「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第195回のテーマは「息子はお父さんのお弁当が大好き」です。

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小学校生活が1年終わり、息子がそろそろ2年生になります。早いですね……。そして春休みですが、最近困ったことがあります。息子が長期休みのときに、学童に行きたがらなくなってしまったのです!

保育園のときは、基本的に周りのお友達もみんな夏でも冬でも保育園に平日は毎日通うのが当たり前でした。しかし、小学生になると「夏休み」や「春休み」という長期休みがあります。学校は休みですが、親の仕事は休みではありません。なので学童に行ってもらうわけですが……。

息子は「お友達の中には、学童に行かずにずっと家にいる子がいる」ということを知ってしまいました。そして「僕もずっと家にいたい! 」と言うようになってしまったのです。

しかし息子よ……! お父さんもお母さんも家にはいるけど、仕事をしているんです。小学生になった息子、ほったらかしてもいいんですが、そうするとずーーっとiPadでゲーム、YouTubeをエンドレスで繰り返します。たまにはそういう日があってもいいんですが、さすがに2週間そういう生活をさせるつもりはありません。お友達と外で遊んだり、一緒にアナログなゲームをしたりしてほしい。

まだ低学年なので、一人でお友達の家に遊びに行くということも少ないですし、今どきはどこのご家庭も遊びに行くには事前にアポを取り、親同士が連絡しないと行かれません。これを管理するマネージメントがまた手間になり……。学童へ行ってくれればこの手の手間もなく親は安心して子どもを遊ばせることができます。

そういうわけで、やっぱり親としては学童に行ってもらいたいのです。

まずは、息子のリクエストは「お父さんのお弁当ならいいよ」でした。我が自治体の学童には長期休みにお弁当を発注できるシステムがあります。夏休みには何度か利用しました。しかし、息子はそのお弁当があまり好きではないようなのです。

うちの息子は好き嫌いがあり、知らないものは食べたくないという偏食タイプです。事前にメニューを確認して発注できるのですが、それでも「メイン以外のおかずが美味しくなかった」などと残すことも多く、あまり楽しみではなかったようでした。

それに比べて、お父さんの作るお弁当は保育園でお弁当を作っていたときからの定番メニュー。息子が食べ慣れていて、好きなものしか入っていません。なので、「お父さんのお弁当なら、行ってもいい」という条件が出ました。

お父さんは長年、この偏食で食に対する意欲が全然ない息子にあの手この手で食べてもらえるように努力してきました。「食べないなら食べなくていい」と言うと本当に食べず、後から「(お腹が空いて)動けない……」となるような息子。「食育よりも発育」をスローガンに、食べてくれるならなんでもいい、とやってきた結果……「お父さんのお弁当大好き」と言ってくれるようになりました。それはお父さんにとっては達成感のある出来事だったと思います。

しかしお弁当を作るためには、いつもより1時間も早く起きるとのこと。それが辛いというので、私も代わりにやると提案しました。しかし、キッチンが自分のテリトリーになっているパートナーは、できれば自分でやりたいらしく、今のところ私の出番はありません。自分のタスクって人にやってもらうのはそれはそれで面倒だったりしますよね……。

しかしお弁当くらいで元気に学童に言ってくれるほど、話は簡単ではありませんでした。毎朝「行きたくない」という息子を説得するのは私の役目です。

しかし、私自身の小学校生活を振り返れば、長期休みは楽しみでした。家で散々、生産性のない自堕落な生活を送って……それは天国。そう考えると、息子に生産性のある活動的な生活をしてほしいというのも、親のエゴではと思ってしまいます。なので、いつもよりは自堕落な生活を送ってもいいよ、ということにしました。

いつもより早い時間に帰ってきてもらって、私が仕事をしている間はほっておくことにしました。「デジタルデバイスチケット制」の我が家は、本来平日はチケット2枚(20分×2)しか使えません。しかし、いつもより1時間早く帰ってきても、親がまだ仕事をしているのでチケットを管理しきれないのです。

つまり、60分は好き勝手に過ごせるということです。このボーナスシステムはなし崩し的に行われていますが……春休みなのに、朝から夕方まで学童に行っているので、まあいいかという感じになっています。

さらに、いつも一緒に学校に行っているお友達とは朝の時間が合わなかったり、学童に行かない日があったりするので、私が学童まで送って行くことになりました。お母さんと一緒に行くのがボーナスになるのは今のうちだけだと思うので、春休みの間は毎朝一緒に歩いて行くことにしました。

幼児のときよりは子育てが楽になった……と思いつつ、生活態度の管理、親がやってもらいたいことへのモチベーションの維持など、また別の形で手がかかるな~と思っています。これも子育ての醍醐味……と思うことにして、新年度も頑張りたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。