iDeCoは自分で拠出額を決めて、自ら運用していきます。他の企業年金と違い金融機関を選択できますので、将来の年金額は自分次第となります。iDeCoスタート時から給付を受け取るまでのイメージを持ちながら、金融機関は長期で付き合うことになるため慎重に選択していきましょう。第7回では金融機関を選ぶ際の注意点、そしておすすめ金融機関をご紹介していきます。

iDeCoはどの金融機関で始めるのが良いか

まず、金融機関を選ぶポイントとしては3つ挙げたいと思います。

・運営管理手数料の安さ
・商品の豊富さ
・サービスの良さ

運営管理手数料の安さ
こちらについては第2回でも書かせていただきましたが、手数料は口座を持っている間、毎月かかるものですので、長期を見据えての検討が必要です。

商品の豊富さ
運用商品はラインナップの種類が豊富なことに越したことはありません。各社が厳選した商品を並べてはいますが、数が多いほど、自分に合った投資スタイルに最適な商品が見つかりやすいでしょう。

サービスの良さ
iDeCoを始めるにあたって、初心者でもわかりやすいようなサービスがあると良いですよね。また独自のサービスを展開している金融機関もありますので、自分にとってプラスであるなら、チェックしてみると良いでしょう。

取り扱い金融機関

iDeCoを取り扱っている金融機関は銀行・証券会社・保険会社など、その数は80社弱あります。それぞれの特徴を解説しながら、9社ご紹介していきましょう。

楽天証券
運営管理手数料は0円です。多彩な商品ラインナップと、信託報酬の低い商品が揃っているのが特徴です。商品はコモディティなど金や原油の商品に投資するもの、投資家の退職時期に合わせたターゲット・イヤー型投資信託など、バラエティに富んでいます。

SBI証券
運営管理手数料は0円です。多様な運用ニーズに合わせるために、既存の金融機関中では商品数は一番多いです。運用コースが2タイプあり(2019年9月時点)、「低コスト」と「多様性」にこだわった「セレクトプラン」、iDeCoサービス開始から提供とともに見直しなど繰り返している「オリジナルプラン」があります。

大和証券
運営管理手数料は0円です。商品を選定する際に、指標となるアドバイスがわかりやすいのが特徴です。運用初心者・中級者・上級者、それぞれに合った商品が分別され、商品の選定理由がWEB上で丁寧に説明されていますので、しっかり勉強して選ぶことができます。

野村證券
運営管理手数料は、「掛金1万円以上」または「資産残高が100万円以上」の条件に該当すれば0円、「掛金1万円未満」または「資産残高が100万円未満」であれば283円となります。証券会社としての実績がありますので、加入者向けのWEBサービスやコールセンターはHDI-Japan(ヘルプディスク協会の略で、サポート業界で働く人たちやサポートセンターの地位向上を目的に設立されました)から最高評価を5年連続で受けているのが特徴です。

みずほ銀行
運営管理手数料は下記の条件により0円となります。
条件A「iDeCo残高」または「掛金累計額(資産残高)が50万円以上」の方
条件B 次の3点すべて満たす方
(1)掛金1万円以上
(2)iDeCo専用ウェブサイトにてメールアドレス登録
(3)「SMART FOLIO 」にて目標金額登録
上記の条件に該当されない方は255円です。運用コストを抑えた商品のラインナップ、そして運用サポートツールで自分に合った商品選びが簡単にできます。

三井住友銀行
運営管理手数料は標準コースは225円、みらいプロジェクトコースは0円です。特徴的なのは社会貢献をしながら投資する「みらいプロジェクトコース」です。ESG投資・ビッグデータ投資・イノベーションシリーズ・ヘルスケア、サイエンス分野への投資など、先進的なテーマ性の商品が揃っているのが特徴です。

りそな銀行
運営管理手数料は初年度から2年間は0円で、3年目以降は262円~316円になります。中小事業主掛金納付制度「iDeCo+」(※企業年金を実施していない中小企業(従業員数100人以下)において、iDeCoに加入している従業員の加入者掛金に対して、事業主が掛金を上乗せ(追加)して拠出することができる制度)に関連するサポート体制が充実していることが特徴です。「iDeCo+」で企業から給料天引きされている場合は、管理手数料が0円になるなど、iDeCo+制度はiDeCo加入者にとっては、自分の掛金に事業主が上乗せで拠出してくれるので、将来の年金額が多くなる可能性があります。また事業主は掛金を全額損金として算入することができますので、加入者・事業主双方にとってメリットがあります。

第一生命保険
運営機関手数料は資産残高が150万円以上の方は0円、150万円未満の方は315円です。医療や介護に関する電話相談サービスが無料で利用できます。

日本生命保険
運営管理手数料は313円です。充実のサポート体制もさることながら、加入者特典として、会員制サービス「えらべる倶楽部」で旅行・スポーツクラブ、レジャー・育児・介護などのサービスを活用できます。

銀行は手数料が高い印象がありましたが、条件によっては無料になるなど、各社価格競争が激しくなっているようです。商品の豊富さで言えば証券会社が圧倒的に優位ですが、保険会社は独自のサービスを強みとしています。各金融機関の特徴をチェックしながら、自分のスタイルに合った運用ができるようにしっかり吟味していきましょう。

※写真と本文は関係ありません