「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

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  • 他の子と比べすぎると危険! 子どもの競争心をつけるには?(写真:マイナビニュース)

    他の子と比べすぎると危険! 子どもの競争心をつけるには?

「みんなやっているなら、我が子もさせなきゃ」「お友達はできるのに、なぜ我が子はできないの?」といった、他の人の目が気なるお母さんお父さんはとても多いです。「子どものしつけがなっていないのは、親の育て方が悪いからだ」という日本の風潮がそうさせているのかもしれません。

しかし、あまりに他の子と比較して育ててしまうと、子どもの自信を無くしてしまう恐れがあります。ではどうすればいいのでしょうか。今回は、「他の子と比べずに、競争心をつけるには?」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

"他の子"ではなく"我が子"だけを見る親になる

他の子が気になるお母さんお父さんにまずお願いしたいのは、"我が子"だけをみること。子どもが今何を考えて何をしようとしているのかを発見することに時間と力を注いでほしいと思います。

子どもは、お母さんお父さんに構ってもらうことが大好きです。そしてよく見ると、成長の早い子もいれば、ゆっくりな子もいるし、得意なことも苦手なこともそれぞれ個性があって、さまざまな素晴らしい面があることに気づくからです。比較している間は、我が子のすごい個性を見逃す可能性があります。

我が子ができないことを嘆いたり、他の子に迷惑かけないように叱りつけたり、他の子よりうまくできた時だけ褒めたりするより、子どもそのままを認められる親でありたいと思います。そのほうが、成長が早いからです。

比べるのは"ちょっと前の我が子"

他の子と比べて、「〇〇くんはできるのに、なんであなたはできないの?」「ほら、他のお友達はみんなできてるよ」と何度も言われると、「自分は、それが苦手なんだ……」と思い込んで、子どもはどんどんできなくなります。親としては、できるようになってほしいと願って言っているのに、逆効果になってしまうのです。

もし必要であれば、少し前のお子さんと比べましょう。「今日はやらないの? 昨日はできたのにね」と声をかけると、子どもは自信を取り戻して急にできたりします。

さらに親としては、できて当たり前だと思っていることを言葉にして伝えてみましょう。「みんな自分で起きてるよ。親に起こされてる子はいないよ」ではなくて、親が30分かけて起こしたとしても、「今日も、朝起きてすごいね」です。

数年前まで赤ちゃんだったのですから、朝起きただけでもすごい成長です。他の子と比べなければ、子どもはなぜか、自分は朝起きるのが得意だと思って成長し、あっという間に自分で起きられる子になります。そのほうが親もストレスなく、気分のいい朝を迎えられますね。

褒める時も他の子と比べない

誰かと比べて叱らないほうがいいのと同じで、褒める時も比較するのはやめましょう。「〇〇ちゃんよりも上手にできたね」「〇〇くんに勝ったね」など、常に人と比較して評価されると、勝ち負けでしか自分を認められなくなります。努力することよりも、他人との勝ち負けが目的になってしまい、嘘をつくようになってしまったら逆効果ですね。

人と比べることでしか褒められなくなってしまうと、子どもも、比べることでしか自分を認められなくなります。

そこで、褒める時も過去のお子さんと比べるようにしましょう。「昨日はできなかったのに、今日はできるようになったのね!」「この前より上手になったね」「去年より、お姉さんになったんだね」といった声かけです。子どもは、子ども自身が気づいていない自分の成長ぶりをお母さんお父さんに教えてもらうと、どんどん努力して頑張れるようになります。

競争することは必要ないのか

最近の運動会では順位をつけることは良くないからと、競争をさせずに手をつないでみんなで一斉にゴールするという試みがありますが、いかがなものでしょうか。社会全体がそういう仕組みなら理解できますが、やはり勝負があるからこそ、お互い切磋琢磨し成長もあるのだと思います。

オリンピックでも受験でも商品開発でも、もっと記録を伸ばし、もっと練習をし、もっとみんなの役に立つものを作りたい! と努力した結果、メダルや合格があるのだと思います。ですから、他の子と我が子を比べすぎることは良くないとしても、競争することを否定しているのではありません。

"自分に勝つ子"に育てる

ただそれが、人を蹴落とすとか、相手に勝つことが目的になってしまったら、子どものそれ以上の成長はないと思います。我が子には"自分に勝つ子"に育って欲しいものです。やめたくなる自分、怠けそうになる自分、人のせいにしたくなる自分に打ち勝って、成長できる子になって欲しい。競争する相手は「自分自身」です。

そのためにも、お母さんお父さんは小さい時から人と比べるのではなく、お子さん自身の過去と比べて、今よりももっと成長する子どもに育てていける、そんな言葉をかけることが大切だと思います。

執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。

■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。