この日、汗だくになりながら電車で向かったのは「神田アクアハウス江戸遊」だ。JR山手線「秋葉原」駅から徒歩8分。神田川にかかる昌平橋の近くで、御茶ノ水駅からも近い。

「神田アクアハウス江戸遊」へは、JR山手線「秋葉原」駅から徒歩8分

こちらは東京浴場組合には加盟していないものの、都心の好立地と、都内組合加盟銭湯と同じ460円(2017年8月現在)、さらに、11時から翌8時までという長時間営業で、熱烈なファンも多い銭湯だ。とにかく、東京で午前中から汗を流せる場所は選択肢が少ない。そういった意味でも貴重な存在で、秋葉原という観光スポットが近いことからも旅行客の利用も多いと聞く。

「ゆ」の文字でここが銭湯あることを知る

外観は全く銭湯らしくない。どこかのオフィスビルか、ひいき目に見てもスポーツクラブの入口に見える(現に、当ビルには同グループが経営するプールが併設されている)。自動ドアから中に入ると、右手には自販機とコインロッカーが。靴を脱ぎ、下足箱に入れて鍵を取る。

入浴料はタッチパネルの自動券売機で。サウナは別料金(サウナコース)のほか、レンタルタオル、歯ブラシや下着類まで。始発待ちの時間つぶしに使う人もいるのかもしれない。特徴的なのは入浴の「3時間制限(深夜は6時間)」。あくまでも銭湯ということで、カプセルホテルのように使ってくれるなということだろう。下足鍵とチケットをフロントに渡し、ロッカーキーを受け取る。脱衣所は3階で、エレベーターか階段で上がる。

脱衣所の入口には足つぼマッサージ機とケータイの充電器。さらに自販機(アルコールあり)。脱衣所自体はロッカーとデジタル体重計、洗面台・ドライヤーのみで、人気で混み合っていることもあって少し手狭な印象。ただ、2階がマッサージチェアや軽食処、喫煙室、ゆっくり腰を落ち着けられる畳スペースなどがあるリラックスフロアになっているので問題はない。

ややぬるめの湯につかってゆったりと

男湯のイメージ(S=シャワー)

平日11時半頃の訪問、相客は12~13人はいただろうか。浴室はコンパクトで、カランも8基しかないので、タイミングが悪いと全部ふさがっている。それぞれは仕切られていて、ボディソープとリンスインシャンプーは備え付けがある。正面は磨りガラスになっているので採光はいい。

主浴槽(檜風呂)は41度、人工温泉は39度とどちらもぬるめ。二股温泉の発生装置は一時期流行ったのか、一般の銭湯でも稀に見かける。「昼サウナ」の客は半分くらいだっただろうか。

元々銭湯の数が少ない千代田区内に、こういった個性派の銭湯があるのはうれしい。スーパー銭湯ライクで、昭和銭湯ファンは物足りないかもしれないが、昼夜問わず日常的に湯を楽しむ文化がここでは根付いている。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。