「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第197回のテーマは「不機嫌の理由を言えるようになった」です。

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前からイライラしたりキレたりしがちな我がパートナー。トライ&エラーを繰り返して、キレることはすごく減ったのですが「イライラ」はまだまだ克服しきれていません。

以前から、イライラは何かを抑えたり我慢したりすることが原因になるので、「自己開示」してとお願いしていました。「今日は体調が悪い」とか「イヤなことがあった」とか、そういうことを教えてもらえれば「そうか、今日は大変なんだな」と思えます。でも、そういうことを知らないままにイライラされたり、嫌な態度を取られたりすると、家族は傷つきます。一緒にいる相手を傷つけないために、自己開示が必要だと考えています。

なのですが……そもそも自分が今どういうコンディションなのか自覚がないと、自己開示ができないのです。なので、まず自己開示の前に「自覚」することが必要になります。男性は幼少期から、女性にくらべて自分の気持ちを人に話す機会が少ないそうで、自分の気持ちを自覚するのが苦手な人が多いそうです。これはうちのパートナーにも完全に当てはまりました。

でもこれ、性格とか資質もある程度ありますが、訓練や練習をするとできるようになるんですよね。女性はどちらかと言うと人に気持ちを話す機会が多いので、やっているうちにできるようになっている。だから「男性だからできない」わけではないんですよね。でも自然に学ぶ機会がないなら、意識して練習しないといけません。

そういうわけで、我が家でもまず「自分の今の状態を自覚する」ことと、次に「それを家族に自己開示する」ことが課題になっていました。

以前のパートナーは、何か問題が起こったときに、「問題に対して、罰を受ける」ことで問題を済ませる傾向がありました。つまり「一回そのことについて怒られたんだから、もうその話はするな」というやつです。パートナーにとっては、怒られたり、叱られたりすることが罰なんですよね。これは本人が子どもに対してもわりとそういうところがあり、子どもの失敗(問題)を叱責する傾向がありました。

でもそれだと、全然問題は解決しないのです。

私は問題に対して罰を与えるよりも、問題がそもそも起こらないようにするほうがいいと考えています。なので、問題が起こったときに「どうしてそうなったのかな? 」と過去に戻って原因を探ります。起こった問題に対して、罰ではなく解決を模索する方法です。

これをやらないと、何度叱責しようと同じことが繰り返されます。だって「そうなる理由」を誰も解決してないんだから、当たり前です。

パートナーがキレたり、イライラしたりする問題について、私が「イライラされると、こっちがストレスを受けるからやめて」という話をすると、彼の中では「怒られた。だからイライラしたことはチャラ」になっていたんですよね。

私は問題の解決を求めているのに、なかなかつながらない。何度も何度も言い続けて、心底疲弊させられました。こっちはイライラでストレスをぶつけられたくもないし、その後怒りたくもないのです。

根気よく「問題の過去に戻り、原因を探ってそうならないようにしろ」ということを伝え続けた結果……。今回イライラはしたものの、自分で「イライラして迷惑をかけた」という自覚を持ち、原因を自分で探って認知できるようになったのです。

問題は、まだ「イライラを振りまく」ということが避けられてないことなのですが……。人間なので、余裕がなければイライラします。それはしかたのないことです。私だって、息子だってイライラするときはあります。でもそれを家族にそのまま振りまくのは問題です。それをどうやって避けるか、が家庭運営の鍵を握っているといっても過言ではありません。

イライラしてる自覚と原因を、イライラしているその時に開示してほしい……! そしてできれば、家族に自分のストレスを振りまかないようにしてほしい。ここはまだ課題が残るところではあります。

体のコンディションは、お天気みたいだなと思っています。良いときもあれば、悪いときもある。それは自然の摂理です。だけど、今は天気予報があります。これは天気予報がないとみんなが困るから人類がノウハウを集めて発達したわけです。そういうことを、家族のコミュニケーションの中にもちゃんと取り入れたいな、と思っています。

徐々にですが、パートナーもそういうことができるようになってきていて、よかったなと思います。練習すればできるようになる、というのは私にとっては希望です。私も一緒に意識して練習していきたいなと思いました。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。