「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第93回のテーマは「イライラよりもアゲアゲで」です。

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緊急事態宣言が出て、保育園に息子を預けていた我が家も、ずっと家に子どもがいる状態で過ごしています。小中高のご家庭のみなさんは、休校宣言以来ずっとこんな感じだと思うとお疲れ様です……!

しかし家族全員、どこにもお出かけできず、外出は食料品の買い出しか散歩くらいしかやることがない……となると、さすがに閉塞感がありますよね……。

我が家は、基本的に親はどちらも在宅ワークで、もともと自分の仕事部屋があります。なので、いきなり在宅・リモートワークになったみなさんよりは、環境はいいかもしれません。しかも、息子は超・インドアボーイ……。ずっと家にいることを、まだ楽しんでいるようです。

とはいえ、親は自室で仕事をしていまして、息子はマンガとiPadを与えられて基本、ほっておかれております。申し訳ないと思いつつ「平日は家にいてもつまらない」と思ってほしい……。「今後、もう保育園行かない」とか言われたら困る……みたいな気持ちもあり、我が家では保育園タイムである9時~17時の間は、家にいる息子にあんまりサービスしない方向でやっています。

そんなわけで、彼なりにストレスのある生活をしているので、突然夜に「ごはん食べたくない」とか言い出したのだと思います。親のほうも積極的にほったらかしてるとはいえ、なんだかんだと親も作業を中断させられていることもあるし、ストレスは無いわけじゃない。しかも、お父さんの仕事は緊急事態宣言の影響を受けて滞っており、私よりもストレスがある。こんな状況で、ずっと家族全員がニコニコ暮らせるかというと……正直無理です。

目の前で子どもが、原因不明の謎のグズりをしだしたとき、私もイラっとします。とはいえ、先が見えないこの状況でイライラしっぱなしの生活というのもつらい。私はイラっとした瞬間、「ああ、イライラするな~。大きな声を出して怒ろうか。でも、それはイヤだな。他に方法はないかな」と、頭の上に「分岐点」が思い浮かぶんですよね。

「怒る」の反対は「怒らない」なのか。と思うのですが、感情的にわき上がった気持ちを抑えたり無かったことにしたりするのも、なんだか違うような気がします。

そもそも「感情的になってはいけない」ってポジティブなときには使わないんです。怒るとか、泣くとか、そういうときに使う言葉です。なぜダメかといえば、ネガティブな気持ちは、他人のネガティブを引き出してしまうから。

じゃあ、逆に「ポジティブに感情的」になるのはどうでしょう。笑うとか、喜ぶとかだったら「感情的」でも、みんな釣られてハッピーになるからダメじゃないですよね。

ってなわけで、「イライラする……怒りたい」という「わきあがるパッション」を使って、逆にめっちゃテンション高くアゲアゲで言いたいことを言ってみるのはどうだろうか。と思いついたので、やってみました。

人の心は他人の「感情的」に影響されやすいので「アゲアゲ」にしたら、なんか楽しくなるんですよね。というわけで、アゲアゲにしてみたら息子は夕飯を食べました。しかも、その後ちゃんと「お昼ご飯食べすぎて、お腹減ってない」というのもちゃんと伝えられて「なるほどね~」となりました。無理やり叱って食べさせたりしなくてよかった……。

もちろんこれ、本当に悲しいときとか、深刻な悩みのときにやったらアウトですが……。「子どもがグズってご飯食べない」とか「散歩に行きたがらない」とか、それくらいの「些細な」でも「イラっとする」ときにやるには、ある程度効果あるかなと思います。

というよりも、とにかく「どうでもいいことで、イライラして家の中の空気が悪くなる」のがイヤなんです! 家の中で過ごす時間が長いゆえに、家族の「機嫌」がQOL(Quality of Life)に大きく影響します。些細なことでイライラするくらいなら、その感情の発散をアゲアゲで「イエ~~~」ってやったほうが、なんぼかマシかな……って感じです。半分「やけくそ」ですね……。

「イライラ」に呑まれないために、色々と手を尽くすうちの一つの手段として、現在我が家では「イライラするより、アゲアゲで」と夫婦で共有しています。

……しかし。父と子をしばらくの間2人にしておいて、合流すると大体お父さんの目が死んでいる。「お父さん、どうしたの?」と声をかけると「こういうことがあって……」と理由は話してくれるんですが、大人1人だとどうしても「アゲアゲ」をするのが難しいということでした。

まあ、確かに公園で男親と子が2人の場合、お父さん1人でアゲアゲは難しいかも……。私が合流してから「さっきはごめんね~~。でももっと楽しくやろうよ~~」って、息子とアゲアゲしてました。

大人が2人いればどっちかがイライラしてても、片方が「アゲアゲ」してくれると、助かることもあります。あと、イライラして争いが起こっても、その後「やっぱイライラはよくないね」って言ってからでも、アゲアゲすれば、ある程度有効だったりします。

とはいえ、それは「イライラはよくない」の共有あってこそ。空気を読まない、人の気持ちに寄り添わないようなアゲアゲは逆効果。家族で「イライラするより、アゲアゲしていこう」という意識のすり合わせが大事だと思います。我が家では「イライラするよりアゲアゲで」を標語に、外出自粛生活を乗り切りたいと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。