とある会社の総務部(通称:窓ぎわ部)を舞台に繰り広げられる"ちょいゆる"系オフィスストーリー。(毎週月曜更新予定)

【今週のひとこと】

思い込みというものほど怖いことはないですよね。

ボクが小学生の時分に、報道番組でちょうど湾岸戦争のニュースが日々流れていた頃のことなのですが、番組専属のレポーターなのか、ジャーナリストなのかわからないですが、現地でレポートしているおじさんがいました。

もう毎日のようにそのおじさんの顔と名前が画面に映し出されており、テレビを見ていた家族はボクだけでなく、父親、母親、姉それぞれがそのおじさんのことを脳にインプットしていました。

そんな中、報道番組がやっていない時間帯に、突然母親が「あの松浦さん(おじさんの名前)って人…」と、その人の名前を出して話し出したのですが、ボクは『杉浦さん』とハッキリ記憶していたので「杉浦さんでしょ!」と訂正したんです。

しかし自分の記憶に絶対の自信を持っていた母親は「いや松浦さんよ!」となぜか強気でした。「いや杉浦さんだって」とボクが再び訂正するも、「絶対に松浦さんだって」と言い返され、しょうもないやり取りは平行線のまま。しびれを切らした母親は何を思ったか「松浦さんに1万円賭けてもいいわよ!」と半ギレ状態で言ってきました。母親は賭けごとなど普段しないし、家庭の経済事情も中の下くらいだったのに、なぜ松浦にそんなに肩入れするのか不思議で仕方ありませんでした。

小学生のボクは当然1万円なんて大金を持っているわけもなく、でも杉浦さんであることは完全に記憶しているので、こんなノーリスクハイリターンな賭けはないと思い「よっしゃ! 賭けよう!」と乗っかりました。

次の日、画面に映し出されるそのおじさん。そしてその人の顔の下に出る名前のテロップ「杉浦」。それを見た母親は絶句。

約束どおりボクは1万円という大金を手にしたのですが、いまだにあのときの母親の自信はどこから沸き上がってきたのか謎のままです。

それからというもの、我が家で賭けごとは一切行われなかったことは言うまでもありません。妙な思い込みは怖いですね。

今週はこのへんで、また来週の月曜日にお会いしましょう~ヾ(´▽`)ノ

<著者プロフィール>
オオノマサフミ
1981年7月30日生まれ。東京都豊島区出身、板橋区在住のイラストレーター。2児の父。「コミカル」で「ほどよくゆるい」イラストを武器に雑誌・書籍・WEB・広告などで活動中。Twitter、WEB「Good Mornin' Studio」、ブログ「じゃぽん。