「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第220回のテーマは「人のやってるタスクは認識しにくい」です。

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猫は結婚と同じタイミングで飼いはじめました。なのでかれこれ10年。うちの猫は子猫の時に病気で死にかけて以来、ちょっと精神が不安定な猫です。病気のときに介護をした私に執着しがちで、旅行などで家を空けると、その後ストレスで普段しない場所にオシッコをしてしまいます。

割り勘かつ、家事タスクを分けている我が家。猫担当は私です。猫にかかるお金は私が払っていて、基本的に我が家の白猫「ファル子(通称おファルにゃん)」は、私の猫です。カルテに名前を書くなら「水谷ファル子」という感じです。

そんなファル子ですが、なぜかストレスがあると最近「パートナーの匂いのする布製品」にオシッコをするようになってしまいました。病気から復帰したての頃は、分離不安症になってしまい私が寝てしまうのが怖かったらしく、私が寝ようとすると布団にオシッコをするという地獄のような日々が続いたこともあったのですが、月日とともに落ち着いて最近はそこまでのことはありません。

しかし、旅行で家を空けた後などはパートナーのいつも使っているビーズクッションにオシッコをしがちです。以前は大きなビーズクッションを使っていたのですが、洗濯するのが大変過ぎて小さいサイズに買い替えました……。買い替えてもパートナーの匂いがついていれば容赦なくオシッコをされるので、洗濯するのが前提となっています。

飼っている方はご存知だと思うのですが、猫のオシッコというのは、かなり強力な匂いがします。猫砂は消臭効果があるものを使っているので、トイレにする限りはそこまで臭わないのですが、トイレ以外の場所でされた場合は、部屋に入った瞬間「あ! どっかでオシッコされた!! 」とわかるくらいは匂います。

そして普通の洗濯では匂いは落ちません。世の中にはオシッコをされたら、その布製品は即捨てるという方もいらっしゃるようですが、私の身の回りで「ストレスがあったらオシッコをする猫」を飼ってる友人たちも、「そんなんで捨ててたら生活が成り立たない」と、それぞれ工夫して洗濯する人が多いです。

「猫のオシッコの臭い取りには熱がいい」と聞いてスチーム洗浄機を買ったり、猫のニオイ消し商品も各種いろいろと買って試したりと、試行錯誤をしてきましたが、我が家では医療や介護の現場でもよく使われている「オスバンS(ベンザルコニウム塩化物10w/v %水溶液)」を使って洗濯をするところに落ち着きました。これを使うと臭いが取れるので使っていますが、薄めて使わなければならないのであくまでも自己責任で、布製品との相性をみつつ試しながら使っています。

我が家では、と書きましたが、掃除洗濯担当は私で、なおかつ一応「私の猫」なのでパートナーの持ち物でも、猫の粗相の処理は私がやっています。

……と、そこまではいいのです。なのですが、なぜ人は他人のタスクを軽く見積もってしまうのでしょうか?! 私が毎回クッションを洗っているのをパートナーは「大変だなあ」と思って見ているはずなんですが、「クッションを洗うのが大変」と認識しているためか、「臭いを取るのが大変」という過程がすっぽ抜けていた様子。

そしてビーズクッションは洗うとなかなか乾かないので、しばらく使えないが故に「オシッコをされて洗っている」ということが認識できるのですが、服は洗えばわりとすぐ乾くので「脱ぎ捨てた服にオシッコをされた」という記憶は、忘れ去られていたのです……! あなたの服にしか、基本されないんですけど!?

ちなみに、私のほうが臭いに敏感で、パートナーは結構鈍感だという差もあるかもしれません。気にならないくらいきっちり消臭できるように洗濯しようというモチベーションが私のほうが高いので、私がこのタスクをやるのに文句はないのですが……。やっていないことにされるのは結構厳しいものがあります。

忘れたせいで、わざわざリスクアップするような行動を取るのは流石にやめてほしい。そんなわけで、猫が不安定な時期は自分の部屋の中だったとしても床に服を脱ぎ捨てないでとお願いしました。

それにしても、猫はなぜパートナーの臭いのするものにオシッコをするのか……? という疑問はあります。私や息子が使っているものにオシッコをすることはあまりないのです。なにか、猫にしかわからないフェロモンが含まれているのでしょうか。

洗濯は私がするので、旅行後に不機嫌になった猫のご機嫌取りとしての「なで係」はパートナーになるべくやってもらうようにしています……!

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。