最近、小論文の書き方を聞かれる。小論文は感想文とは違う。感想や経験など自分が思ったことや体験を書くものではない。ある事柄について自分の意見やそのように自分が考えた理由を書く。

出題者の意図を想像する

感想文の「◯◯だった」「◯◯だと思う」「◯◯して楽しかった」という表現に対して、小論文は「私は◯◯だと考える(という意見を持つ)」「なぜならば……」「◯◯だからである」など論理的な根拠を必ず書く。

小論文の場合、作文や感想文と違い「自由に何でも書いていい」というケースは少ない。必ず何らかの「お題」が与えられる。関連資料が添付されている場合も多い。まず、出題者がなぜ、この「お題」と「資料」を与えたのか、客観的に読み(汲み)取れるといい。

例えば「環境問題」に関する「お題」が出されたとする。

「環境を守ることは大切だ」「自然環境を守ろう」という「一直線」の小論文を出題者は求めていない。そこには思考の葛藤がないからだ。環境保護が大切なことはもっともだ。しかし、環境保護を促進することで経済の発展が損なわれるかもしれない。「出題者はこの両面について最低限書いてもらいたいと思っているだろう」とまずは意図を想像してみる。

「落ちないため」の小論文では、奇想天外な面白い発想力を求めているわけではない。発想が面白いかどうかなどは採点者が客観的に採点できないからだ。

「落ちないための小論文」は「採用されるための「企画書」とは異なる。独創性や企画力ではなく、あくまで一般的な「常識力」「発想力」「バランス感覚」「思考力」などが試されていると思った方がよい。

その上で「表現力」の出番となる。

表現力といっても決して名文を書こうと思わないほうがいい。伝えたいことが正しく伝わればよい。

(1) 小論文のテーマは何か(これから何を書くか)について
(2) A(普通に誰もが考える)という意見について
(3) Aとは異なるBという(反対の)意見について
(4) AとBの意見を踏まえたCという自分の意見について
(5) 補足、例外、結論

小論文といっても様々なタイプがある。必ずしも決まった形式が正しいわではない。「起承転結」というお決まりの展開が常いふさわしいとも限らない。しかし、与えられた「お題」に対して、出題者の意図を読み取り、最低2つの異なる賛否の別れる意見述べ、その上で自分の意見を述べる。一見シンプルだがこの方法だと大きく失敗はしない。私流の「落ちない」方法である。


<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサー等を経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2015年4月より東北芸術工科大学にて教鞭をとる。