米アカデミー賞11部門の史上最多受賞に輝くピーター・ジャクソン監督が手掛ける『ホビット』シリーズが、今年12月13日公開の『ホビット 決戦のゆくえ』で感動のラストを迎える。大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前を描いた物語であり、本作をもって13年の歴史に幕を閉じる。完結編の公開を前に、映画の舞台である架空の世界"中つ国"のロケ地・ニュージーランドを訪れ、壮大なファンタジーの世界を体験。第2回は、映画セットがそのまま残るホビット庄「HOBBITON」の壮大な50年計画を探る。

50年計画で進化を続けるホビット庄

1998年に、ヘリコプターでニュージーランドを飛び回り、『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地を探していたピーター・ジャクソン監督によって見つけられたアレキサンダー家の農場。そこにホビットの家や庭、橋などを建設し、ホビット庄が誕生した。撮影後、一部残ったセットを生かして、アレキサンダー家がロケ地ツアーをスタート。そして、『ホビット』制作のためにセットが再建され、その時は、セットをそのまま残すことになり、撮影後も残っているものでは世界一大きい映画セットとして、ロケ地ツアーが楽しめるようになった。

このホビット庄は、映画の撮影時の状態をそのまま残しているだけでなく、映画の世界観をより伝えるために、さらに手を加えている。それらはすべて、ピーター・ジャクソン監督の了承を得て進められ、実際の作業は、映画でも美術を担当したデザイナーが手掛けている。例えば、魚売りのホビットの家では魚が干され、ハチミツ売りのホビットの家にはハチミツが置かれ、アーティストのホビットの家には絵の具が置かれるなど、こだわりの装飾が至る所に見られるが、現在はまだ計画の途中だという。

セールスマネージャーのヘンリー・ホーン氏によると「ホビット庄は50年計画」。最初の5年間を重要視しているそうで、「今は何もないホビット穴の中を装飾し、敷地内に宿泊施設を建てることも考えている。ここでファーム体験して、近くの家でホームステイするということは今もやっているが、宿泊施設としてホビット村の中に建てたい。この2つはすぐに実現する」と直近の計画を明かしてくれた。「まだ秘密のプロジェクトが多く、それ以上は言えない」というが、壮大なプロジェクトを考えているようだ。

なお、2009年には2万5,000人だった観光客は、今では年間33万人とものすごい勢いで増えている。また、ある年に行った調査では、86カ国とさまざまな国からファンが訪れていることがわかった。その中で日本人は約7%。中には、日本人の女性で8回もリピートしている熱狂的なファンがいたという。「まだまだ50年計画は始まったばかり。進化を続け、より多くの人が訪れてくれるようになったら」と熱く語るヘンリー・ホーン氏。ホビット庄がどのように進化していくのか、期待が膨らむ。

『ホビット 決戦のゆくえ』(12月13日公開)
シリーズ完結編『ホビット 決戦のゆくえ』では、恐ろしい竜"スマウグ"から奪われた王国を取り戻すために、ホビット族のビルボがドワーフ族たちと共に繰り広げてきた冒険が、いよいよ感動のラストを迎える。サウロン率いる闇の軍勢、仲間同士の対立など、最大の危機を迎える中、ビルボは自分を犠牲にし、仲間の命を守るために究極の決断をする。世界を二分する決戦のゆくえは果たして。

(C)“Hobbiton Movie Set Tours” for Hobbiton
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