「最近、おすすめの書籍を聞かれることが多い。しかしいつも答えに困ってしまう。私は書籍を読む量は人より多いと思うが、一冊あたりの書籍を読む時間がとにかく短い。"速読"とまでは言えないが"斜め読み"をしているのだ。

自分なりの読書法

特に時事ネタに関する書籍やベストセラーの作品などは"旬"であることが大切なので、今流行っているものを半年後に読んでもあまり意味がない。「まえがき」「目次」「あとがき」「本文」の順で1冊あたり15分から30分程度で"サクッ"と読み通す。さらに時間がない時などは「あとがき」「目次」「本文」「まえがき」の順番でとにかく目だけは通すようにする。

しょせん、この程度の"乱読"が多いので「おすすめ」を聞かれても答えに困ってしまうのだ。

もっとも、全てが全てこんな読み方のわけではない。ちゃんと読むべきだと決めた書籍は、分量や難易度にかかわらず時間をかけて読み込むいわゆる"精読"をする。さらに、しつこいくらい何度も繰り返し読む。

"精読"する書籍は、多くの場合、自分の全くの専門外の内容や、定番の古典のことが多い。日頃、法律関係の書籍などは読まないが、芦部信喜の「憲法」は何度も精読した。小説や随筆もあまり読まないが「枕草子」と「カラマーゾフの兄弟」などは繰り返し読む。文化人類学なども詳しくはないが、レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」は今でもたまに読見込むことがある。

野性的、本能的な思考を越え、まるで悪霊にでも憑かれたかのように乱読する自分の姿はあまり感心できたものではないが、とはいえ別に何か罪や罰が与えられるわけでもない。乱読と精読という二重の基準で書物を読んでいるうちに、時に自分が読んだ書籍に登場するフレーズやセリフが、ごちゃごちゃになり話の構造がわけが分からなくなることなどもあったりする。我ながら非常にをかしい。

新しく進学進級した方々には、自分なりの読書法をぜひ構築してもらいたい。


<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサー等を経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2015年4月より東北芸術工科大学にて教鞭をとる。