日に日に気温も下がり、秋も深まってきた。熱いお風呂が恋しい季節、今回向かったのは品川区旗の台にある「中延記念湯」である。東急池上線「旗の台」駅より歩いて5分。隣の「長原」駅からも同じくらいの距離のところ、住宅街に佇む銭湯だ。コインランドリー併設、地域の秋祭りがあるのだろうか、玄関には提灯がぶら下がっていた。

「中延記念湯」へは東急池上線「旗の台」駅から徒歩5分

脱衣所内に露天風呂!?

入って、板鍵のついた下足箱を通り、フロントへ。右手のカウンターに女将さん。左手の衝立向こう側がちょっとしたロビースペースになっており、マッサージチェアやソファなどが置かれていて、湯上がりに一休みできる。正面向かって、左が男湯、右が女湯。

脱衣所はゆったり広い。両側と中央にロッカー。青いkeihoku製のはかりと、小さい自販機があるほか、注目したいのは背側にある露天風呂。なんとこちらの銭湯は、露天風呂が脱衣所内にある。

つまり、一度浴室に入って一通り汗を流した後、脱衣所の中を通って露天風呂に移動することになる。そのため、浴室入口から露天風呂入口まで、床にはバスマットの導線が敷かれているのが面白い。露天風呂につかってちょうど見える位置に大型のテレビも置かれている(窓を開ければ音も聞こえるかもしれない)。平日の15時頃、相客は4~5人だった。

無料のスチームサウナに種類豊富な浴槽たち

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴室に入ると、正面にはペンキ絵が描かれている。中島絵師が描いたと思われる「富士山」に、田中絵師が描いたと思われる「地球と少年」がハイタッチしているかわいらしいイラスト。共作で「ナカジマ タナカ 25.3.11」のサインもある。

正面と壁側に沿って浴槽が広がっており、細かく分割。座風呂のジェットバス、立って使う強力なジェットバス、足裏を刺激するジェットバス、電気風呂、薬湯(この日はたまたま白湯だった)、水風呂、それに水深10cmくらいの極浅いところがあって、どうやらここは寝転んで使うらしい。

うたせ湯風のパイプもあったが、こちらはボタンを押しても反応しなかったので現在は使われてない様子。また、スチームサウナは利用無料。これに加えて露天風呂もあるのだから、小さいながらもぜいたくなお風呂だ。ちなみに湯は全体的にややぬるめで、42度前後かと思う。小さな子どもも嫌がらずに入れるだろう。

中延記念湯は、毎週日曜日は10時から朝湯の営業がある。段々と湯冷めする時期になっているので、休みの日は明るい内にお風呂に入ってしまうのも、これまたぜいたくな楽しみ方のひとつだ。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。