東京2020はさまざまなスポーツをお子さんとともに楽しめるまたとないチャンス! そこで、子どもの運動能力向上に詳しいスポーツトレーナー・遠山健太が各競技に精通した専門家とともにナビゲート! 全33競技の特徴や魅力を知って、今から東京2020を楽しみましょう。今回は「空手」。競技解説は、空手歴28年、神奈川県空手道連盟理事としても活躍した、スポーツトレーナーの藏前然自さんです。

  • 空手

    「空手」の魅力とは?

空手の特徴

空手は沖縄琉球王国より伝来し、日本の伝統武術として発展したものです。1985年に世界空手道連盟(以下、WKF)がIOCに加盟し、世界的な競技として発展していきました。競技種目としては、決められた演舞種目より選択し行う「形」と、1対1で有効打のポイントを競い合う「組手」があり、ともに8×8mのコートを使用します。

「形」は、男女別に1対1の対戦方式によって行われ、競技者はWKFに定められた既定の演舞種目(102種類)の中から自身の行う形を選択します。判定は計7名の審判によって行われ採点方式で勝敗を決定します。採点方法は、立ち方、技、タイミングなどを評価する「技術点」と、スピード、力強さを評価する「競技点」を5.0~10.0の間で採点し、技術点を70%、競技点を30%として計算し算出します。

「組手」は制限時間3分間、男女別、階級別の1対1の対戦形式で行われ、実際に相手に対して攻撃を行います。有効打として認められればポイントとして加点され、制限時間内により多くのポイント、もしくは8ポイント差まで取ったほうの勝ちとなります。攻撃点数は、打撃方法や当てる個所によって点数が異なり、突きによる攻撃はすべて1点、蹴りによる攻撃で「中段」(胴体部)2点、「上段」(頭部)3点、足払いや投げで相手を倒しての「下段」攻撃で3点となります。時間切れで同点になった場合は、試合が始まって先に点数を取得したほう(先取)が勝者となります。

また。反則については2種類のカテゴリーに分けられています。

カテゴリー1:相手に対して危険な行為。攻撃は「寸止め」で行われ、軽いソフトタッチまでは認められるが、相手にダメージを与えるほど当ててしまった場合は反則となります。 カテゴリー2:カテゴリー1以外の反則行為。場外に出てしまった場合や10秒以上攻撃をしない、長時間つかみ続けるもしくは両手で相手をつかむ行為(片手は許される)、無防備なども反則になります。

各カテゴリー、上限である4ポイントまで加算されると、反則負けとなります。

空手を観戦するときのポイント

「形」の本質は"武道の技"を伝えるためにあり、常に相手を想像して行われます。卓越した技になると、その場に相手がいるかのような錯覚を起こさせます。なかには、素早く身をひるがえし、空中に飛び上がるような技もあり、迫力満点です。

また「形」には、「決め」と言われるシーンがあります。素早い動作から瞬間的に技を力の限り繰り出し、気合とともに「決め」を作る。すべてが集中した瞬間に発せられる気合と、破裂音にも似た技の空を切る衝撃音に圧倒されます。

「組手」では、ほかの競技にはない間合い(距離)の広さに驚かされます。その広い間合いを瞬時につめて繰り出される技のスピードは圧巻です。近年の組手における蹴り技は多種多様を極め、思いもよらない角度から繰り出される蹴りには美しささえ感じられます。

また、近距離での攻防も魅力の一つです。変則蹴りはもとより、相手を投げてからの攻撃はアクション映画さながらの迫力です。

東京2020でのチームジャパンの展望

「形」では、男子の喜友名(きゆな)諒選手、女子の清水希容(きよう)選手は、メダルが確実視される注目選手です。ただ、近年は海外勢の進出も目覚ましく、女子のサンドラ・サンチェス選手(スペイン)は2018年の世界選手権で清水選手の3連覇を阻止し、東京2020でも清水選手の前に立ちはだかるのは確実でしょう。

「組手」では、男子84㎏級の荒賀龍太郎選手、同75㎏級の西村拳選手、女子68㎏級の植草歩選手などはメダル圏内確実でしょう。特に、5度の世界選手権を制したラファエル・アガイエフ選手(カザフスタン)を破った西村選手は注目です。

近年、科学的なトレーニングを重要視するようになり、「空手」は飛躍的な進歩を遂げました。今後は伝統を踏襲しつつ、どうように技術を発展させるかがポイントになると思います。

遠山健太からの運動子育てアドバイス

20年以上前の話ですが、空手をオリンピック種目にする活動の通訳アルバイトをしたことがあります。IOCサマランチ会長の手紙を翻訳したのですが、そこに書かれていた「空手をオリンピック種目にするのは難しい」という理由の中で記憶に残っているのは「流派が複数にあり、試合をするのにルールの調整が難しい」というもの。あれから四半世紀かかって正式な種目に決まったときは感慨深いものがありました。

今や、空手道場は必ずと言っていいほどどの町にもあって、さかんなスポーツのひとつです。空手の技術を学ぶのはもちろん、「礼儀作法を学べるから」と社会性を身につける目的で子どもを入会させる方も多いでしょう。空手は手や足の動きから察するに、習っておけばボールを打つ・蹴るといった動作につながりやすく、上半身・体幹部・下半身がまんべんなく使えるのもいいところ。幼少期に体験しておくとよいスポーツと言えるでしょう。

競技解説:藏前然自

パーソナルトレーナー、ストレングスコーチ、健康運動指導、フィットネスアドバイザー。自身も空手を28年間行っており、全日本空手道連盟参段。神奈川県空手道連盟理事を歴任した経験を持つ。その経験から姿勢の大事さを学び、『姿勢改善の請負人』として、主に機能改善のクライアントを中心に指導している。地域の健康指導にも携わった経験があり、平塚市、茅ケ崎市の介護予防教室などで指導を行う。公式FacebookInstagramはこちら。

ナビゲーター:遠山 健太

リトルアスリートクラブ代表。トップアスリートのトレーニングに携わる一方で、ジュニアアスリートの発掘・育成や、子どもの運動教室「リトルアスリートクラブ」のプログラム開発・運営など、子どもの運動能力を育むことに熱心に取り組む。自身、2児の父であり、子どもとともにめぐった公園での運動や子育て経験を生かし、パークマイスター(公園遊びに詳しく、子どもの発育を考えて指導ができるスポーツトレーナー)としても活動している。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数