賃貸探しの際には、「オートロック」「南向き」「閑静な住宅街」「角部屋」といったような、さまざまな特長をもとに物件を絞っていくことが多い。そんな中で、最も多くの人が「これだけは絶対に譲れない」と思う条件は、一体どのようなものなのだろうか。
賃貸物件の理想の家賃や間取り、住んでみたい街などを紹介している同連載も3回目。今回は「賃貸選びで重視するポイント」についてまとめてみた。譲れない賃貸物件のポイントや、経験者による物件選びのアドバイスなどを紹介していこう。
8割が賃貸で暮らした経験あり!譲れない条件は「バストイレ別」?
Q.あなたは賃貸で暮らしたことがありますか?
ある……79.1%
ないし、今後もするつもりはない……11.9%
ないが、いつかしたいと思っている……7.5%
ないが、検討中またはすでに住む賃貸が決まっている……1.6%
マイナビニュース会員に、賃貸で暮らしたことがあるか尋ねたところ、79.1%が「ある」、1.6%が「検討中、またはすでに賃貸住まいが決定している」と回答した。8割以上が賃貸住まいのための物件探しの経験があることがわかった。
Q.過去に経験のある生活形態を教えてください
一人暮らし……87.4%
二人暮らし……32.6%
複数名での生活(家族やシェアハウスなど)……18.4%
生活形態は、「二人暮らし」に50ポイント以上の差をつけて、「一人暮らし」(87.4%)が圧倒的1位となった。それでは一人暮らしの賃貸物件を選ぶ際に、どのようなことを重視したのだろうか。
Q.賃貸で暮らす際に、「譲れない条件」として当てはまるものをすべてお選びください
バス・トイレ別……52.9%
駅からの徒歩……48.9%
沿線やエリア、駅など……29.6%
室内洗濯機……29.1%
2階以上……27.1%
オートロック……24.9%
間取りタイプ……22.0%
築年数……21.5%
南向き……17.7%
「譲れない条件」について聞いてみると、「バス・トイレ別」(52.9%)、「駅からの徒歩」(48.9%)を挙げるユーザーが多数。次いで「沿線やエリア、駅など」「室内洗濯機」「2階以上」となっている。沿線や部屋の間取りは多少妥協できても、「駅近」「バス・トイレ別」は譲れないという人が多いことがわかった。
次は具体的に「絶対に住みたくないと思う物件」について聞いてみた。
セキュリティが甘い、1階が飲食店などは「住みたくない物件」
Q.絶対に住みたくないと思う物件などがあれば教えてください
■周辺環境が悪い物件
女性/36歳 「料理屋やコンビニが1階にある物件」
女性/36歳 「お墓が近くにある物件」
女性/41歳 「駅から15分以上やバスに乗るエリアは無料でも住まない」
女性/46歳 「駅から遠いところ、近所にスーパーやコンビニがないところ」
男性/51歳 「終電が早いところ」
男性/49歳 「幹線道路沿いは選びたくない」
女性/45歳 「ドブなどが近い悪臭のするところ」
男性/54歳 「アパートそのものより住んでいる住人の付き合いにくさや周囲の治安の悪さなど」
「絶対住みたくない物件」については、大きく「周辺環境の悪さ」「物件そのものの条件の悪さ」に分けられた。周辺環境で目立った回答は、バスを利用しないと最寄り駅まで行くことができない場所や、騒音・悪臭がある場所など。1階にコンビニや店舗がある物件は一見便利そうだが、害虫や人が集うことによる騒音、ニオイといった問題に悩まされる可能性も。
■設備や間取りに難がある物件
男性/48歳 「事故物件は避けたいです」
女性/45歳 「クーラーがない部屋」
女性/27歳 「セキュリティ機能がない物件は抵抗がある」
男性/65歳 「プライバシーが守られない物件」
男性/54歳 「ユニットバス プロパンガス 木造」
女性/40歳 「築年数があまりに古い物件は内装が綺麗でも、水回りなど設備に不安があるので住みたくないと思う」
築年数が古くても、きちんとメンテナンスがされており、レトロな雰囲気が味わい深い物件もある。しかし手入れやおざなりでボロボロ、付帯設備が古すぎて使いにくい物件には住みたくないという人が多かった。猛暑が続く近年、「クーラーなし物件」もきついだろう。事故物件やセキュリティが甘い物件に対しても警戒する人は多いようだ。
物件選びの4つのポイント
賃貸物件探しで譲れない点や、絶対住みたくない物件について紹介してきたが、これはあくまでも自分の主観的な意見。次は、実際に賃貸暮らしの経験があるマイナビニュース会員から、「物件選びのポイント」について教えてもらった。客観的な意見として、参考にしてみてほしい。
Q.物件選びのアドバイスはありますか?
■昼だけでなく夜もチェックする
男性/61歳「住民がいない昼間に不動産屋と内見したが、騒音などは住民が自宅にいる夜しか見抜けないと痛感した」
女性/57歳「少し歩けば幹線道路、自然が豊かでも田んぼも多く、害虫についても視野に入れなくてはいけないと感じた」
女性/54歳「帰り道の、特に、夜の人通りを確認したほうが良い」
男性/39歳「契約する前に朝、昼、夜と時間帯別に、物件を見ること」
男性/63歳「物件を決める時は昼間だけではなく夜にも見る必要があると思います」
男性/36歳「必ず不動産屋の情報だけで判断せず、自分でリサーチすること」
多く寄せられたのは、昼だけでなく、夜にも物件をチェックするべきだという意見。時間帯によって町の雰囲気がガラッと変わる地域も多いのだという。周辺環境によっては、虫の発生なども想定しておいたほうがいいかもしれない。
■周辺住民や隣人をチェック
女性/63歳「途中から不審な人が隣人になれば、引っ越すしかない」
女性/52歳「隣近所にどんな人が住んでいるのか、借りる前に不動産屋さんに聞いておくべき」
男性/44歳「可能な範囲でオーナーに物件の状況を聞くこと。不動産屋は知らないことも多い」
男性/52歳「不動産屋は隣人や他の住人のことは教えてくれない。アパートなら何度か時間、曜日を変えて訪れて、どんな住人がいるか事前に調べたほうがいい」
お気に入りの物件だとしても隣人が一癖も二癖もある人であれば、近隣トラブルに巻き込まれてしまう可能性も。そうならないために、あらかじめ周囲にどのような人が住んでいるのかをリサーチしておくことが大事という意見も多かった。不動産屋だけでなく、オーナーから話を聞き、実際に自分の目でチェックしておくことも有効なようだ。
■安すぎる物件は裏がある
女性/41歳「安すぎる部屋には裏があるのでご注意を」
男性/47歳「安アパートはそれなりの人が住み着く」
男性/40歳「家賃が安いからと言っても、ストレスとなる部屋は借りたくない。古い木造アパートは避けたほうが良い」
家賃の安さを重視して物件選びをしている人に対しては、「安すぎる物件には裏がある」というアドバイスも。周辺の物件と比べ、明らかに家賃が安い場合は、必ず何か理由がある。安い物件にこだわるのも悪くはないが、引っ越してから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、安さの理由について理解しておくことも大切だろう。
■最上階や角部屋がいい?
男性/67歳「上のほうの階ならエレベーターは必須」
男性/57歳「最上階は暑い。軽量鉄骨は、上の階の足音がうるさい」
男性/51歳「部屋を借りるなら最上階の角部屋にすること」
男性/54歳「2階に住むこと、隣部屋との壁の厚さを確認すること」
防犯や上階からの騒音という観点からか「1階は避けるべき」という意見が多かった。しかし意見が分かれたのは借りる部屋の階数。上からの騒音がないので最上階がいいという声もあれば、夏は暑すぎるので最上階は避けたほうが良いという意見もあった。
■その他
男性/36歳「なるべくオートロックなどセキュリティがしっかりした部屋を選ぶこと。周辺が騒がしくない場所を選んだり、壁の薄さをチェックしたりすることが重要」
男性/55歳「不動産会社には事故物件か否かをしっかりと聞くこと」
女性/38歳「ぱっと見は綺麗にリフォームされていても、古い物件には気をつけたほうが良い。」
男性/38歳「立地や日当たり、間取りを犠牲にしても、遮音性の高い部屋にするべき」
築年数が古い物件の中には、リフォームされているものも多いが、実は上辺だけ取り繕っただけという物件もあると言う。古い物件は、水回りや電気関係、ガスなどの設備もチェックしておいたほうがよいかもしれない。
理想の物件が見つかっても、冷静にチェックを
多くの人が求める賃貸こだわりポイントとともに、実際に賃貸暮らしを経験した人からの具体的なアドバイスを紹介したが、いかがだったろうか。好みの物件が見つかると舞い上がってしまい、「他の人に先を越される前に!」と焦ってしまうこともあるだろう。しかし一旦立ち止まり、冷静にチェックしてみることも必要と言えそうだ。
連載第1回で紹介した「住みたい街アンケート」では、男女の差が明らかになったが、同じように物件選びで重視するポイントも男女によって差があるようだ。次回は「住みたい部屋」の男女差について迫っていこう。
調査時期: 2020年8月9日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 508人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません