大学を卒業して就職し、がむしゃらに働いて20代を過ごした社会人も、30代に入ると転職や結婚、住宅購入など、人生のさまざまな転機を迎えることになるだろう。そういった意味で、30歳は一つの節目となる年齢といっても過言ではないが、「デキる30代」になるために知っておくべきことは意外と少なくない。
そこで本特集では、ファイナンシャルプランナーの佐藤章子氏に、30代を迎えるまでに最低限知っておきたいテーマの基本を解説してもらう。3回目となる今回は「投資」について紹介する。
平成29年の平均余命は35歳男性で46.88歳、女性は52.79歳です。合計すると、昨年35歳の男性は約82歳、女性は89歳まで生きる計算となります。あくまで平均ですので、それよりも長生きするケースも想定しておかねばなりません。
空前の低金利時代が続き、預貯金だけでは十分な資産形成は難しいのが現状です。さらに、天災による自宅損壊や事故に伴う失職や入院といった不測の事態も、これから生きていくうえで当然起こりえます。先立つものが多いに越したことはありません。そのための選択肢として投資を選んだ場合、どのようにリスクに対処し、収益を上げればよいのでしょうか。まずはここから考えましょう。
投資は若いうちからした方が圧倒的にお得
投資と聞くと、「一攫千金的に大金が入る」とイメージする人もいらっしゃるかもしれません。ただ、がっかりされるかもしれませんが、投資の資金を作る第一歩は「節約」とそれによる「預貯金」です。投資は基本的には長い目で考えるものなので、早めに節約してスタートしたほうが、長期的には差がつくのです。これを「運用の価値時間」と呼びます。時間が利益を生んでくれるのです。
下図のAさんは大学卒業と同時に年間20万円を12年間投資し続け、4%で運用。その後はそれまでの投資金額のみを運用した結果、65歳で約1,000万円受け取りました。Bさんは、30代半ばでスタートしたので65歳のときにほぼ同額を受け取りましたが、投資金額と年数はAさんの2倍以上必要です。Aさんがそのまま、13年目以降も年間20万円を投資し続ければ、受取金額は約2,000万円にもなります。
「流動性」と「安全性」と「収益性」
貯蓄の最初は万一の場合に必要な預貯金です。いつでも換金できて流動性があります。一定の預貯金が確保できたら、その次は少し利子などが高い定期預金や債券などに投資します。基本の資産形成にめどがついたら、少しリスクを負って収益性をという順序が基本です。
「分散投資」と「積立」
分散投資とは、投資のリスクを分散することを意味します。例えば株を購入する場合、輸入会社と輸出会社を購入するとリスクは分散されます。業種を分散するほか、国を分散したり、地域を分散したり、時間を分散したりと分散はいろいろあります。
積立商品は小額からできるメリットもありますが、毎年積み立てることにより、一種の分散投資の意味合いもあります。上記の「流動性」「安全性」「収益性」も一種の資産の分散とも言えます