皆さんは自転車で出かける際、どのような物を持ち歩いているだろうか?
私の場合は最低でも、携帯電話、財布、鍵、汗拭きタオル、ウィンドシェル。山を走る時は行動食も必要となる。

いつも出かける前に悩むことがある。それらをどこに収納するか、ということだ。毎回考えるのが面倒になり、結局小さめのリュックを背負って出かけているのだが、本音を言えば身体には何も着けたくない。

そんな悩みを解消すべく、フレームバッグをオーダーで製作することにした。今回、製作をお願いしたのは、オリジナルの自転車用バッグや小物を製造・販売しているMEANIさんだ。

  • 完成したフレームバッグを装着した筆者の自転車の写真。

    完成したフレームバッグを装着した筆者の自転車

オーダーフレームバッグの良いところは、自分の自転車のフレームサイズにピッタリと合わせられることだろう。実際に取り付けてみると、自転車との一体感がある。

荷物を収納することだけを考えるのであれば、従来のハンドルバーバッグでもよい。しかし、ハンドリングが重くなり、向かい風の影響も受けやすい。

サドルバッグは、一度自転車から降りなければ物の出し入れが難しい。それぞれ収納容量はあるものの、使い勝手の面で弱点がある。

その点フレームバッグは、収納容量こそ少ないものの、すぐ手の届くところにある。片手でも物の出し入れが可能で、気軽に使用できるのが魅力だ(もちろん走行中の片手運転はNG)。

また、トップチューブに沿った縦長のデザインは、向かい風の影響も最小限に抑えることができる。

オリジナルのフレームバッグができるまで

まず、フレームバッグに何を入れたいのか、用途などを説明し、大きさや厚みなどを決定する。厚みを持たせると容量を大きくできるが、ペダリング時に太ももと干渉してしまうことがあるため、実際に自転車にまたがって邪魔にならない厚みを確認しながら寸法を決める。

生地は、防水性重視のX-PACにするか、耐久性重視のCORDURAにするかで選ぶことができる。今回は、表面の生地は耐久性重視のCORDURAでお願いすることにした。

  • 左:自転車のフレームに型紙を当てて寸法を取っている様子。右:パーツごとに生地を裁断したもの。

    【写真左】実際に使用する自転車のフレームに型紙を当て、正確に寸法をとるMEANI ミタ氏【写真右】パーツごとに生地を裁断したところ(写真提供:MEANI)

ボトルゲージの位置も確認する。フレームバッグを装着した時に、できるだけドリンクボトルとの干渉を避け、出し入れの妨げにならないよう配慮する。

ちなみにA.C.Eのワッペンは私が持ち込んだもので、自転車メーカー「All-City」の上級グレードのフレームパイプを意味するものだ。今となってはなかなか手に入らないレアな一品である(自慢!)。

※「All-City」自体はすでに自転車製造を中止しているが、今も根強いファンが残っている。

今回のオーダーに盛り込んだ私の要望は以下の通りだ。

・内側に保冷素材(保冷バッグなどで使われているもの)を使用する。
・1Lサイズのハイドレーションパックを収納し、ホースを外部へガイドする工夫を施す。また、内部に保冷剤を固定するメッシュポケットを付ける。
・収納スペースを2気室にする(鍵や携帯工具を分けるため)。
・左サイドにメッシュポケットを2つ付ける(汗拭きタオルなどを素早く出し入れでき、収納しながら乾かせるようにするため)。

という、ワガママ仕様である。しかし、ブランドオーナーのミタ氏は、この要望の意味と必要性をすぐに理解し、今回のオーダーを快諾してくれた。

製作者自身の経験から生まれるものづくり

ミタ氏は服飾の専門学校を卒業後、日本縦断(稚内〜鹿児島)の自転車旅を経験した強者サイクリストだ。

旅の準備を進める中で、「理想的な自転車用バッグが売っていない」「理想に近いものがあっても高額で購入できない」という厳しい状況に直面した。そして彼が出した答えが、

「ないなら自分で作ろう。高くて購入できないものも、自分で作ることでコストを抑えよう」

ということだった。

専門学校で覚えたミシンを使い、旅に必要となる理想的なバッグを作った。そして2カ月半をかけて日本縦断の旅を完結させたのだった。

オリジナルの自転車用品を製作している人たちを何人か知っているが、共通して言えるのは、製作者自身の経験から生み出される商品が多いということだ。

それが旅であれ競技であれ、その経験から生まれる製品は細部にまでこだわりがあり、ユーザーを満足させてくれるものが多いと日頃から感じていた。

今回はそこに私独自のスタイルと経験から生まれたアイデアをプラスさせていただくこととなり、作り手のミタ氏にも共感していただくことができた。

暑い夏、リュックから解放されて背中が快適に

  • 筆者の外出時のバッグの中身。ハンカチ、ティッシュ、現金、バナナ、ボトルなどが入っている。

    筆者が出かける時の標準装備。このほかにサコッシュや雨具が追加されることもある。

決して多くはない荷物でも、スポーツサイクルだと収納場所に困る。できれば衣類のポケットも空にしておいたほうがストレスは少ない。

そこでフレームバッグを上手く活用できれば、上の写真の物をすべて収納できると考えた。

実際、これらを収納してもまだ若干余裕がある。小さく折りたためるサコッシュなどを入れておけば、帰りがけのちょっとした買い物も可能だ。

ナルゲンボトルは常備品ではないが、水を凍らせて入れておけば保冷剤の代わりになり、休憩時に冷えたジェルやバナナを口にできる。さらに缶コーヒーなどを入れておけば、自販機やお店のない峠越えでも冷たいアイスコーヒーを楽しめる。

ボトルの氷が溶けて水になれば、そのまま飲料水として飲めばよい。

濡らした冷たいおしぼりをジップロックに入れておくと、暑い日には熱中症対策として有効だ。

ただし、バッグ内で結露が起きるので、濡らしたくない物は別のジップロックに入れておくなど、防水には工夫が必要だ。

何をどのように収納するかは工夫次第である。

そして何より、リュックを背負うことで背中が汗でベチャベチャになる不快感から解放されるメリットは大きい。

  • 左:自転車に装着したフレームバッグのポケットにティッシュとタオルが入っている様子。右:バッグ内に保冷剤、バナナ、ジェルが入っている様子。

    【写真左】メッシュポケットに汗拭きタオルとティッシュが収まる【写真右】メインスペースに保冷剤、バナナ、ジェルを入れてもまだ十分な余裕がある

今回、筆者のバッグはハーフサイズでオーダーしたのだが、フルフレームバッグでオーダーすることで、より大きな収納力を確保することができる。

  • 自転車のフレームの三角形の部分すべてを収納スペースにした場合の写真。

    フレームの三角形をすべて収納スペースにすることも可能(写真提供:MEANI)

フルフレームバッグであれば、アウターやグローブ、防寒用品なども収納可能になる。

自転車キャンプなどでは食材やガス缶、小物も収納できるため、大いに活躍するだろう。これにサドルバッグやフロントバッグを組み合わせることで、金属製のラックを取り付ける必要がなくなり、軽量化にもつながる。いわゆる今流行りのバイクパッキングスタイルだ。

使い方はライフスタイルによってさまざまなので、オーダーする際は自分の用途に合った工夫やアイデアを話してみるとよいだろう。

自転車用フレームバッグを購入する際のポイント

今回はオーダーでフレームバッグを製作してもらったが、オーダーから完成までには時間も必要となり、ややハードルの高い部分もある。

そこが気になる場合は既製品も多く販売されているので、無理にオーダーにこだわる必要はないだろう。ネットショップで検索するとさまざまな種類があり、用途に合ったものが見つかるかもしれない。

ただし、自転車フレームはメーカーやタイプによって形状が異なり、またサイズによって寸法も変わってくるため注意が必要だ。

自分の自転車のフレームをあらかじめメジャーで測っておくとよいのだが、できれば店頭で現物をフィッティングさせてもらうのが間違いないだろう。

オーダーしてみたい人は、「自転車 フレームバッグ オーダー」などで検索してみるのがおすすめだ。ただし、ガレージブランドやプライベートブランドも多く、ネット上で見つけられない場合もあるので、お住まいの地域の自転車店などに相談して情報を集めてみてはいかがだろうか。

もちろん今回記事で紹介したMEANIさんでもオーダー可能なので、気になる方はInstagramのDMから問い合わせてみるのもよいだろう。