憧れのマイホーム。それは多くの人が数十年にわたる住宅ローンを組んで手に入れる、人生で最も大きい買い物だ。しかし、何が起こるか分からない世の中。リストラ、ケガ、離婚などさまざまな事情が重なり住宅ローンの返済が困難になってしまう人も少なからずいる。

この連載では、「任意売却」でローン返済困窮を救済する、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会に寄せられたさまざまな相談事例を紹介する。

会社が倒産、娘は大学を休学してアルバイトに

――東京都、40代男性(妻、子ども2人)の話

東京都に住むMさんは、従業員数150名の中堅仕出し弁当会社の調理長として働いていた。当時の年収は850万円と経済的にも安定しており、戸建てのマイホームも手に入れ、妻と2人の娘と暮らしていた。

しかしそんな中、勤務先の会社が食中毒を発生させてしまい、会社は営業停止処分を受けてしまった。世間からの評判も落ち、ついに営業再開を迎えることなく会社は倒産にいたった。

なかなか再就職先が見つからない状態が続き、長女は家計を助けるためにと、通っていた大学を休学し、近所のスーパーでアルバイトをするように。しかしそれでも生活が苦しく、ついには住宅ローンの返済が滞りがちになり、銀行から督促状が届いてしまった。

  • 勤務先の倒産により失業、住宅ローンが滞りがちに

    会社はついに倒産。再就職先がなかなか見つからず住宅ローンを滞納しがちに……

そんな時インターネットで「任意売却」という言葉を知り、協会のホームページを見て相談にやってきたのだった。

Mさんの妻は、子どものためにもマイホームを守りたい、という気持ちが強かった。しかし話を進めていくうちにMさんの再就職が決まり、勤務先が大阪だったため、単身赴任を余儀なくされる事となった。そして妻もマイホームを守り続ける事を断念し、任意売却が決まった。

任意売却後の生活

売却後、残債務が750万円程残ったが、債権者との話し合いの結果、毎月2万円ずつ返済していく事に。毎月の返済額を大幅に減らすことができた。

相談の声

「娘には、大学を休学してまでも、働かなければならない状態にしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。今は単身赴任で、家族と一緒に暮らせない状態ですが、娘も大学へ復学することができ、私も再就職先にも慣れ、少しずつですが、生活も安定してきました。督促状が届いた時や、相談に行く前は、途方に暮れ、家族からも笑顔が消え、生きていく気力を無くしておりました。安定した生活に戻れた事、とても感謝しております。ほんとうにありがとうございました」

※相談者のプライバシー保護のため、一部加工しています。
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一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

住宅ローン返済困窮者及び今後滞納する可能性を持つ方々の救済や利益保護を目的に、平成22年に設立された非営利団体。
ローン破たんで競売によるマイホームの強制的な売却を防ぐために、住宅ローン返済条件変更や売却せざるを得ない場合でも、より有利な「任意売却」でローン返済困窮を救済、またその仕組みの認知、普及に取り組んでいる。
「住宅ローン返済に困っている」、「返済を滞納してしまった」、「今後の住宅ローン返済が難しい」など、住宅ローンで困っていることがあれば、全国対応の相談窓口(フリーダイヤル:0120-963-281)、もしくは協会WEBサイトから気軽に相談することができる。