似たようなモノやサービスが溢れている現代。その中から選ばれるためには、「ブランディング」の考え方が不可欠です。そしてそれは、モノやサービスだけに限らず、個人にも同じことが言えるでしょう。

本連載では、ブランディングプロデューサーとして活躍されている後藤勇人さんに、「パーソナルブランディング」についての基本的な考え方を伺います。これからの時代に、あなたが“その他大勢”の中から抜け出し、自分らしく生きていくためのヒントが見つかるかもしれません。

  • 3年後の自分を予測する方法 - パーソナルブランディングで広がる未来とは

「自分で未来をつくる思考」を持とう

自分の未来を知ることができるタイムマシーンがあったら、どんなに素晴らしいでしょうか? 残念ながら、現在の科学では未来を予測することはできません。

しかし実は、かなりの確率で未来を予測できる方法があります。
それは、「自分で未来をつくる思考」を持つことです。そのためには大きな発想の転換が必要になります。

時間は「過去→現在→未来」の流れで動いています。
それを、全く逆の「未来→現在→過去」の流れで見ていくのです。

具体的なやり方としては、まず3年後の自分の理想像を描くところから始めていきます。

目を閉じて、心を落ち着けながら、3年後どんな自分になりたいかを思い浮かべましょう。この時に大切なことは、何もかもを今の自分の力量から判断してしまわないことです。これはできそう、これはできないかもしれないといった判断を自分なりに下してしまうと、現在の自分の力を加味した小さなデザインの未来しか思い浮かびません。

理想像を思い描く段階でこの発想が入ってきてしまうと、心理学でいうレッテル効果が生まれ、本来自分が持っている潜在能力を発揮できなくなってしまいます。

ですから、大事なポイントは、とにかく今の自分の力量を考えないことです。「こんな風になったら面白い」とか「こうなったらすごいな」という期待を織り交ぜた理想像を描きましょう。

理想像が完成したら、その理想を実現するために必要な行動や人、環境をすべて書き出します。さらに、書き出した行動に優先順位をつけて、それを実行に移します。

考え方としては、パズルに置き換えるとわかりやすいかもしれません。
理想の未来をパズルの完成図として捉え、取るべき行動や必要な人、環境は、それぞれパズルを構成するピースとして捉えるのです。

私は数年前に、後藤会というコミュニティを立ち上げて、さまざまなイベントを開催していました。その中の1つに、「真夏の夜の大人のクルージングパーティー」という企画がありました。

その企画を実現するにあたって、私は船舶の一級ライセンスを取得することに決めたのです。本来は私が操縦するわけではないのでライセンスはいらないのですが、なぜか「この機会にライセンスを取得しよう」と思い付き、計画をスタートしました。

船舶一級ライセンスを持っていれば、イベント的にもさらなる盛り上がりが期待できます。とはいえ、簡単に取得できるライセンスではないのも事実です。内心は「ブランディング的にもちょっとカッコいいな」と思ったのも本音です。プライベートでウェイクボードなどのマリンスポーツもやっていたので、船舶一級ライセンスの取得は一石二鳥のプランでした。

この時、私の未来のパズルは「私自身が船舶一級ライセンスを取得して、参加者に夏の夜を心置きなく楽しんでもらえるようなクルージングパーティーを開催する」という完成図を描いていました。

そのためには、「船舶一級ライセンス」「大型クルーザーの手配」「集客」「一緒に実行してくれるスタッフ」など、いくつかの必要なピースがありました。

その中でも、一番揃えるのが難しいピースは「船舶一級ライセンス」です。そこで、すぐにそれを取得するべく行動に移しました。最初にとった行動は、パソコンに「船舶一級ライセンス」のキーワードを打ち込んで調べること。

問題集、講習日程、試験日、必要書類などを調べて動き出し、パソコンにキーワードを打ち込んだ約3カ月後には、私の手元に船舶一級ライセンスが届いていました。

クルージングパーティー開催当日の主催者紹介では、「今回の主催者は船舶一級ライセンスを取得している方ですので、緊急時には彼が操縦するかもしれません」と、ジョークを言われたのを覚えています。

これが、未来を予測するための「自分で未来をつくる思考」です。
今回はたまたまクルージングパーティーの開催を例に挙げましたが、昇進することでも、本を出版することでも、家を造ることでも、結婚相手を探すことでも、あなたが描く理想の未来像を実現するためのプロセスは基本的にすべて同じです。

どんな未来でもつくることができますし、言い換えれば未来を予測することができるのです。そのためには、最初に理想の未来を決めて、そこからパズルのピースを集めていくことが重要です。

現在自分がとっている行動は、すべて理想の未来をつくるための行動となります。
どうぞ、3年後の理想の自分をつくるべく今すぐ行動を起こして、理想の未来を引き寄せてくださいね。

■ 筆者プロフィール: 後藤勇人 (ゴトウハヤト)

一般社団法人「日本女性ビジネスブランディング協会」代表理事。
専門学校卒業後、24歳で最初のヘアサロンを開業。32歳までに、ヘアサロン、日焼けサロン、ショットバーなど、グループ4店舗を展開し、年収2,000万円達成。1億円の自社ビルを建設する。
その後、「グレコ」で有名な世界のギターファクトリー「フジゲン」創業者・横内祐一郎氏の総合プロデューサー、元ミスワールド日本代表のビジネスブランディングプロデュースを経て、一個人や会社のブランドをつくるブランディングプロデューサーとして活躍。
著書に『成果を出す人、出せない人との大きな違い その「1分」を変えなさい!』(実業之日本社)、『世界一の会社をつくった男』(中経出版)、『最強の社員マネジメント』(総合法令)など。
オフィシャルブログオンラインサロンメルマガも運営中。