挫けそうになる「メンタル」との闘いに苦労したとのこと。

しかし、そんな闘いを乗り越えるとそこには楽しく幸せな世界が待っている。

「タイルクラフトはどう作るのか不安で参加された方が、ご自分の作った作品を見てうれしそうな顔をされたり、満足したとご感想をくださったりした時は、『よかった! もっとたくさんの方にこの気持ちを感じていただきたい!』と、やる気パワーをもらっています」。

工夫と挑戦が成功につながる

うまくいかないことやアクシデントがあった時でも、「どうやって理想の稼ぎ方を実現するか」に意識を置いて、工夫と挑戦を重ねてきたという本間さん。

例えば、生徒さんに楽しい気持ちで帰ってもらえるようなレッスン時の会話や、生徒さんの個性に合った教え方ができているかどうかなどを、いつも考えているのだそうだ。そのかいあってか、今では調子の良いときで、月15万円の収入を得ているという。

しかしそんな本間さんにもこんな反省点が。

「せっかくタイルに興味を持って来てくださった方に、続けて参加いただける連続講座の仕組みを作っていませんでしたので、1回だけのレッスンで終了になっていました。長く継続して参加いただけなかったことは残念で反省しています」。

講師業、教室業に限らず物販でもなんでも、リピート購入につなげることが、収入を安定させる大切な要素。本間さんはそこに気づいて、連続講座づくりに着手しているのだとか。

  • 連続講座作りにも力を入れているという

    連続講座作りにも力を入れているという

「タイルクラフトの中でも『この先生の作風が好き!』と言ってくださるファンをたくさん増やして、その先も安定した楽しい趣味起業を続けていきたいと思います」と、夢を語ってくれた。

始めるタイミングに遅すぎるということはない、いつからでもスタートして成功することはできる、ということを実体験で教えてくれた本間さん。まだまだこれからのジャンルであるタイルクラフトで、多くの人と「楽しさ」や「幸せ」を分かち合いながらの、ますますのご活躍が楽しみだ。