今、私たちは、新型コロナウイルス感染症防止と経済社会活動が両立した、新たな社会の構築を目指さなければなりません。学校も分散登校により段階的に再開し、学校での対面指導と家庭でのオンライン学習などを組み合わせて、子どもたちの学びを確実に確保することになりました。

東京都もオンラインによる教育や医療、テレワーク、行政手続きのデジタル化などを加速し、「人」と「人」との繋がりをより多様化させることで、さらに一歩進んだ社会の実現を目指しています。

変化の大きい時代、これから育つ子どもに求められるのは、「自ら考え、学ぶ力」を早期から養い、様々な変化への即応性や柔軟性を高めることです。

  • 子どもが自発的に学ぶコツは?

オンライン学習は考える力を伸ばすチャンス

子どもの学びは、最初が肝心。家庭でのオンライン学習の第一歩を、親が丁寧にサポートして一緒にやり方を考え、アドバイスし、子どもが楽しく集中でき、得意なことをしてあげて下さい。

学校から送られたURLを開き、課題のファイルをダウンロードするなど、時間を惜しまず丁寧に教えます。そして、次回からは一人でやるように促します。

「上手にやれるね! すぐ覚えて、すごいね!」など、まず、褒めた上で、「次は一人でできるよね」と本人に任せます。適度なプレッシャーがかかり、子どもはやる気が出ますし、デジタル教材の中には、鮮やかな色彩やゲーム的要素で子どもを夢中にさせるものも多いです。

熱中できている時は、横から口を出さず、子どものやり方で集中させて下さい。「できない。前に進まない」と聞いてきたら、「どうしてだろうね?」と一緒に考え、問題点を見つけ、また、丁寧にフォローしてあげて下さい。親の忍耐が必要です。手のかかる子育ては一生続くわけではありません。

今こそが、PCやタブレットを使いこなし、子どもが「自ら考え、学ぶこと」を習慣にする基礎期間だと考え、深呼吸して、笑顔で向き合い導いて下さい。デジタルネイティブの子どもには大きな可能性があります。

一日のトピックスを考えまとめ、日記を書かせる

5歳になる前ぐらいから、毎日、日記を書かせることはたいへん有効。日記には、特別なことを書かせる必要はありません。その日にあったこと、思ったこと、気付いたことを考え、書く、それだけです。

自分の一日を振り返り、自分の言葉として書くことが、考える力を養っていくのです。子どもが日記を書いている間は、可能であればつきっきりで見てあげて下さい。子どもと一緒に一日を振り返る時間は、親にとっても有意義なものとなるでしょう。

また、筆が進まない子どもにヒントや助け船を出すことで、「日記=嫌なこと・つらいこと」と子どもが思い込まないように導いてあげることも大切です。特に上手に書けたときには、花丸をつけて大げさなくらい褒めてあげて下さい。

小さな成功体験を積み上げていくことは、子どもの成長には欠かせません。毎日の日課である日記は、子どもに成功体験を与え、自信を持たせ、「自ら考え、学ぶ」ことを自然に身に付けさせます。

デジタル日記でもかまいませんが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代に、あえて「紙に手書きする」ことをお勧めします。万が一、電池がなくなったら、サーバーが壊れたら、戻るところは手書き。絵を描いて添えるのもすばらしいです。言語が伝わらない時は絵やイラストが有効なコミュニケーションツールになります。

週に一回、家族の前で日記の内容を発表させる

日記の内容を振り返り、一週間に一度、家族の前で自分のトピックスを発表させるということを試みて下さい。「今週は何が楽しかった? どんなことがやりたくなった?」などとお題を与えてあげると子どもが発表しやすくなります。

家族が相手でも、前に立って自分の思いを伝えるスピーチをする。それを聞いたオーディエンス(この場合は家族)は「上手ね! 分かりやすいね!」と拍手する。最初は子どもにとってはプレッシャーで、ドキドキしたり、身体をくねらせてもじもじしたりしますが、立ち方や声の出し方もアドバイスしてあげましょう。

回数を重ねると子どもはすぐに上手になります。そうした積み重ねが、子どもに「ロジカルに分かりやすく伝える」ということを自然に身に付けさせ、今後さらに求められるプレゼンテーション能力、コミュニケーション能力が高い人間に育てます。

子どものやることを見届け、褒め、提案する

親というのは「私はこう思う。だからあなたもこうしなさい」と、"自分が考えた子どものためのベストな選択"を強要しがちですが、子どもは親の所有物ではありません。「私はこう思うけれど、あなたはどう思う?」と、子ども自身が考えるように導いて下さい。

忙しいとつい、あれこれ言ってくる子どもに対して「いいから黙って言うとおりにしていなさい!」と自分の考えを押しつけてしまうこともあるかもしれません。しかし、「自分はこうしたい。それを親に伝えたい」という気持ちが子どもに芽生え、行動に移すことは、すごい能力です。

たとえ親のなかで「それでも、自分はこうしてほしい」と結論が出ていたとしても、自分で考え、伝えようとしているお子さんの声に耳を傾けて下さい。

子どもが得意なことを見つけ、環境をできる限り整え、思う存分やらせる。そして良い点を見つけ出し、褒めて伸ばす。ということが基本ですが、何でもかんでも、ただ褒めるのではなく、同時に「ここをこうしたらもっと良くなるかもしれないね」と一歩踏み込んだ意見を伝えることで、「親は自分とちゃんと向き合ってくれているんだ」と子どもは理解します。

働きながら子育てをしていると、疲れやストレスから必要以上に否定的な言葉を子どもに浴びせてしまうことも、現実には多々あると思います。子どもが最も傷つくのは「頑張りが認められない」とか「理不尽は理由で否定される」ということです。

褒めるにしても、怒るにしても、その日の気分ではやらない、常に筋が通っていて ブレないことが需要です。

環境を整えて、「出てくる結果はチエックしますよ」とプレッシャーをかけつつ、ある程度は子どもの自由にさせる。そうすることで子どもは自分でそれなりに計画を立てて、自分自身をコントロールできるようになる。自分で考え、行動し、さらに学ぶ意欲が高まる。と、これは現役で東大に合格した息子たちの分析です。

今しかできない子育てを、是非、楽しみ、成果を出して下さい。