高齢者になれば、多くの人が介護保険を必要とするだろう(写真と本文は関係ありません)

若い世代にとって介護保険料は、なんとなく理不尽感が否めないかもしれません。しかし、健康保険や介護保険はその名の通り「保険」です。不測の事態に家族が困らないように加入する生命保険の保険料と、基本的には変わりがありません。幸運なことに有事が起きなければ、掛けてきた生命保険料は不運な誰かのために使われます。

介護保険も基本は同じで、社会全体で支えるために介護保険制度が導入されました。そのため、若い世代が高齢者を支える意味合いがあります。しかし、介護保険の保険料を高齢者だけが負担するとなると、自分が高齢者になったときに多大な保険料を負担しなければならないでしょう。年金生活では、とてもまかないきれない額かもしれません。では、具体的に介護保険料はどのようにして計算されるのでしょうか。

厚生労働省が発表している「介護費用と保険料の推移」によると、介護保険の総費用は2000年(3.6兆円)から2012年(8.9兆円)の間に約2.5倍、保険料は約1.7倍となっています。支払う人数などにもよりますので、総費用の上昇率がそのまま保険料の上昇率とはなりませんが、負担者が少なければ、保険料の上昇率の方が高くなる可能性もあります。

第1号被保険者の計算方法

第1号被保険者の介護保険料は、各市区町村にて計算された「基準額」や、本人や世帯の所得状況に沿って計算します。基準額は、その市区町村内で介護給付に必要な費用のうち、65歳以上の方の負担分を当該市区町村内の65歳以上の人数で割った額です。

基準額から介護保険料の決定方法は、市区町村によって基準が違います。参考に東京23区の東西に分かれる世田谷区と江戸川区を比較してみましょう。

世田谷区

所得段階区分は16段階。第1段階の介護保険料は年額3万1,590円、第16段階は23万1,660円。

江戸川区

所得段階区分は15段階。第1段階の介護保険料は年額2万6,460円、第15段階は15万8,760円。

最も高い所得段階区分で比較すると、世田谷区と江戸川区では7万円以上も料金に開きがあり、かなりの差があることがわかります。