FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、AFPの池田ひろみさんが「教育費が準備できていません。今からでも間に合いますか?」というさくらさん(41歳)のお悩みにアドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

さくらさん(仮名・パート/41歳)
和歌山県在住

家族構成

夫(会社員/45歳) 年収450万円
子ども2人(中学1年生/12歳、小学5年生/10歳)

◆お悩み

これまで親の介護のことで精一杯で、教育費はまだ先だと後回しにしてしまいました。気が付けば、長男はこの春から中学1年生、長女は小学5年生になり焦り始めています。どうしたら良いでしょうか?

◆相談者さんの家計収支

月収は34.5万円、月間の支出は住宅ローン8.3万円、食費6.5万円、日用品費5000円、水道光熱費2.2万円、車関連費(2台)2.5万円、通信費2万円、教育費3万円、保険料3.5万円、小遣い(4人分)4万円、貯金2万円となっています。貯蓄額は150万円です。

(1)進学プラン

未定だが、公立中―公立高校―私立大文系を想定して試算希望

(2)保険の内訳

夫:生命保険、医療保険 1万円
妻:医療保険 4000円
学資保険2人分(18歳満期240万)2.1万円

(3)ボーナスの使い道

固定資産税約10万円、自動車税約5万円 、自動車保険約7万円、衣服費20万円、旅行費20万円、貯蓄10万円

◆FPからのアドバイス

家事や育児、仕事をしながら長期にわたる介護生活はとても大変だったと思います。「教育費のことは後回しにしてしまった」とのことですが、学資保険に加入されていて良かったです。今ある普通預金の貯金は生活防衛資金として手を付けないようにし、足りない分はこれから準備をしていきましょう。

アドバイス1:必要な教育費を知る

教育費の考え方として高校までは月々の家計から賄うのが基本です。高校受験、大学受験対策用の学習塾費用は大きな負担となりますが、出来るだけ年間の収入から出すようにしましょう。事前に準備するべき教育費は大学費用です。

大学費用は進路によって異なります。4年間の学費は国公立で約243万円、私立文系で約408万円、私立理系で約551万円 です。ご希望の私立文系で試算すると約168万円足りません(408万円ー学資保険240万=168万円)。2人とも同じ進学プランの場合約336万円必要です。

また地方在住学生の場合、進学先によっては通学交通費が高額になったり、自宅外通学で生活費が必要になったりする可能性があります。仮に仕送りを月10万円すると大学在学中4年間で960万円 が新たに必要です。

  • 私立大学の学費※私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(資料1)より引用

アドバイス2:唯一の対策は収入アップ

学資保険で初年度と次年度の学費は準備できています。足りない分の学費336万円と交通費、生活費の一部であと約600万円は準備しておきたいですね。現在の貯金ペースですと年間約34万円なので5年間で約170万円 です。通信費を格安SIMに変更するなど、家計の見直し後は月2万円ほど貯金を増やすことができ5年間で約290万円 になります。ただ、今後高校受験、大学受験対策の通塾が始まると全てを貯金に回すことは難しいでしょう。

唯一の対策はさくらさん自身が収入を増やすことです。手取り収入を8万円増やせた場合、年間貯金が約130万円、5年間で約650万円 になります。ご自身で社会保険に加入することで、将来の公的年金受取額を増やすことも期待できます。

アドバイス3:奨学金、教育ローンはよく検討して利用を

奨学金には「日本学生支援機構」奨学金制度 の他、地方自治体や 大学独自 のものがあります。奨学金の借り主はお子さま自身で、返済義務のない給付型、無利息の貸与型、有利息の貸与型とあります。出来るだけ給付型を利用できないか情報収集し、タイミングを逃さず申し込みしましょう。

「日本学生支援機構」の貸与型は貸与終了月翌月の7ヵ月後から返還開始 します。お子さまとよく相談し、利用する場合は誰が返済するのか、返済可能な金額かなど兄妹間で公平なるように十分に検討が必要です。また、教育ローン は親御さんが借りる制度です。負債が増えるとご夫婦の老後資金を貯めることが難しくなってしまいますので注意してください。

◆ご相談後の感想

私の収入を増やすことが教育費の解決と老後対策にもなることを教えていただいたので、早速職場に相談してみようと思います。奨学金制度にさまざまな種類があるのは知らなかったので調べて、子どものために頑張って準備していきます。アドバイスいただきありがとうございました。