「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第61回のテーマは「親が気にしすぎることもある」です。

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最近の我が家では、息子と親とのコミュニケーションで、いくつか問題がありました。

1つは、息子が保育園での出来事を、まったくお父さんには話してくれないという問題。

基本的に息子はお父さんに塩対応です。なぜだかわからないのですが、お父さんにかなり厳しい。我が家はお父さんがご飯を作り、息子の世話もちゃんとやり、お母さんがいなくても全然問題なくオペレーションが回ります。

我が家は夫婦そろって在宅で仕事をしているので、お父さんが家にいないとか、接点がないとか、そういうこともありません。にもかかわらず、お母さんと比べてお父さんに厳しい息子です。

物心ついて2歳くらいには、もうそのようになっていました。ただし「お母さんと比較したときに」そうなるようで、お母さんが家にいないときは仲良しです。

そんな息子ですが、お父さんに保育園の話をしません。というか、私はそもそも息子に保育園の話を聞きません。本人が話したければ話をするだろうと思っているからです。そして、実際に話したいことがあれば、教えてくれます。

なので、お父さんに「わざわざ聞くから、何を話せばいいかわからないのでは?」とか「もっと順番に話しやすいように聞いてみたら?」とか「2択で答えられる質問から入ったら?」などと、色々とアドバイスしたのですが……。

2択で聞いたら答えが返ってきて終わり。聞いたらそれ以上の話はしない。それ以上聞くと「忘れた」と言われると。そして、そもそも待ってても何も話してくれないから聞くのだ、と言われました。

ヒー! 息子よ~! もっとお父さんにも話をして!!!

息子とじっくり「どうしてお父さんに保育園の話をしないの?」と聞いてみたんですが、本人は「いじわるしてない」「聞かれると忘れちゃうの」「思い出せないの」と……。ね、根が深そう。「何を話していいのかわからない」が、本人は「忘れちゃう」ってことじゃないの? とお父さんにも言ったのですが、お父さんは深く落ち込んでいました……。

さて一方、私です。

息子に好かれて、息子になんでも話してもらえる私なんですが、私にも「息子とうまくいかない」ポイントがあります。それが「絵を描く」ことについてです。息子は私以外の前ではのびのび絵を描くのですが、私の前だと、とたんに「できない」「描けない」と言い出すのです。

息子にとっては「お母さんは絵がうまい」ということになっていて、どうやらそのお母さんの前で失敗したり、下手な絵を描くのがイヤだったりするみたいなんですね……。

で、これがすごく私の心にブッスりと刺さるのです。自分の存在が、息子の能力を制限している! と。

私がいなかったらのびのびできるのに、私のせいで萎縮しちゃうというのは、結構親としてはショックです。あれこれ指示したこともないし、描いたらとにかく褒めているにもかかわらず、息子は描きたがらない。

自分がとにかく何はともあれ「絵を描いてれば楽しい」という子どもだったので、息子が自主的に「絵を描かない」ことに、ひょっとして自覚はないけど少しネガティブな態度があるのかも……と自問自答したり。悩みました。

そして自宅で「絵を描こう」となっても、息子はやりたがりません。そうすると、ついつい「頑張って描いてよ~」ってなっちゃうんですよね。

で、それを見たお父さんが「あ、これはオレが保育園の話してよ~」ってなるのと同じだ、と気がつきました。客観的に見ると「今はそういう時期なんだよ」とか「そんなに気にしないほうがいいよ」とか、そういう気持ちになるのに、本人は「どうしよう! これは問題だ……!」と思ってしまう。そういうわけで、お父さんも「保育園のことを気にしすぎるのをやめよう」となりました。

これは夫婦が同時に育児に関わっているから発見できることなんだと思いました。客観的に見られるというのは、大事。だけど、一人でやってたら気がつかないことっていうのはある。本当に「人の振り見て我が振り直せ」。なので、逆に何かをすごく気にしすぎていたり、問題だと思っていたりするときは「もし、これが自分じゃなかったら?」と思うのも有効なのかもしれない。と思いました。

ちなみにこの2つの問題。親のほうがあまり気にしなくなったら、息子も徐々に気にせずしてくれるようになっています。お父さんには保育園の話をしてくれますし、お母さんと絵を描くときは「ここを手伝って」と言うところを少し手伝ってあげると、その後はのびのび描いたり。ついつい気負ってしまう子育てですが、「なんとかなるなる」「気楽に」という視点は、いつも持っていないとなあと思いました。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。