タッキー代表作! 木村拓哉の圧倒的支持作 - 平成13年(2001)ドラマTOP3

すべてが上質な輝きを放つ芸術品

■1位『アンティーク ～西洋骨董洋菓子店～』(フジ系、滝沢秀明主演)

• 藤木直人

• 椎名桔平

滝沢秀明、藤木直人、椎名桔平、阿部寛のイケメン4人に、週替わりのスイーツ……「女性ウケ狙いにもほどがある」という先入観を軽く超えた名作になったのは、やはり岡田惠和による脚本の力だろう。

実際、原作は少女漫画なのだが、主人公を橘圭一郎(椎名桔平)から神田エイジ(滝沢秀明)に変更し、小野裕介(藤木直人)のゲイ要素は見せず、さらに3人のバックボーンを掘り下げることで、老若男女に対応したヒューマン作に仕立てていた。

スイーツを引き立てるファンタジックな映像を手がけたのは、『踊る大捜査線』や映画『サトラレ』などを手がけて、まさに脂の乗った状態の本広克行監督。美しいケーキ、店内に並べられた骨董品、穏やかでハンサムな店員、タイプライターでカタカタと打ち込むようなテロップなど、すべてにわたって上質なムードを漂わせながら、ハートフルな物語につなげていく技術もまた高級品のようだった。

滝沢はまもなく芸能人としての活動を終えるが、ドラマの代表作は当作ではないか。穏やかで上品な世界観の中で唯一、熱さとドン臭さを持ったキャラクターを好演して視聴者に親近感を与え、「女性向け」「気取ったドラマ」という印象を軽減させていた。

個人的に最も印象深かったのは、子役時代の大島優子が出演した4話。病気の少女・加世子(大島優子)が自らデザインした星のケーキを注文し、小野は何度も作ったが加世子はなかなか納得しない。そこでエイジは加世子を店に呼び、一緒に星のケーキを作り、大喜びさせることができた。しかしその後、少女は星になってしまう……BGMはMr.Childrenの「星になれたら」。

ドラマ『アンティーク』と言えば、Mr.Childrenを連想する人は多いだろう。事実、各話15曲前後が使用され、最終話は何と24曲。ここまで一組のアーティストにこだわった作品は記憶にないが、それを可能にしたのはMr.Childrenが手がけた楽曲の力はもちろん、岡田惠和の脚本、本広克行の演出、3者それぞれの凄さではないか。主題歌は、Mr.Children「youthful days」。

『ちゅらさん』『白い影』『カバチタレ!』『スタアの恋』

その他の主な作品は下記。

• 国仲涼子

• 竹内結子

朝ドラ初の沖縄を舞台にした作品で、家族や人々の絆を温かく描いた『ちゅらさん』(NHK、国仲涼子主演、主題歌はKiroro「Best Friend」)。国仲を筆頭に、平良とみ、ガレッジセール、川平慈英、SHINOBUなど沖縄出身のキャストをそろえたことも話題に。第4シリーズまで放送されたことを含め、記憶にも記録にも残る朝ドラになった。

無愛想な凄腕外科医・直江庸介(中居正広)と彼に反発する看護師・志村倫子(竹内結子)のラブストーリー『白い影』(TBS系、中居正広主演、主題歌は竹内まりや「真夜中のナイチンゲール」。2人は惹かれ合っていくが、直江は重い病に侵された……というベタな展開ながら、シリアスな中居の演技は評価され、3年後の『砂の器』での『日曜劇場』再主演につながった。

• 渡部篤郎

• 観月ありさ

婚約者に逃げられた女子校教師、エステティシャンにホステスにと働き詰めの令嬢、極端に内気なホテルのハウスキーパー、女性を本気で愛せない恋愛小説家など、ややこしい男女7人の恋愛模様を描いた『恋がしたい恋がしたい恋がしたい』(TBS系、渡部篤郎主演、主題歌はカーペンターズ「レインボウ・コネクション」)。当時、意外な結末に「この2人とこの2人がくっつくの?」と賛否が分かれた。

働くことが嫌いなイベントコンパニオンが玉の輿婚した夫に先立たれ、唯一残された旅館を再生するハートフルコメディ『私を旅館に連れてって』(フジ系、観月ありさ主演、主題歌は福原裕美子「What would I do」)。すでにコメディエンヌの座を確立した観月に加え、梶原善、酒井敏也、江幡高志、円城寺あや、馬渕英里何らがぐうたら旅館スタッフを好演し、苦境が続く中でも笑いの要素は十分。全国各地で何度も再放送された隠れ名作。

• 常盤貴子

• 高橋克典

どこまでもお人好しで底抜けに明るい希美(常盤貴子)と、理性的で強気だがイケメンに弱い千春(深津絵里)が魅力的なコンビを見せた『カバチタレ!』(フジ系、常盤貴子・深津絵里主演、主題歌はキタキマユ「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」)。保証人や手切れ金、離婚やセクハラんどの身近な題材を扱い、勧善懲悪のわかりやすさも含め、高視聴率を連発した。

「元売れっ子プロデューサーが不良少女を見い出す」という筋書きがいかにも時代を感じる『傷だらけのラブソング』(フジ系、高橋克典主演、主題歌は中島美嘉「STARS」)。嫌がらせ、不祥事、パパラッチなどの挫折こそ80年代の大映ドラマを思わせる展開だったが、中島のデビューとリンクさせたプロデュースは鮮やか。劇中で多くの楽曲を歌わせたことで、中島の魅力は確実に増した。

• 藤原紀香

• 窪塚洋介

国民的大女優・ヒカル子(藤原紀香)と地味で実直なサラリーマン・草介(草なぎ剛)のファンタジックラブロマンス『スタアの恋』(フジ系、藤原紀香・草なぎ剛主演、主題歌はglobe「Stop! In the Name of Love」)。2人のハマリ役ぶりは最高レベルで、ともに代表作の1つとなった。草介が勤める「サンマルコハム」の先輩役を演じた勝村政信と古田新太が笑いのスパイスに。

滝沢、深田恭子、内山理名、窪塚洋介、石田ゆり子がすれ違う片想いを演じた『ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ』(TBS系、滝沢秀明主演、主題歌はABBA「チキチータ」「S.O.S.」)。「森のくまさん」から「死んだフリ」につなげた最終回は脱力感あふれるハッピーエンド。90年代に過激な作品を連発した「野島伸司の脚本が変わった」と話題に。

• 池脇千鶴

• 永作博美

さらに、池脇千鶴主演『ほんまもん』(NHK)、永作博美主演『Pure Soul～君が僕を忘れても～』、松下由樹主演『フレーフレー人生!』、高橋克典・仲間由紀恵主演『FACE～見知らぬ恋人～』、浜田雅功主演『明日があるさ』(以上、日テレ系)、長瀬智也主演『ハンドク!!!』、藤原紀香主演『昔の男』、岸谷五朗主演『世界で一番熱い夏』(以上、TBS系)、織田裕二主演『ロケット・ボーイ』、江角マキコ主演『ラブ・レボリューション』、竹野内豊・広末涼子主演『できちゃった結婚』、水野美紀主演『女子アナ。』、本木雅弘主演『水曜日の情事』(以上、フジ系)、中谷美紀主演『R-17』、浅野ゆう子主演『氷点2001』(以上、テレ朝系)などが放送された。