ちょっと得する!? 新幹線の豆知識

新幹線をお得に便利に利用する方法を紹介する当連載。今回は知っていると少し得する東海道・山陽新幹線の豆知識を紹介しよう。さまざまなジャンルがあるけれど、まずは座席を選ぶ際に知っていると便利なポイントから。

  • 豆知識でも、新幹線を利用するときに「知っていると少し得する」ことがある(写真はイメージ)

少しだけ狭い座席がある!?

現在の東海道・山陽新幹線の主力車両はN700系。まさに新幹線の「顔」だ。このN700系の先頭車両の1号車・16号車は、座席間隔が他の号車と比べて17mm狭い。

原因はあのすらっと伸びた鼻(ノーズ)。「エアロ・ダブルウイング」と呼ばれ、騒音を低減するために開発された形状だが、これに必要な長さを確保するため、座席の間隔(シートピッチ)が中間車の1,040mmに対し、先頭車は1,023mmと少し詰められたのだ。

  • N700系の先頭車(1・16号車)は少しだけ座席の間隔が狭い(写真はイメージ)

「たった17mmか。気にするほどでもない」とも思えるのだが、知ってしまうと優先順位が少し下がるかもしれない。普通車のA~E席のうち、B席(3人席の真ん中の座席)は他の席よりもシート幅が3cm広く作られていることは当連載第5回でも紹介したが、これとあわせて普通車の座席選びに役立てると良いのではないかと思う。

より快適なシートは?

快適に過ごせる温度は人それぞれ若干異なる。東海道・山陽新幹線の車内では窓側にエアコンの吹出口があり、温度の変化に敏感な人は通路側の席を選ぶほうが良い。

  • N700系の窓際には、個別に調整できるエアコンの吹出口がある(写真はイメージ)

N700系の場合、わかりにくいが壁と網棚の間、奥まったところにも小さな吹出口がある。窓側はどうしても外気温の影響を受けやすいため、調整できるように取り付けられているのだ。これは自分で開閉することができるが、他の座席まで吹出口を閉じることはできないので、窓側はエアコンが効きすぎると感じてしまう人もいるだろう。

また、東海道・山陽新幹線ではA席側が南側にあたり、晴れていると日が入るので、眩しいのが嫌な人や日焼けをしたくない人はE席側に座るとより快適に過ごせる。

多目的室の利用方法

多くの列車には、多目的室と呼ばれる個室が必ず1カ所設置されている。折畳み式の座席兼ベッドが備え付けられてあり、車いすでも出入りできる。東海道・山陽新幹線では11号車にある。

多目的室は体の不自由な利用客が優先、かつ利用もあらかじめ申し込めるようになっている。ただし、空いている場合は授乳や着替え、気分が悪く横になりたい場合などでも利用可能だ。車掌に申し出れば良い。普段は鍵がかかっているが、車掌の判断で開けてくれる。

  • 11号車にある多目的室(写真はイメージ)

筆者は以前、車内販売員として毎日のように東海道新幹線に乗っていたが、「赤ちゃんがぐずって、ずっと泣きやまない」「気分が優れず、目的地の駅に到着するまで横になりたい」などの理由で利用している人をたびたび見かけた。急病人など優先度の高い人が来たら譲るべきだが、空いている際は堅苦しく考えず、活用すると良いと思う。

よりスピーディーに乗降りするには?

指定席は号車を指定して予約できる。階段・エスカレーターから近い号車を選ぶと、よりスピーディーな移動が可能となる。東海道新幹線(東京~新大阪間)では建設当時の配慮から、グリーン車(16両編成の8~10号車)に近いホーム中央部に階段・エスカレーターを設置している駅が多い。なお、2003年に開業した品川駅などは、その限りではない。

  • 東京~新大阪間で1964(昭和39)年の開業時からある駅は、グリーン車の連結位置に近い場所に階段やエスカレーターがある(写真はイメージ)

「のぞみ」などに使用されるN700系16両編成の長さは約400m。自由席(1~3号車)あるいは15・16号車だと、やっと目的地の駅に到着したというのに、ホームで歩く距離が長すぎて疲れてしまうことがある。大きな荷物を抱えているならば、7号車や11号車をあらかじめ指定することをおすすめしたい。

筆者プロフィール: 古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。現在はタレント活動のほか、公立高校などで講師も務めている。2015年には「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、旅行サイト「ぐるたび」などでも執筆活動中。泉佐野市PR大使。

※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。