FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、ファイナンシャルプランナーの池尻美由紀さんが、41歳で出産し、老後費用と教育費の貯め方について悩んでいるまゆこさん(44歳)の悩みにアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

まゆこさん(仮名/会社員/44歳)

家族構成

夫(会社員/45歳)、子ども1人(3歳)

◆お悩み

子どもが生まれるまでは夫と2人の暮らしで何とか生活をすることができていましたので、貯蓄にあまり関心がありませんでした。しかし、41歳で出産をし、子どもの教育費のことを考えるようになりました。子どもが大学を卒業するころには私たちの老後が始まります。教育資金も老後資金も全く貯めていません。どのようにしたらよいか教えてください。

◆相談者さんの家計収支

月収は56万円、ボーナスは年に120万円。支出は住宅ローン12万円、住宅関連費3万円、食費9万円、水道光熱費3万円、通信費2万円、小遣い(夫)5万円、小遣い(妻)3万円、保険料4万円、教育費1万円、交通費1万円、医療費1万円、車両関連費3万円、日用品その他6万円、貯蓄3万円、貯蓄額は300万円となっています。

ボーナスの使い道は、娯楽20万円、冠婚葬祭10万円、旅行20万円、固定資産税、自動車税等税金30万円、貯蓄40万円です。

◆ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

(1)ご自身の20年後を思い描いて資金作りを考えてみましょう

近年、晩婚化が進み、それに伴って晩産化も進んでいます。私の友人も45歳で出産をし、「子どもが中学を卒業する時、私は還暦だわ」などと話していました。まゆこさんのように40歳代で出産する方も珍しくなくなってきていますよね。

まゆこさんの家計収支とご家庭のライフイベントをベースにライフプランニングをしてみました。まゆこさんの会社では、55歳で給与が減収となります。このときお子さまは中学生、教育費の支出が増えるタイミングと重なるため収支はマイナスとなり、毎年貯蓄が減っていく結果となりました。

60歳で定年を迎え、再雇用された時も更に減収となる見込みです。今は収入の方が上回っていますが、このままですと65歳まで貯蓄が持ちません。ぜひ食費や日用品その他の支出を見直して、今からでも貯蓄に回すよう心掛けてください。

(2)教育資金と老後資金の準備は同時進行で行いましょう

よく子どもが小さい頃が「お金の貯めどき」といいますが、40代に入ると何かとお金の必要な場面が増えていきます。住宅費はもちろんですが、おこづかいの支出では交際費の占める割合が多くなりますし、ご自身の教育費や健康関連費も増えます。

また、晩婚のご夫婦の場合、先に子育てを経験された知人も多く、いろいろな情報が入ってきやすいです。そのため、お子さまの教育に熱心になる傾向にあると感じています。

しかし、あまり教育費にお金をかけ過ぎると、老後資金を貯めることができません。ぜひ通帳を家計用、ご主人名義貯蓄用、まゆこさん名義貯蓄用、子ども名義貯蓄用、ローン返済用と分散してください。そうすることで資金を貯めやすくすることができます。給与や児童手当から先取りをして毎月コツコツ貯めることをお勧めします。

(3)定年後の働き方を今から考えておきましょう

子育ての時間はあっという間に過ぎていきます。今から定年後の働き方を考えておいてください。

まゆこさんご夫婦の収入を鑑みると、贅沢をしなければ年金収入だけでも十分生活できると思います。しかし、人生100年時代に入り、65歳からの人生もまだまだ先が長いです。「できること、必要とされること、やりたいこと」があれば、イキイキと働くことができると思います。ぜひ、定年後もまゆこさんらしくお仕事をされることをお勧めします。

  • 年代別の消費支出額、60~69歳では月額平均28万2,997円※家計調査報告家計収支編2020年(令和2年)平均結果の概要より引用

◆ご相談後の感想

今まで貯蓄を考えてきませんでした。このままでいけるかもという甘い考えもありました。今回、相談させていただき、老後に貯蓄がマイナスになることがわかり驚きました。20年後の老後を見据えてしっかり資金作りをしていこうと思います。ありがとうございました。