「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • 子どもが27歳になった時に幸せであればいい - 親の強制は逆効果に?(写真:マイナビニュース)

    子どもが27歳になった時に幸せであればいい - 親の強制は逆効果に?


「子どもがちっとも勉強しなくて心配です」「お友達は塾に行っているのに、行かなくてもいいのでしょうか」「何を言っても言うことを聞かなくて困ります」など、毎日さまざまなご相談を受け、お母さんやお父さんの子育てに一生懸命な気持ちを感じます。

そのなかで、子どもの年齢や成長に合わせて悩みも変わっていきますが、親が考える根本は同じような気がします。それは「自分の思い通りに育って欲しい」ということです。

そのため、少しでもずれていると「どうして言うこと聞けないの?」「他の子はできるのに、私の育て方が間違っているのかしら」と不安になってしまうようです。ではどうすればいいのか、今回は、「子どもが自分の思い通りにしてくれない。幸せを願って言っているのに……」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

子どもが"自分が決めたこと"は頑張れる

子どもに"こうあって欲しい"や"幸せであって欲しい"と望むことは素晴らしいと思います。しかし、親が自分の視点で願うと親子で苦しくなるのです。

たとえば、「私は勉強しなくて苦労したから、あなたは勉強しなさい」「ママが小学生の頃は、読書大好きだったから、あなたもYouTubeばかり見てないで読書しなさい」など、つい言ってしまったことはありませんか?

どうしても親は、子どもが失敗しないように先回りして、正論を押し付けたくなるのですが、言われた子どもにはやる気が出にくい言葉であり、「失敗から学ぶ機会」を潰してしまいます。子どもの思いを育てて、発揮するタイミングまで待つようにしましょう。

先日、講座に参加しているお母さんからとても嬉しい報告を受けました。

「小学生の息子に中学受験をしてほしかったのですが、親の望みでさせることはやめ、そのままの子どもを応援しようと切り替えました。しばらく一緒に小学校生活を楽しんでいたら、突然息子が『この学校に行きたいから受験する』と言い出しました。それからの息子は、別人のように自ら勉強していました。のんびりした息子のどこにこんな力があったのかと驚き、同時にとても嬉しかったです。無理にやらせず、子どもがしたいことを応援してきたご褒美だと思いました」

この息子さんは、見事その学校に合格したそうです。小さい頃からずっと講座に通ってくださっているお母さんからのご報告に、私もとても幸せな気持ちになりました。

「でも、その子はたまたま合格したからいいけど、もし落ちてしまったらどうするの?」という声も聞こえますが、不合格だったからといって、人生終わりではありません。

親が決めたレールから外れたら、親にとっては失敗かもしれません。しかし、子どもが自分で決めて、自分で人生を切り開くために努力したことは、学ぶことがたくさんあるのです。そして結果はどうあれ、自分で努力して出た結果を受け止め、そこから次どうするのか考えて生かすように行動する、それが「生きる力」を育むのだと思います。

"子どもが自分で自分の人生を決めて形にした"という手応えが何より大切で、"子どもがもう一度前を向いて力強く進むための言葉"を、親はかけるべきなのです。

短いスパンの結果ではなく"人生"単位で考える

親は、周りが習い事を始めれば我が子にもやらせたり、塾に行き始めたら我が子にも行かせたりと、その時に結果を出したいと思い焦ってしまいがちです。しかし、子どもはそれぞれ違います。その子の成長のタイミングがあるのです。

親の不安を払拭するために、子どもの人生を先回りしてやらせたり、言うことをきかせたりするのではなく、子どもがやっていることを応援し、やりたい気持ちを育んで、発揮するタイミングまで待ちましょう。もちろん、子どもが見ている世界は狭いので、親はいろいろな世界を見せるための情報を一緒に探すことは大切です。

子どもが転ばないように平坦な道を用意し、もし転んだときには助け起こしたくなるのが親ですが、この先ずっと子どもに付き添って生きていけるわけではありません。

親がすべきことは、平坦な道を用意することではなく、でこぼこ道でも子どもが自分の体と心と頭を使って転ばないように歩く努力ができるよう見守り、もし転んだとしても、自分の力で立ち上がれるように、応援することではないでしょうか。

失敗は人生の終わりではなく、学ぶためのチャンスです。失敗から学べるか、「ピンチをチャンスに変えられるかどうか」が大切なのです。

人生100年と言われる時代、子育てのひとつの目標を"27歳"に置いてみることをオススメしています。仕事では中堅的ポジションになり、プライベートでは結婚を意識するタイミングでもあり、"27歳"はそれまでの人生の成果が表れるターニングポイントと言えます。仮に「今、結果を出さねば」とか「今、失敗しないように」と考えると、毎日がダメダメの連続になりそうですが、「子どもが27歳のときに幸せであること」を目標にすると、親の肝がすわり、気持ちに余裕ができます。

「学校卒業して就職して数年経ったときに、幸せでいてくれればいい」など、人と比べた人生ではなく、子ども自身が"自分の幸せを実感する人生"を送れるよう応援できる親でありたいと思います。