「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • 夢を叶える子と、そうじゃない子の差は?(写真:マイナビニュース)

    夢を叶える子と、そうじゃない子の差は?

「今年の目標はなあに?」「今年は、何を頑張るの?」新年を迎えて、今年の目標や将来の夢などを子どもに持ってもらいたいと願うお父さんお母さんは多いと思います。目標を言葉にすることはとても大切なので、せっかくの節目を利用して親子で一緒に考えられるといいですね。

しかし、子どもが全然関心を持ってくれない場合はどうしたらいいのでしょうか。目標を持たせようと「今年は◯◯したら?」「○○頑張れるとかっこいいと思うよ」とあの手この手を使ってみても意味がないケースは往々にしてあるものです。今回は、「どうしたら子どもが夢や目標を持ち、叶える子になれるのか」親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

「目標は何?」と聞く前に

私たち親も、年末年始に実家へ帰省して、「今年は、そろそろ◯◯したらどうなの?」「○○しないといけない時期なんじゃないの?」など急に親からいろいろ言われたことは、案外やる気にならないものですよね。

子どもも同じです。人から言われたこと、特に親から言われたことは、心に刺さる分、やりたくないものです。なぜなら、裏を返せば、それができていないあなたはダメだ、と言われているように感じるからです。

もちろん、親はいつの時代も子どものためを思って言っているのですが、その言い方では子どもの心には届きにくいものです。

子どもの前で"親自身の夢"を語ろう

では親はどうすればいいのか、まずは、親自身が夢や目標を語りましょう。「この歳で将来の夢?」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなに大げさに考えなくても「今の仕事のプロジェクトを成功させる」や「笑顔で挨拶し合う職場にする」など、仕事の目標でもいいと思います。また、「運動して3キロ痩せる」とか「食洗機を買って家事の時短をして、子どもと遊ぶ時間を増やす」といった自分や家庭のことでもいいと思います。

そんなことを考えて会話をするうちに、「小さい頃からの夢だった油絵を描きたいな」とか「バンドを組んでギターを弾きたかったんだ」とか、やりたいことがどんどん見つかるかもしれません。「今年はハワイへ行こう。家族で予定を合わせなきゃね」なんて話になるかもしれませんね。

子どもが夢を語る時、否定せずに親は聞き役に

つまり、お父さんとお母さんが今年叶えたいことを嬉しそうに話しているのを聞くと、子どももいろんな夢が広がっていくのです。

「ハワイじゃなくて、ニューヨークがいい!」と子どもが言ったら、「(親)ニューヨークのどこに行きたいの?」「(子)おいしいもの食べたい」「(親)いいね、英語でかっこよく注文しなきゃね」「(子)うん、だから英語の勉強する」といった具合に、今年の勉強の動機ができるかもしれませんね。改まって「今年の目標は?」なんて聞かなくても、子どもはきっとどんどん話し始めると思います。

その話の中で、親は「お父さんは将来こんな家族になりたいと思っているんだ」「お母さんはこんな望みを持っているんだ」「子どもはこんなふうに考えていたんだ」など発見があるでしょう。

同時に、子どもも「パパとママは、こんな大人になって欲しいと思っているだ」と感じ取って、子ども自身の考えを作るきっかけになるはずです。子どもに言わせようとせず、子どもが話たくなるような会話をすることが大切です。

そして子どもが話し始めたら「うん、うん」と聞き役に徹しましょう。たとえその夢が叶うはずのないことや、ありえないことを言ったとしても、「うん、うん」と聞いてあげるのです。

「そんなの努力しないと無理だよ」「今のあなたにはできっこない」など、正論だとしても、否定的な言葉は使ってはいけません。なぜなら、親に言われなくても、努力しなければ叶わないし、才能がなければ自分で気づくからです。そうした経験を経て、自分で人生を決めていくことが大切なのです。

夢を叶える子と、そうじゃない子の差は?

でも、叶えられる可能性が100分の1あるとして、その夢を叶えている子どもとそうではない子どもの差は、親が信じる言葉をかけられるかどうかの差ではないかと最近思っています。誰だって、たった一人でも信じてくれる人がいたら頑張れるでしょう?

親にできることは、その夢を叶えるための手段を一緒に探すことであり、一緒に失敗をしたり一緒に喜んだりすること。決して正論を子どもに押し付けることではないと思っています。

夢を叶えたり、諦めたりするのは、お父さんやお母さんではなく、子ども自身が決めることだからです。

すると、真面目なお父さんやお母さんから「否定せずに、せっかく信じる言葉をかけたのに、数日後には、すっかり忘れて別の夢を話していてがっかりした」という相談を受けます。

気持ちはわかりますが、がっかりする必要はありません。子どもは、自分の考えを頭の中で考えるというより、言葉にして話すことや親に聞いてもらうことで整理して考えをまとめていきます。

むしろ、コロコロ変えながら、考えを成熟させていると思って、喜んで見守ってあげてくださいね。自分の考えを言葉にする力こそが大切であり、夢を叶える力となるからです。

執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。

■公式HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。