「お金持ちになりたい」と願った経験を持つ人間は多いはずだ。必ずしも、お金があれば精神的充足が得られるわけではないが、少なくとも物質的充足を得られる可能性は高まる。貨幣制度が通用している現代制度においては、お金はあるにこしたことはないのだ。

ではズバリ、どうしたら「お金持ち」になれるのだろうか。やるべき行動、学ぶべき知識、持っておくべきビジョン……。お金持ちに必要となる要素を数えていったら枚挙にいとまがない。ということで、「お金のプロ」であるFPに「お金持ちになれる人となれない人の差」を考えてもらった。本特集では5人のFPの見解を紹介していく。

お金持ちは「生産者」としての意識が強い

誰でもお金持ちにはなりたいと思っているはずです。しかし、その思いの実態はさまざまです。「宝くじで一攫千金」のようなイメージの人もいれば、「コツコツと貯蓄して何とか老後は楽に暮らせれば、それがその人なりのお金持ち」と思うケースもあるでしょう。

一口に「お金持ち」と言っても実態は千差万別ですので、共通点を見つけるのはなかなか難しいものがあります。それでも少なくとも、安穏な暮らしを全うでき、豊かな心で生涯を送る人と、常にお金の心配をしつつ暮らさなければならない人との違いは大きいです。その違いはどこにあるのでしょうか。

人生3分割で考える

子ども時代は誰でもほぼ消費者です。高齢になってリタイアしたケースも、ほぼ消費者となるでしょう。「人生100年時代」と言われ、生涯現役を表明するケースもありますが、誰にでも可能というわけではありません。

卒業してからリタイアするまでが、生産者時代となります。もちろんその間も消費はするのですが、問題は意識がどこにあるかなのです。生産者として生きるこの間の考え方がどこにあるかで、資産形成に大きな違いが生まれそうです。

若い時代は、働いていても意識としては消費者部分が強いのが一般的かもしれません。しかし物が溢れている時代、昔と比較して生産者意識が希薄になっているようにも感じます。何事も先手必勝、お金持ちになった人は若い時代により生産者としての意識を強く持っているはずなのです。

戦後、三種の神器はなぜ話題になったのか

三種の神器とは、本来はアマテラスオオミカミが孫のニニギノミコトに与えたという3種の宝物で、天皇が皇位の印として、代々伝えた八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)のことです。

戦後、この三種の神器になぞらえて、当時の日本人の垂涎の白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が「三種の神器」として喧伝されました。その後、1960年代半ばのいざなぎ景気時代には、カラーテレビ (Color television)・クーラー (Cooler)・自動車 (Car) が新たな三種の神器として「3C」と言われました。その後、新たな3Cやデジタル三種の神器などが提唱されましたが、勢いは急速になくなっていきました。

これらの家電製品等は当時も今も消費財には違いありません。しかし、戦後の日本人にとって、それらは長い労働と節約の結果、ようやく手に入るかもしれないものであり、だから三種の神器と言われたのです。「消費」の背景には「生産」の意識がしっかり存在していたのが現在と大きく違う点です。

新しい三種の神器が生まれないということは、消費の中に生産の意識が希薄であることを意味しているのではないでしょうか。

成功者は「先を見通せる力」に優れる

1つの企業を考えてみると、役職に応じて責任も強くなります。この役職に必要なスキルは、その分野の技術的スキルはもちろん、どこまでの範囲を掌握できるか、どこまで先を読めるかが問われます。係長クラスであれば、新人を指導し、係の範囲内の1年間の目標設定とその成就が問われるでしょう。社長はどうでしょうか。5か年計画や10年計画なども立案する必要があるでしょう。広く世界の趨勢の把握も必要かもしれません。

そのためには、先を見通す力や想像力、その分野のスキルや知識はもちろん、情報収集力、優れたパートナー、交遊力などが求められるでしょう。一代でビッグビジネスを確立した方には、よいパートナーにも恵まれていたように思います。人間関係能力は資産形成につながる事業能力に大きく影響するはずです。より大きな夢の成就には、より先々まで考える力が大切でしょう。

お金持ちは若いときから「準備」している

若い時代は浪費しがちなのです。しかし、若い時代ほど将来の暮らしの豊かさに向けて準備できるときなのです。「今は給与も安いから貯蓄はできない」「仕事が忙しいのでスキルアップの勉強もままならない」と言い訳をしていませんか? 若いときほど、忙しくてもなんでもこなせるエネルギーがある時期なのです。

給与が少なくても、教育費などのしがらみも少なく、工夫次第で将来の準備を始められるのです。生命保険や医療費の保険料を考えてみると、若い時の加入ほど保険料が少なくて済みます。裏を返せば蓄財も早いほど有利だということなのです。

何事も先手必勝で臨むのと、いろいろ言い訳して後回しにするのとでは、先々大きな違いが生まれるのは必然でしょう。

成功への夢を描けるかがカギ

夢がなく、将来への思いがなく日々を過ごしていれば、将来への対処や準備も進みにくくなります。ファイナンシャルプランニングの最初の一歩は、「これからの生涯、何をしたいか」の確認から始まります。最も重要な項目で、本音を把握する手法はいろいろ工夫されています。その一つが「書き出してもらう」方法です。それをご紹介しましょう。ぜひ試してみてください。

夢や希望を書き出して自分を見つめる作業

  • 夢や希望を書き出す

    夢や希望を書き出す

住宅取得の際のサンプル例

下記の事例は住宅取得に際してのサンプルですが、これを「自分の将来の夢」をテーマに作成してみてください。最初は何も書けなくても時間が経つにつれて、いろいろ書けるようになり、思わぬ自分の本心を再認識することも少なくありません。

住まいを取得する方にも、この方式をお勧めしています。自分自身を見つめることにより、本当に自分たちに最適な間取りが見えてきて、今まで考えていた間取りが覆ったという例もあります。

  • 住まいについて自分の夢を書き出す

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