30代は小学校入学前に住まいを購入したい」「子供室が必要になりつつある」など、住宅購入要望が多い世代です。結婚後数年を経過し、貯蓄もある程度でき、子育てに最も手がかかる時期はそろそろ終わりつつあります。子供が大きくなれば、格安の社宅住まいでない限り、借家であればワンランク上のスペースが必要となり、それに伴い家賃もアップするでしょう。
子供が高校、大学進学するまでが資産形成のチャンス!
メリット1:教育費がまだ多くかからない時期に返済を開始できる
教育資金の準備は必要ですが、まだまだ子供の教育費は少なくて済む時期です。
メリット2:子供にとって故郷ができる
子供時代を過ごした土地は格別なものがあります。大人になって別の地域に長年住んでいたとしても、子供時代を過ごした地域はとても懐かしいものがあります。幼馴染がそのまま互いに大人になっていくのはとても素敵なことです。住まい選びは子供のふるさと選びでもあります。
メリット3:定年前に完済できる
35歳で35年のローンを組むと70歳になります。65歳まで働くとして5年間不足しますが子供の手が離れたら妻が働けば繰り上げ返済も可能だと思います。
教育資金のプールとローン返済のバランスが決め手
デメリット1:教育資金のプールとのバランスが難しい
公立で通させたいと思っても、そううまくはいかない場合もあるでしょう。思わぬ出費も発生する可能性も否定できません。
デメリット2:転勤・転職などが発生した場合、返済が負担になるケースがある
転勤や転職は急に決定するケースが少なくありません。タイミングよく有利な条件で貸したり、売却したりできるとも限りません。子供が進学を控えていれば、単身赴任もあり得ます。生活が二重になる負担があります。
デメリット3:晩婚の場合は、老後の準備も加わる
ローンの支払い、教育資金の準備に自分たちの老後の準備も加わり、やりくりが厳しくなります。晩婚化が加速している時代、独身時代の蓄財額がその後の生活を左右しそうです。
デメリットをどうカバーする?
対策1:妻のスキルアップで先々の収入アップを計画
子育て中は退職したり休職したり、パートに変わったりしたケースも多いと思います。しかし、これからの時代、生涯収支を考えれば夫婦で働くことが前提になると思います。本格的な仕事復帰を目指して資格取得などスキルアップを図り、準備しておきましょう。労働時間はさほど変わらないのに正社員と派遣や契約社員、パート待遇などとでは収入に大きな格差があります。同じ時間働くなら、高収入をめざしスキルアップに努めましょう。
対策2:転職、転勤などの際の対策を考えておく
新入社員として入社して定年まで勤めあげるのが一般的な時代ではありません。当然転職も普通に考えておかなければなれません。同じ地域であれば住み続けられますが、他の地方での新生活となるかもしれません。海外への転勤もあるかもしれません。20代での住宅購入同様に良い条件で貸したり売ったりできる物件であることが重要です。
対策3:グローバル化の時代の子育てでリスクを少なく
大学進学に関する費用を100%親がかりで賄う国はそう多くはありません。海外の子供たちの多くは自力で大学へ行くのです。グローバル化の時代、自力で大学に学んだ子供たちと親に学費のすべてを出してもらって大学生活を謳歌した子供たちのどちらの子供たちの競争力があるかは自明の理です。
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この世代は夫婦も子供もどれだけ力をつけるかが決め手のように思います。普通の会社員も勉強が必要な時代です。育児休暇中の間はスキルアップのための資格取得の絶好のチャンスです。子供も国際競争力をつけなければなりません。そのためには、習い事や塾などに通わせる教育費が必要だと考えがちですが、私の高校の同級生はラジオを聞くだけで、数か国語がペラペラでした。自分で勉強する、自分で道を切り開く力こそ競争力をつける近道だと思います。幼いころから「大学の学費は自分で賄う」ように育ててみてはどうでしょうか。
<著者プロフィール>
佐藤 章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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