憧れのマイホーム。それは多くの人が数十年にわたる住宅ローンを組んで手に入れる、人生で最も大きい買い物だ。しかし、何が起こるか分からない世の中。リストラ、ケガ、離婚などさまざまな事情が重なり住宅ローンの返済が困難になってしまう人も少なからずいる。

この連載では、「任意売却」でローン返済困窮を救済する、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会に寄せられたさまざまな相談事例を紹介する。

順風満帆な人生、しかしうつ病に

――東京都、40代男性(妻、子ども2人)の話

相談にきたのは、本人ではなく現状を心配した兄弟だった。

Aさんは堅実な性格で、婚約してすぐに将来を見据えて一戸建てを購入した。その後結婚し、働き盛りの年代でもあったため、その頃はバリバリと仕事をこなし、収入も安定していたのだそう。子どもも2人生まれ、順風満帆な人生だった。

しかし仕事に没頭する毎日の中、職場でパワハラに遭い、予期せぬ心の病を患い入院を余儀なくされてしまった。うつ病だった。

  • 順風満帆な人生が一転、パワハラが原因でうつ病に

    住宅購入、結婚、出産と順風満帆な人生だった。しかし……

「少し休むだけ」と妻には伝え休職したが、会社の人事から6カ月以内には会社に戻るよう連絡が。Aさんも戻る気でいたものの、産業医から復職は難しいと言われ、また入院することになってしまった。

そんな中、妻から「夫が心の病になっている。生活が苦しくなってきていて、住宅ローンの返済も難しくなっているが私には相談がしづらい様子なので、相談に乗ってあげてほしい」と相談された兄弟が、協会へやってきた。

協会の担当者は、現状、以前のような収入の仕事に戻れる確証がないこと、心の病という本人の力だけでは完治が難しい病状であることを鑑みて、任意売却をすすめた。

入院しているAさんは、大切な我が家を売るなんて……と当初売却に反対していた。その気持ちを尊重しながらも、家族と一緒に今の状況の説明に何度も足を運んだ。少しずつAさんも理解し、任意売却が最善の方法だと納得してもらうことができた。

任意売却後の生活

現在は病状も回復に向かっており、退院することができた。そして、家族との同居から再スタートしている。周りに支えられながら、頑張らずに過ごしている、という。

相談者(Aさんの兄弟)の声

「一度独立した家族のことで、どこまで力になれるか、本人の負担をどう減らしてあげらるか、漠然とした思いだけで、何も分からず相談しましたが、とても親身になってくださり、専門的に解決していただき感謝しております。本人も、ゆっくりではありますが社会復帰向け、元気になってきたようです」

※相談者のプライバシー保護のため、一部加工しています。
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一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

住宅ローン返済困窮者及び今後滞納する可能性を持つ方々の救済や利益保護を目的に、平成22年に設立された非営利団体。
ローン破たんで競売によるマイホームの強制的な売却を防ぐために、住宅ローン返済条件変更や売却せざるを得ない場合でも、より有利な「任意売却」でローン返済困窮を救済、またその仕組みの認知、普及に取り組んでいる。
「住宅ローン返済に困っている」、「返済を滞納してしまった」、「今後の住宅ローン返済が難しい」など、住宅ローンで困っていることがあれば、全国対応の相談窓口(フリーダイヤル:0120-963-281)、もしくは協会WEBサイトから気軽に相談することができる。