飛行機好きならば、誰もが憧れるであろう国際線ファーストクラス。ANAで欧米路線の場合、ファーストクラスの航空券は往復200万円以上すると言われている。そのファーストクラスのシートが国内線で、しかも約8,000円プラスするだけで搭乗できる路線がある。

  • ANA成田=伊丹線には、国際線機材が投入されている。この日はボーイング777-300ERだった

    ANA成田=伊丹線には、国際線機材が投入されている。この日はボーイング777-300ERだった

それは、ANA国際線機材が定期運航で投入されている成田=伊丹線だ。ファーストクラスの座席が国内線の上級クラス「プレミアムクラス」として設定され、機内食も提供される。

ファーストクラスのシートが国内線で

ANAの国内線プレミアムクラスは、いわゆる"幹線"と呼ばれる主要路線から地方を結ぶ路線まで多くの便で設定されている。搭乗手続きは専用カウンターで、空港ではANAラウンジを利用でき、優先搭乗・降機、ゆとりが感じられるシート、預けた手荷物を優先的に受け取れるなど、至れり尽くせりのサービスを受けることができる。

  • 成田=伊丹線では国内線プレミアムクラスだとファーストクラスの座席がアサインされることがある

    成田=伊丹線では国内線プレミアムクラスだとファーストクラスの座席がアサインされることがある

成田=伊丹線の1日2往復のうち、伊丹を朝出発する2176便と成田を夕方に出発する2179便には国際線機材が投入されている。2018年4月現在、ボーイング767-300ERもしくは777-300ERが使用され、777-300ERの場合は国際線ファーストクラス8席が国内線プレミアムクラスとして使用されている。

短いフライトでも味もボリュームも大満足

今回、成田から伊丹への便を予約する際、普通席は満席で、空席がプレミアムクラスのみだった。1時間超のフライトではもったいない気もしたが、せっかくの機会だからとプレミアムクラスを予約。ほとんどの搭乗客が国際線からの乗り継ぎだった。

  • 国内線プレミアムクラスの食事は1種類。朝食、昼食、軽食、夕食の4つの時間帯でそれぞれ違いメニューが提供される

    国内線プレミアムクラスの食事は1種類。朝食、昼食、軽食、夕食の4つの時間帯でそれぞれ違いメニューが提供される

サービス全般は国内線とはいえ、なんといってもファーストクラスのシート。ひとり当たりのスペースがとにかく広い。食事の前にテーブルを出すと、今まで経験したことがないほど大きかった。ただこの日、客室乗務員が申し訳ない様子で「今回はお弁当で1種類しかなく、申し訳ございません」と、お膳に載せられた弁当とみそ汁を運んでくれた。

お弁当、ということで正直あまり期待していなかった。だが、ふたを開くと、盛り付けはなかなか美しく、和食ながら彩りもあって「これはおいしいかも」と直感した。

  • 国内線プレミアムクラス、本日の「お品書き」。これを見ながら味わうといい

    国内線プレミアムクラス、本日の「お品書き」。これを見ながら味わうといい

実際のところ、かなりおいしかった。ごはんは俵紫蘇(しそ)ご飯と稲荷寿司、炙りサーモントラウトの笹寿司と3種類もあり、小松菜と桜海老浸し、玉ねぎさつま揚げなど野菜が豊富なのは女性にはうれしい。鯖南蛮漬けやまりもコロッケなどいわゆる"おかず"が1品ずつ味わえたのも良く、どの料理もていねいに味付けされていたのが印象的だった。

  • 今回の時間帯は夕食。ご飯とおかずがバランスよく、栄養価が高い食材も多くておいしかった

    今回の時間帯は夕食。ご飯とおかずがバランスよく、栄養価が高い食材も多くておいしかった

弁当は温められてはいなかったものの、熱々のみそ汁ときのこポタージュスープがあったのでそう気にならなかった。短いフライトながら、あっという間に完食した。

紅茶はTWG、アルコールもワインから日本酒まで

国内線プレミアムクラスでは、食事のほかにお菓子も提供される。今回は「蒜山ホワイトチョコラスク」。"ゴールデンミルク"といわれる栄養価が高い岡山・蒜山ジャージー牛乳のみを、特殊な技術でホワイトチョコレートに加工して使用する一口サイズのラスクで、濃厚なミルクの甘さとサクサク食感を味わうことができた。機会があれば、これもまた食べたい。

  • 食後のお菓子とドリンク。お菓子は搭乗時期によって異なるものの、地方の人気スイーツがよく提供される

    食後のお菓子とドリンク。お菓子は搭乗時期によって異なるものの、地方の人気スイーツがよく提供される

ドリンクメニューでは、アルコールからソフトドリンクまで国内線とは思えないほどラインナップが豊富。アルコール類が飲めないので、国内線プレミアムクラスに搭乗する時はいつも「TWG」の紅茶をオーダーしている。シンガポールの高級紅茶TWGのロイヤルダージリンティーは、いつ飲んでもおいしい。八女茶の緑茶もオススメだ。

ANAでは2017年冬スケジュールから、羽田発着の一部路線を中心に、食事を従来の箱詰めから皿への盛り付けに、さらに昼食時間を拡大し、有名料亭などとのコラボレーションを増やすなど全体的なレベルアップに取り組んでいる感がある。次に国内線プレミアムクラスに搭乗する機会も、ぜひ食事を楽しみにしたい。

※記事中の機内食は、2018年4月の成田=伊丹線で提供されたもの