東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンスです。そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「7人制ラグビー」! 競技解説はS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチとして、トップクラスのラグビー選手を支えてきた岩﨑裕介さんです。

  • 「7人制ラグビー」の魅力とは?

7人制ラグビーの特徴

7人制ラグビーは前回大会のリオデジャネイロオリンピックから正式種目として採用されました。別名セブンズとも呼ばれます。

最大の特徴は7人制という名のとおり、各チーム7人のフィールドプレーヤーでプレーをすること。フィールドの大きさは長さ100m、幅70m。これは2019年、日本でワールドカップが行われる15人制ラグビーとまったく同じフィールドサイズ。つまり、本来15人でプレーするところを半分以下の7人でプレーしなければならないため、アタック・ディフェンスともによりスピードと持久力が選手に求められます。

7人制ラグビーを観戦するときのポイント

前述のとおり、本来15人でやるラグビーのフィールドを7人でアタック、ディフェンスするため、フィールドには大きなスペースが生まれます。15人制と比べ、フィジカルコンタクトは少なくなりますが、よりスピーディーな展開を目の当たりにできます。試合時間は15人制が80分(前後半40分ハーフ)なのに対し7人制は14分(前後半7分ハーフ)で、ハーフタイムは2分間です。

一見、試合時間が短いと思うかもしれませんが、1試合あたりの得点数は15人制とほぼ同じ。試合によっては15人制よりも得点が入る場合もあります。それほど7人制ラグビーはスピーディーに試合が展開され、頻繁に得点が入ります。見ている側としてはとてもエキサイティングで、目が離せない試合展開になりますね!

得点方法はトライ=5点、トライ後のコンバージョンゴール=2点、ドロップゴール=3点、ペナルティキックゴール=3点と、15人制と同じです。しかし、キックでの得点の仕方は少し違います。7人制の場合、地面にボールを置いて蹴る「プレースキック」は認められておらず、コンバージョンゴールやペナルティキックでゴールを狙うときはドロップキック(一度ボールをワンバウンドさせてから蹴るキック)でなければなりません。ですから、2015年ラグビーワールド・カップで話題になった「五郎丸ポーズ」のようなルーティーンはなかなかお目にかかれないかもしれません。

東京2020でのチームジャパンの展望

前回大会のリオデジャネイロオリンピックでは、男子がメダルまであと一歩に迫る4位入賞。初戦でラグビー大国ニュージーランドを撃破し、そのまま快進撃を続けました。リオデジャネイロオリンピック後も継続して強化を続けており、東京2020ではメダル獲得が大いに期待されます。

一方、「サクラセブンズ」の愛称で親しまれる女子日本代表は、前回大会が10位。金メダルを目標に大会に臨みましたが、悔しい結果に終わりました。東京2020に向け、先日発表された「東京2020第一次オリンピックスコッド・トレーニングスコッド」の選手の平均年齢は21.5歳。前回大会時の平均年齢は25歳でしたので、稲田仁ヘッドコーチのもと若いチームに生まれ変わっています。さらに、7月上旬に開催された「第30回ユニバーシアード夏季競技大会」では、そのメンバーを中心としたチームで、見事金メダルを獲得。大きな自信をつけ、東京2020にはメダル獲得を目標に挑みます。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

日本開催のラグビー・ワールドカップも近づいてきましたね。スクールウォーズ世代の私は、ラグビーには特徴が異なるポジションがいくつもあることから、小学生のときに体格・体力が違う友達同士で遊んでいた記憶があります。ケガも起きやすいスポーツなので、保護者から見ると、幼少期から始めることに抵抗があるかもしれませんが、最近では「タグラグビー」という子ども向けの種目もあります。タックルがないので、安全に楽しく遊ぶことができます。興味ある方は、教室もありますので体験してみてください。

競技解説:岩﨑裕介

2015~2017年、女子ラグビー日本代表チームのS&Cコーチとして活動し、2016年、女子7人制日本代表アシスタントS&Cコーチ(サポートスタッフ)としてリオデジャネイロオリンピックに帯同。2017年女子ラグビー・ワールドカップに帯同。2018年より、ラグビートップリーグ「キヤノンイーグルス」のアシスタントS&Cコーチ。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数。