お笑いコンビ「ジョイマン」の高木晋哉が、ちょっぴりほろ苦く、そしてどこかほっこりする文章で綴るこの連載。読者のお悩みにジョイマン高木ならではの視点で答えてもらいます。

今回のお悩み

「新型コロナウイルスに伴う外出自粛やテレワークの励行を受け、夫と一緒に自宅で過ごす時間が増えました。最初はうまくやれていたのですが、四六時中一緒にいると会話も特にないし、だんだんと息苦しさを感じるようになってきています。たまには外で気分転換を兼ねて女子会やショッピングを楽しみたいのですが、時世的にそれもできません。この息苦しさから解放されるヒントを教えてください」(30代女性)

はじめまして。ジョイマンの高木晋哉です。新型コロナウイルスの流行を受けて緊急事態宣言が発令され(この原稿を書いているのは4月下旬)全国的に不要不急の外出自粛が言いわたされたわけですが、この30代女性のような「自粛疲れ」が原因のお悩みも急激に増えていると思います。「コロナ離婚」なんて言葉までちらほら目にします。

これは新型コロナウイルスが悪い。夫と愛し合い、夫と一生を共に添い遂げたいと結婚式で固く誓ったとはいえ、そのときは新型コロナウイルスのせいで不要不急の外出を控えて物理的にずっと一緒にいることになるシチュエーションなんて想定していなかったわけですから、これは全面的に新型コロナウイルスが悪い。

ただやっかいなのが、憎むべきウイルスに人間が打ち勝つためには家でじっとしていることが今のところ最善策とのこと。憎むべきはウイルスのはずなのに、一緒に協力すべき旦那さんとぎくしゃくしてしまっては、人類を引き裂こうとするウイルスの思うつぼ。おそらく30代女性さんはそれもわかっているから、家の中でやり場のないストレスを感じてしまっているのでしょう。

芸能界の田舎のほうで暮らしているジョイマン高木ですが、緊急事態宣言を受けて、やはり人の集まるイベント系の仕事はすべてキャンセルになりました。それは我々のような劇場や地方営業で生計を立てている芸人にとっては死活問題です。

仕事といえば、たまに入るネット配信などの仕事やコラムのような執筆系の仕事くらい。リモートでできる仕事をしつつ、妻と小学生の娘と、最低限の散歩や生活必需品の買い物以外は基本的に家にいる生活なのですが、学校の長期休校もそうですし、こんな状況は本当に人生で初めてのこと。僕は新型コロナウイルスのせいで世界が一変してしまったように感じていました。

しかしそんなある日、家のベランダで暮れゆく夕日を眺めていると、ふと気づいたんです。劇場や営業の仕事がすべて無くなって、世界的な新型コロナウイルスの大混乱によってジョイマンも皆さんと同じように大打撃を受けたような気持ちでいたけれど、そういえばもともと少なかった仕事、そしてたまに入れていただいている仕事を考えたら、仕事の量としてはざっくり言えば通常通りなのかもしれないということに。

その事実に気づいたとき、それはそれで、なぜでしょう、暮れゆく夕日が少し滲んで見える自分がいました。温かなものが頬を伝うのを感じました。きっと西日に目が沁みただけだと思います。

30代女性さんも、急激に環境が変わり、今までの生活とは景色が様変わりしてしまったことに戸惑っているのも大きいのではないでしょうか。変わってしまったことに気を取られて、変わっていないものになかなか目が向かないのではないでしょうか。でも僕のように、ふと冷静になって考えると、実は変わっていないものがあることに気づくかもしれません。変わっていないものを見つけられると人はホッとするものです。

もしくは、可能ならば、あえて以前のような生活リズムで過ごしてみるのもよいと思います。「以前と何ら変わっていないんだよ」と、自分の身体を、心をちょっぴり騙してみる。以前と同じ時間に起床して、朝ご飯を食べて、仕事の支度をして、家を出るふりをして、通勤電車に乗っているマイムをして、会社の同僚役を旦那さんにやってもらって挨拶したり世間話をしたりして、そのまま家でテレワークをする。

僕もたまに何の仕事もないのに家で衣装に着替えて左右にステップを踏むようにしています。娘にお客さんをやってもらいます。ホッとします。このような状況を、家族との間でだけでも笑顔になれるようなネタにすることで深刻さは少し解消されるような気がします。

そのようなことを試してみても息苦しさやイライラが解消されない場合は、僕はYouTubeでポエムをただただ詠むチャンネルをやっています。リラックス効果、安眠効果が抜群だと評判ですので、旦那さんと一緒に視聴してみてください。こんなタイミングで言うことではないかもしれませんが、チャンネル登録よろしくお願いします。

世界全体がとてつもない不安を抱えているときだからこそ、知恵と優しさを持ち合って、家族で協力して過ごしていかなければいけません。これをきっかけに旦那さんとの新しくて心地よい距離感を模索してみるのもいいと思います。たとえ世界が一変してしまったとしても、変わらない「愛」が人類にはあるんだと、30代女性さん御夫婦が素敵に証明してくれることを、ジョイマン高木は祈っています。