手軽に料理の味を高めてくれる化学調味料は何からできている?

化学調味料。化学調味料は科学的に合成されたものだから子供には食べさせたくない……そういった考えのお母さんは多いようですが、じゃあどうやって化学調味料が出来上がっているのか知っている人はほとんどいません。確かに「味の素」を始め、化学調味料と言われるものは白い粉であることが多く、食品に馴染みにくいイメージがあります。

基本はグルタミン酸

スーパーでひっそりと売られている塩のようで塩でない何か。しかし、健康的な自炊において、今こそ見直されるべきはあの白い粉、と言ったらどう思いますか?

化学調味料はたったひとつまみの添加で、料理に奥深い味を追加することができる調味料です。うまく使えば料理を一手間どころか二手間、三手間くらいは楽々省ける、台所の強い味方となります。

一言に化学調味料といっても、実はいくつもの種類があります。「味の素」には99%のグルタミン酸ナトリウムに、安定剤として食塩が入っています。「ハイミー」にはグルタミン酸ナトリウムの他に、核酸系調味料とラベルに書いてあります。これらは一体何なのでしょうか? 本当に実験室で作るようなものなのでしょうか?

まずはその生い立ちから迫ってみましょう。今から100年前、化学調味料の特許が取られた当初は、小麦グルテンを加水分解することで得られる、素精製な製造方法で作られていました。

現在はバイオテクノロジーを駆使した、安全かつ安価で大量に合成できるバイオケミカルの技術が製造に生かされています。その技術を用いて、サトウキビの絞りガラと特殊な細菌や酵母、そして極めて厳格にコントロールされた温度やpHなどの環境管理によって、化学調味料は作られているのです。

酵母を用いてグルタミン酸を精製

化学調味料の製造というと、一般的にαーケトグルタル酸生産性の特殊な酵母を、糖分とアンモニウム塩が多めの培地を用いて培養することから始まります。すると、酵母は体外にグルタミン酸を排出するので、それらの反応を効率化した工場で、化学調味料は製造されています。この化学調味料は化学合成品というより、発酵成分とも言えます。

グルタミン酸自体はコンブのうまみの他、人間の唾液にも含まれています。納豆のネバネバもグルタミン酸が連なったもので、グルタミン酸自体は何ら珍しいものでなく、安全な成分なのは言うまでもありません。

しかし、注意点はあります。グルタミン酸はわずか0.03%の水溶液においても十分にうまみが感じられる化学物質です。濃度が濃いとうまみ成分が味覚神経の受容体に入り切らなくなり、それが苦味などの他の味の部位にむりやり結合し、結果、「まずい」という信号を脳に送ってしまうこともあります。

そこで、「化学調味料=味がエグい」という誤解を持たれたりしていますが、ルールを知ってうまく使いこなすと、料理のグレードをグっと上げることができます。次回は、化学調味料の味を120%引き出すブランド別の「黄金比」を紹介します。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。