退職の話し合いをする時に、残った有給休暇を消化したいとなかなか言い出せなくて、困った経験はないでしょうか? 退職前に有休を完全消化したら、きっと冷たい目で見られるんだろうなと思うと、なかなか言い出しにくいもの。しかし、なぜ上司は退職前の有休消化をそんなに嫌がるのでしょうか?

■退職前に有休を消化されると、人がいないのに人件費がかかる

退職前にまとめて有休を消化されてしまうと、労働者がいないのに人件費がかかることになります。またさらに、人が足りない分を新しい労働者で穴埋めしようとした場合、1人分の人件費で済むところが2人分必要になってしまいます。退職前に有休を消化されるのを上司が嫌がるのは、人件費負担を考えてのことなのでしょう。

■引き継ぎが終わらないのに、有給休暇?

また有休消化を上司が嫌がるのは、引き継ぎをきちんと終わらせてから退職してほしいという思いがあるからです。例えば退職日が1カ月後で有休の残日数が10日あり、それをすべて消化しようとしたら、引き継ぎは10日前後で終わらせなければなりません。退職前の有休消化は当然の権利ですが、退職前に不要なトラブルを避ける意味でも、退職日は余裕を持って設定しておくのが無難です。

■普段からこまめに有休を使うのが、一番?

有休をとるのがむずかしい会社も多いと思いますが、普段からこまめに消化しておけば、退職時に不要なトラブルに巻き込まれることもありません。また転職で早めに退職したい場合に、残りの勤務日数をしっかり引き継ぎに充てることもできます。円満退社のために、なるべくこまめに有休を消化しておきましょう。

ちなみに退職日以降の有給休暇の未消化分は無効となりますが、企業と相談してお互いに同意が得られるなら、残日数に応じた金銭の調整的給付として、未消化分を買い取ってもらえるケースもあるようです。どうしても有休消化できないほど早めの退職が必要なら、買い取りしてもらえないかどうか、企業側と一度相談してみるのもよいかもしれません。

有給休暇は労働者に認められた権利です。しっかり消化して、思い残すことなく会社を後にしたいものです。

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