「合コンやってよ~」が口癖の"フリーライダー"とは?

みなさんは「フリーライダー」という言葉をご存じでしょうか?

就職もせず、毎日家にこもってパソコンをパチパチ叩き、不安定な収入で結婚もままならず、見えない未来に怯えながらコンビニのおにぎりばかり食べているしがない文筆業者……それは私です。フリーライターは厳しい稼業です。

そうではなくて、フリーライダー。直訳すると「タダ乗りする人」という意味になります。例えば、「合コンやってよ~」とか「何か楽しいことがあったら呼んでよ~」とか、そういうことばっか言ってる人っていますよね? そういう人を指す言葉がフリーライダーです。

幹事をやったことのある人はわかると思いますが、合コンを開催するというのは、これでなかなか大変なことだったりします。人を集め、場所と時間を設定し、みんなに連絡を回し、ときには現場のテンションを盛り上げる役割まで担わなければならない。ちょっとしたギャラが発生してもいいんじゃないかと思うくらいの労働です。

このように、合コンは"誰かの苦労"の上に成り立っているわけです。それを気軽に「やってよ~」というのは、誰かが作ってくれた場に「タダ乗り」しようという行為に他ならず、これは極めてセコい人間のセリフだと思うわけです。

こういうフリーライダーはどこにでも一定数存在していて、合コンだけでなく、いろんなシーンで周囲の人々を地味に苛立たせているようです。

実は「タダ乗り」ってリスキーな行為!?

フリーライダーの特徴は、「コストをしれっと誰かに背負わせ、利益だけを得ようとする」という点にあります。こう聞くと何とも卑劣のように感じますが、一方でこれは、「自分も気づかずにやってるかも……」という可能性の高い行為でもあると思うわけです。

食事のお店を決める、デートの計画を立てる、旅行の手配をする、結婚式の準備をする……などなど、恋人たちの間にも何かと"実務"は発生するわけですが、こういうことを徐々にサボっていったり、「何でもいいから合わせる」などといってしれっと放棄しようとしたりする彼氏があとを絶たない模様です。

また、こういった実務に限らず、「気を遣う」とか「面倒を見る」といった"感情労働"においても、フリーライダー彼氏の話は枚挙にいとまがなく、例えば女子からよく聞く恋愛の愚痴に、「話し合いになると彼氏がすぐ黙る」というものがありますが、実はこれもフリーライダーの一種です。

話し合いというのは、二人の間に何らかの"問題"が発生しており、それを解決すべく、互いに意見やアイデアを出し合って議論をするという行為なわけですが、黙るというのは、そういうコストを放棄する態度に他なりません。

しかし、彼氏が黙ったからといって問題が解決するわけではないので、もう一方の彼女が、沈黙や理不尽に耐えながら、何とか落としどころを探っていくことになります。しかし、何とか話が着地すると、彼氏は自分が黙っていただけということなどすっかり忘れ、「一緒に話し合った」という気持ちになってしまう……。そういう部分にも、女子は苛立ちを募らせているようです。

誰かと何かをやろうと思えば、必ず何らかの手間やコストが発生します。それは確かに面倒くさいことかもしれませんが、それを一緒に背負うことが他者との人間関係を作っていくわけです。

ということは、コストを背負わずに利益だけ得ようという行為には、その人間関係を失ってしまうかもしれないというリスクが内包されているわけです。例えばFacebookで友達の投稿に「いいね!」をつけているだけでは、その友達との関係はやがて途切れてしまうでしょう。

なぜなら、人間関係を維持するにはメンテナンスコストがかかるわけで、「いいね!」を押してるだけでは到底まかなえないからです。その上、「楽しいことがあったら呼んでよ~」なんて言おうものなら……相手がどう感じるか、さすがに想像できますよね。

「タダ乗り」は相手を不快にするどころか、大切な人間関係を失いかねない大変リスキーな行為です。「自分はやってないか?」と我が身を振り返りつつ……フリーライダーはダメ、ゼッタイでよろしくお願いいたします!

今回のマナーポスター「タダ乗りするな!!」(イラスト:清田隆之)

【今回のまとめ】

・合コンは"誰かの苦労"の上に成り立っている

・コストを負わず、利益だけ得ようとするのがフリーライダー

・タダ乗りは大切な人間関係を失いかねない

<著者プロフィール>
清田隆之/桃山商事
1980年、東京生まれ。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社「桃山商事」代表。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。「日経ウーマンオンライン」や「messy」でコラムを連載中。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)がある。
Twitter @momoyama_radio

タイトルイラスト: 清田隆之