似たようなモノやサービスが溢れている現代。その中から選ばれるためには、「ブランディング」の考え方が不可欠です。そしてそれは、モノやサービスだけに限らず、個人にも同じことが言えるでしょう。

本連載では、ブランディングプロデューサーとして活躍されている後藤勇人さんに、「パーソナルブランディング」についての基本的な考え方を伺います。これからの時代に、あなたが“その他大勢”の中から抜け出し、自分らしく生きていくためのヒントが見つかるかもしれません。

AIに仕事を奪われないために

AI(人工知能)が普及し、多くの仕事がAIに取って代わられる時代に突入する中で、AIに職を奪われて消えてしまう人と、AIの脅威から自分を守り生き残ることができる人の差は、一体どこにあるのでしょうか。

AIというのは、コンピュータを用いて、学習・推論・判断など人間の知能の働きを人工的に模倣したソフトウェアやシステムのことを指します。では、AIにはできないこと、人間にしかできないこととは何でしょう?

それは、「人と人を繋ぐコミュニケーション」や、「何かを企画して作り上げるプロデュース」です。この部分は、ある意味AIの弱点とも言えます。

敵から身を守るためには、相手を知ることが絶対条件です。つまり、AIの脅威にさらされないためには、孫子の兵法で有名な「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」、このスタンスが非常に重要です。まずは相手=AIの実情を知り、同時に自分の能力もしっかりと把握しておくべきということです。

ここで一例を挙げましょう。
皆さんよくご存知の「AKB48」というアイドルグループがいますね。これをプロデュースしているのは、秋元康さんです。

秋元さんは、アイドルグループを企画立案して世に送り出す凄腕プロデューサーとして有名です。また、AKB48のメンバーもさまざまなメディアで活躍し、国民的アイドルとして今や超メジャーな存在となりました。

しかし、同グループメンバーの代わりの人材は、日本中には数えきれないほどいると考えることもできます。特に他のメンバーと比べても特色がなく、あまりブランディングができていない人ではなおさらです。

その証拠に、同グループからメンバーが脱退したり、他グループとのメンバー入れ替えが行われたりすることもありますが、AKB48というグループそのものは存続しています。特別なファンでもなければ、メンバーが替わっていることに気付かない場合もあるかもしれません。

それは、彼女達がAKB48というグループの大きなパズルを構成する1パーツだからであり、メインパーツではないからです。

それに引き換え、プロデューサーの秋元さんが誰かと入れ替わることは不可能と言っても過言ではないでしょう。
なぜなら、彼のプロデュース能力は他の追随を許さないほど秀でているからです。

AIに取って代わられてしまう人材とは、AIにも再現できる技術しか持っておらず、それ以外にコミュニケーション力やプロデュース力も持ち合わせていない人材であると言い換えることができます。

反対に、コミュニケーション力やプロデュース力が優れていれば、技術面でAIに代わられてしまっても、総合的にはAIが代わりを担えないポジションを築けているということになります。

もちろん、AKB48のメンバーの中でも、他の人には真似できない唯一無二の強み、いわゆる武器をまとっていれば、そうやすやすと消えていく人材にはならないでしょう。

ここで、話をまとめますと、これからのAI時代に「生き残る個人」というのは、

1. 同じ分野の人と差別化できる強みが明確な人
2. AIに対抗できるコミュニケーション力を持っている人
3. AIが持ち合わせていないプロデュース能力を備えており、企画立案・作成できる人
4. 突発的な問題にも臨機応変に対応できる、AIが持っていないようなマインドを所有している人
5. あらゆる組織に柔軟にアジャストし、力を発揮できる人

これらに当てはまるような人材であると言えます。
どうぞ、自分を磨いて、AI時代に突入しても活躍し続けられる人材を目指しましょう。

■ 筆者プロフィール: 後藤勇人 (ゴトウハヤト)

一般社団法人「日本女性ビジネスブランディング協会」代表理事。
専門学校卒業後、24歳で最初のヘアサロンを開業。32歳までに、ヘアサロン、日焼けサロン、ショットバーなど、グループ4店舗を展開し、年収2,000万円達成。1億円の自社ビルを建設する。
その後、「グレコ」で有名な世界のギターファクトリー「フジゲン」創業者・横内祐一郎氏の総合プロデューサー、元ミスワールド日本代表のビジネスブランディングプロデュースを経て、一個人や会社のブランドをつくるブランディングプロデューサーとして活躍。
著書に『成果を出す人、出せない人との大きな違い その「1分」を変えなさい!』(実業之日本社)、『世界一の会社をつくった男』(中経出版)、『最強の社員マネジメント』(総合法令)など。
オフィシャルブログオンラインサロンメルマガも運営中。