「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第97回のテーマは「家族の『密』を乗り切るために」です。

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未就学児童が家にいるけど、仕事をしなくてはならない生活が続いております。

iPadに子守を任せておりまして……最近5歳児がSiriさんととっても仲良しになっています。私が使わないような機能を使いこなせるようになっています。私はSiriさんがダジャレを言ってくれることもなぞなぞを出してくれることも知りませんでした!

だがしかし、iPadばかりに話しかけているわけではなく、息子は「トイレ~」と声をかけてきます。1人でトイレには行けるはずなんですけどね。「トイレに行くときくらいは声を掛けてもいいと思っているのかな?」と思うと、トイレに付いていってあげます。「これは一緒に見てほしい」という動画があれば見ます。ほったらかして申し訳ない気持ちがあるので、本をおねだりされたら買っちゃいます。

んですけど~。家の中では息子は基本的に私のそばにいて、ヒドイときはトイレの中までやってきます。お母さんにゆっくりトイレに入れさせてください!!! 

締め切りがそれほど切羽詰まっていないときは「まあ、いいか……。息子も寂しいしつまらないよね」と思って付き合っていたんですが、それをやっていましたら徐々に時間が無くなり……。締め切り間際になったら、本格的に「時間がない!!」となり「本当にごめんね、本当にごめんね」を連発したのち「自分でできることは自分でやって!」「お父さんに頼んで!!」という感じになってしまいました。あとちょっとで仕事が終わるというタイミングで「つまんない~」とか言われると、「も~~~~あとちょっと待ってくれたら終わるの!!」って……なっちゃいます。申し訳ないけど……。

で……私に余裕が無くなると、なんだかお父さんが余裕の面持ちで「まあまあ、お母さん」とか言って割って入ってくるようになりました。優しくフォローしてくれるのはありがたいんですけども、「いつもはオレがイライラしてたしなめられる側だけど、反対だと余裕が出るよね」的なことを本人が言うのと、なんとなく嬉しそうなのを見てモヤモヤとした気持ちになりました……。

私はパートナーからいつも「子どもに甘い」と言われているのですが、私的には子どもに甘いのではなくて、大人に厳しいという感じです。これは「自制心とか、思いやりとか、自分の気持ちをコントロールして穏やかでいることは、修行あってこそ」みたいな考え方があるからです。これは私が空手をやっているせいです。

我が流派には「試割」が審査項目にありまして、杉の板を割ります。これ……すごく面白いのですが、何がって「怖い」とか「割れないかも」と気持ちに迷いがあると全然割れないんですよね。怖いと思う気持ちが体を萎縮させてムダに力んだりしてしまい、正しい体勢がとれなくなったりするんです。でも、気持ちをフラットにして「板を割る」ことだけに集中すると、正しく体勢がとれて板が割れます。心構えとか気持ちの影響というものを、ものすごく実感できたんですよね。

こういう経験から、自分の気持ちをコントロールするのは「修行」とか「自己鍛錬」だと思ってやっています。なので、なんていうか……「子育ての意識が高い」とかじゃなくて、基本前提は武道っぽいというか……「オラもっと強くなりてえ」みたいなテンションです……。

この前提は、同じく空手をやっているパートナーとも共有できています。一緒に空手をやっていたおかげで「キレたり」「怒ったり」して、相手を動かそうとすることが、非合理で効率が悪いということや、自分をコントロールできてないのは自分の力不足であるという価値観を共有できています。そして空手的には私の方が先輩で、段位も上なので普段はイライラするパートナーに対して「修行が足りないのでは?」と指摘することが多いのです。

……なので、私がイライラしてると……パートナーはなんだかちょっと嬉しそうなんですよね…。

まあでも、それで私がイライラしてもフォローしてくれるならいいかな~と思っていたら、パートナーに余裕がないときは全然フォローしてもらえないということが発覚。だ、ダメじゃん!!!

父親も母親も5歳児に向かってプリプリ怒る状態とか、恐ろしすぎる……。と我に返ってイライラを吹き飛ばすために踊りながらアゲアゲをやりました(詳しくは、連載93回94回の「外出自粛期間を家族円満に過ごすための工夫」をご参照ください)。

自分がイライラしてるときに「まあまあ」とか「踊ろうぜ」とか声かけしてくれる人がいると、余裕がないときにイライラしても平気かな~なんて思ってみたんですけど……やっぱりできる限り自分でコントロールしたほうがいいな~って思いました……。

ちなみにいつも穏やかで、自分の気持ちをコントロールできたら「いい人」「いい親」になれそうではあるのですが、そこを目的にすると無理したり自分を抑圧したりしちゃうかもしれないので、そこは目的にしないようにしています。子どものためというより、自分がギスギスした家に暮らしたくないのです。イライラしないでニコニコするのは、あくまでも自分の快適さのためだと考えるようにしています。

「ああ、早く社会活動ができるようになってほしい」と願いつつ、修行の気持ちで暮らしています。

新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

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バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。