東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンス! そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は東京2020で新しく採用されるサーフィン! 競技解説は旦尾麻樹さんです。

  • 「サーフィン」競技の魅力とは?

サーフィンの特徴

サーフィンは沖からくる良い波に乗って、ボードを動かし派手なアクションをしていく見応えのある採点競技です。ショートボード、ロングボード、ボディーボードと種類がありますが、東京2020はショートボードを使った大会となります。

簡単にルールを説明すると、1ヒート20分~25分で4人ずつ競技を行い、2人が勝ち抜けるという方式。時間内に何本でも波に乗ることが可能で、そのなかのポイントの高い2本の合計ポイントで勝敗を競います。

サーフィンを観戦するときのポイント

サーフィンの見応えといえば、やはり豪快なアクションでしょう。波に乗っているときのアクションには、いろいろな種類があります。選手たちは波の状況に合わせて、適したアクションを繰り出し、高得点を狙っていくのです。

まずは、代表的な「オフザリップ」。波のリップ(一番高いところ)にボードを当て込みターンする技。スプレーといって水しぶきがバババッと飛ぶ迫力のある技。他にも、波のフェイスから飛び上がるアクションの「エアリアル」。∞を波の上で描くようにボードを方向転換する「ラウンドハウスカットバック」。「フローター」といって崩れる波の上を走るアクション。波が頭の上を囲むように割れて幻想的な空間が広がるサーファーなら一度は体験したいアクション「チューブライド(バレル)」。どれも、アクションが決まるとオオッ! と声を上げてしまうほどの迫力で、テレビで見てもその迫力は伝わってきます。

そして、サーフィンにおいて、大事なポイントは「1つの波に乗れるのは1人だけ」というルールです。波の取り合いをして崩れる直前の波の頂上(ピーク)に、最も近い人がその波に乗る権利をゲットできます。また、プライオリティ(優先権)制度があり、それを持つサーファーのライディングを妨害するとペナルティーとなります。つまり、サーフィン競技では、波に乗る前の位置取りやポジション争いもとても重要。波が来るのをプカプカ浮いて待っているわけではなく、「どの波に乗るか?」「良いポジションはどこか?」と、波に乗る前から戦いは始まっているのです。

東京2020でのチームジャパンの展望

東京2020に向け「波乗りジャパン」が結成され、75名の強化指定選手が選出されました。なかもで注目されるのが、世界最高峰の大会(チャンピオンシップツアー)でチャンピオンになった五十嵐カノア選手(世界ランキング5位※)です。カリフォルニア在住で、飛び級で15歳で高校を卒業し、5か国語を話す頭脳明晰な選手です。その下のクラス(クオリファイングシリーズ)の大原洋人選手、稲葉玲王選手などの活躍も期待されています。女性チームにも、日本を代表するサーファーの第一人者である父を持つ脇田紗良選手や2度の世界ジュニア優勝経験のある前田・マヒナ・穂乃香選手など実力者が揃っています。世界の上位ランキングに名を連ねる選手たちが集まる日本チーム。メダルも夢ではありません。 ※世界ランキングは2019年6月25日現在

遠山健太からの運動子育てアドバイス

幼少期からサーフィンをするというのはひと昔では考えられませんでしたが、最近ではキッズサーフィンスクールも増えてきているようです。家族に経験者がいないとなかなか始めるきっかけはないと思いますが、「不安定な水上の上で板の上に立つ」という運動はボディバランス向上につながり、また、裸足で行うので、足裏の感覚が養われるという意味では魅力的です。ただ、幼少期はまず安定した面上でしっかり遊ぶことが大事なので、サーフィンは小学校中学年以降に体験から始めてみてはいかがでしょうか。水泳を習っていれば、次のスポーツの選択肢としてもよいと思います!

競技解説:旦尾麻樹

東京都渋谷区代官山のトレーニングジム「RISE personal training gym」代表。アスリートや医師からの信頼が厚く、年間1500件を超えるセッションを行う。国の健康づくり政策、企業の健康経営にも詳しい、パラリンピック車椅子テニス日本代表選手なども担当する。東京スポーツ&リゾート専門学校非常勤講師。自身、サーファーであり、プロサーファーを目指すアスリートのトレーニングも担当している。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数。